Lyme病 Lyme disease

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
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野鼠や小鳥などを保菌動物とし,野生のマダニ科マダニ属(Ixodes)のダニによって媒介される人獣共通の細菌(スピロヘータ)による感染症.

マダニ刺咬後に見られる関節炎,および遊走性皮膚紅斑,良性リンパ球腫,慢性萎縮性肢端皮膚炎,髄膜炎,心筋炎などが,現在ではライム病の一症状であることが明らかになっている.

全数報告対象(4類感染症)であり,診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない.

疫学

本邦では,1986年に初のライム病患者が報告されて以来,主に本州中部以北(特に北海道)で患者が報告されている.
・感染症法施行後の報告数は、1999年から2018年までの20年間で231例.
・北海道以外の地域での届出例の多くは,北海道や海外(主にアメリカ、欧州諸国)での感染例.

本マダニは北海道ならびに,本州や四国,九州の山間部に生息する.
北海道や青森県の一部では市街地等を除く平野部でも生息する.
一般家庭内のダニで感染することはない.

病態

ライム病をおこす病原体ボレリアには数種類が確認されている.
・本邦ではB. bavariensis,B. gariniiが主な病原体となっている.

ライム病ボレリアは,野山に生息するマダニに咬着されることによって媒介,伝播される.
本邦においては,シュルツェ・マダニ(I. persulcatus)の刺咬後にライム病を発症するケースがほとんどである.

症候

感染初期(stage Ⅰ)

数日~数週間

遊走性紅斑
・マダニ刺咬部を中心とする限局性紅斑.
・形状は環状紅斑 or 均一性紅斑.中心部に壊死や水疱を伴うことがある.
 典型的には牛眼状(bull’s eys appearance)という,中心部から赤,白,赤の環状紅斑を示すことが知られているが,1/3で認める程度.
・大きさは様々で,平均15cm程度だが,60cm近くに達することもある.
・刺されてから1~2週間すると出現する(最短3日,最長32日).
・かゆみや痛みを伴うことがあるが,基本的には無症状.
・3~4週間続くことがある.

インフルエンザ様症状
随伴症状.
筋肉痛・関節痛・頭痛・発熱・悪寒・倦怠感など.

播種期(stage Ⅱ)

数週間~数ヵ月

体内循環を介して病原体が全身性に拡散する.

神経症状
脊髄神経根炎,髄膜炎,顔面神経麻痺

循環器症状
刺激伝導系障害性不整脈,心筋炎

皮膚症状
二次性紅斑,良性リンパ球腫

眼症状
虹彩炎,角膜炎

その他
関節炎・筋肉炎など

慢性期(stage Ⅲ)

数カ月~数年

播種期の症状に加えて,重度の皮膚症状,関節炎などを示すといわれる.

症状としては,慢性萎縮性肢端皮膚炎,慢性関節炎,慢性脳脊髄炎などがあげられる。

診断

感染初期には有用な検査が存在しない.

血清学検査は,検査できる施設は限られており,感染初期には感度が25~40%と低い.

遊走性紅斑が出ていて,マダニに刺された可能性があれば,Lyme病として治療を開始する.

欧米では,流行地での媒介マダニとの接触機会などの疫学的背景,遊走性紅斑やその他ライム病に合致する臨床症状,さらに米国疾病管理予防センター(CDC)が示した血清学的診断基準などから総合的に判断することが推奨されている.

治療

ライム病ボレリアには抗菌薬による治療が有効.

マダニ刺咬後の遊走性紅斑にはドキシサイクリン,髄膜炎などの神経症状にはセフトリアキソンが第一選択薬として用いられている.
・8歳以下の小児,妊婦,授乳婦には禁忌→アモキシシリンやセフロキシムなどを用いる.
・薬剤耐性は報告されていない.
・第一世代セフェム系抗菌薬は効果が乏しい.
・マダニ刺咬によるアナプラズマの重複感染が疑われる場合には,ドキシサイクリンもしくはテトラサイクリンが有効とされている.

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