肺癌 治療

医学ノート(なすび用)

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組織型によって,小細胞肺癌とそれ以外の非小細胞肺癌の2つに分け,治療方針が決められている.

非小細胞肺癌 non-small cell lung cancer;NSCLC

分子標的薬

癌細胞の表面にあるタンパク質や遺伝子レベルを標的に攻撃する薬剤.

分子量が大きなモノクローナル抗体(細胞外のリガンドや受容体と結合)と低分子のキナーゼ阻害薬(細胞内のシグナル伝達分子を標的とする)が存在する.

発癌に大きく関わる遺伝子変異をドライバー変異と呼ぶ.

特定の遺伝子変異に対する分子標的薬の有効性は,細胞傷害性抗癌薬の有効性と比較して非常に高い.

遺伝子検査は,薬物治療を検討している非小細胞肺癌のうち,病巣の一部に腺癌成分を含むことが否定できない症例全てが実施対象.

使用するためには,対象となるドライバー遺伝子異常の有無に関して,コンパニオン診断薬を用いて検査をする必要がある.
*コンパニオン診断薬=ある分子標的薬の使用を前提として予め定めされた体外診断薬,基本的には薬剤と1:1対応

日本で保険診療が認められた分子標的薬が存在するドライバー遺伝子異常
EGFR遺伝子変異
ALK遺伝子転座
ROS1遺伝子転座
BRAF V600E遺伝子変異
MET ex14 skipping遺伝子変異

各ドライバー遺伝子異常は,その他のものと相互に排他的な関係になるとされる.

なすび院長
なすび院長

ドライバー遺伝子異常が陽性なら,分子標的薬.
陰性なら,PD-L1陽性率を測定し,免疫チェックポイント阻害薬を検討.

EGFR遺伝子変異

東アジア人の肺腺癌における陽性率 40~55%

日本の肺腺癌患者の約半数で認め,腺癌成分を一部分でも含む患者,非喫煙者,女性などに相対的に高頻度とされる.

チロシンキナーゼ阻害薬 tyrosine kinase inhibitor;TKI

ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブ,ダコミチニブ,オシメルチニブ

それぞれを単独で使用するほか,細胞傷害性抗癌薬や血管新生阻害薬との併用で使用されることがある.

オシメルチニブは第3世代になり,耐性メカニズムとして知られていたEGFR T790M変異に対し,開発された.

FLAURA試験(第1世代との比較試験)では,オシメルチニブ群において他剤より有意に全生存期間の延長が認められ,毒性についても皮疹や肝機能障害といったTKIに特徴的な症状は軽い傾向.

NEJ009試験(本邦)では,進行肺癌のゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法において全生存期間の中央値が50.9カ月.

ALK遺伝子転座

東アジア人の肺腺癌における陽性率 3~5%

腺癌に圧倒的に多く,非喫煙者・女性・若年者により頻度が多い.
*喫煙者・高齢者でもしばしば散見される.

ALK(anaplastic lymphoma kinase)阻害薬

クリゾチニブ,アレクチニブ(第2世代),セリチニブ,ロルラチニブ(第3世代)

J-ALEX試験(本邦)では,アレクチニブで有意に無増悪生存期間の延長を認めた(VS クリゾチニブ).観察期間中央値が40カ月を超えてもなおアレクチニブの生存期間中央値は未到達.

ROS1遺伝子転座

東アジア人の肺腺癌における陽性率 2~3%

若年者・女性・非喫煙者に多い.

EGFR遺伝子変異やALK遺伝子転座が陰性であれば,積極的に疑う.

ALK(anaplastic lymphoma kinase)阻害薬

クリゾチニブ

NTRK(neutorophic tyrosine receptor kinase)阻害薬

エヌトレクチニブ

BRAF V600E遺伝子変異

東アジア人の肺腺癌における陽性率 2~3%

腺癌・男性・喫煙者に比較的多い.

BRAF遺伝子異常は,肺癌のみでなく,悪性黒色腫や大腸癌などで認められる.

BRAF V600E変異に対するダブラフェニブ/トラメチニブ併用療法は奏効率約65%と高い有効性が期待できる.

MET ex14 skipping遺伝子変異

東アジア人の肺腺癌における陽性率 0.5~1%

やや扁平上皮癌や高齢者に多いとされる.

治療薬としては,テポチニブとカプマチニブがあり,いずれも第Ⅱ相臨床試験で高い効果が報告されている.

免疫チェックポイント阻害薬 immune checkpoint inhibitor;ICI

癌細胞自体が体内の免疫監視機構から回避するメカニズムを阻害することで,抗腫瘍効果を示す.

ICIの有効性予測マーカーとしては,腫瘍細胞のPD-L1(programmed cell death 1-ligand 1)陽性率が用いられている.
・PD-L1陽性率50%以上の症例には,ペムブロリズマブ単剤が強く推奨される.
・PD-L1陽性率1%以上で,ペムブロリズマブ単剤の使用は可能.
・一次治療において化学療法との併用であれば,PD-L1陽性率を測定しなくても保険診療上使用可能.

PD-L1陽性率50%以上(ドライバー遺伝子異常なし)

ICI単剤(ペムブロリズマブ or アテゾリズマブ)

無効なら,細胞傷害性抗癌薬

もしくは,

ICI+化学療法 *下記参照

無効なら,細胞傷害性抗癌薬

どっちがいいかは,まだ結論は出ていない.

PD-L1陽性率1%以上(ドライバー遺伝子異常なし)

ICI+化学療法

無効なら,細胞傷害性抗癌薬

Pt:platinum
PEM:pemetrexed
CBDCA:carboplatin
PTX:paclitaxel
BEV:bevacizumab
nab-PTX:nanoparticle albumin-bound paclitaxel

非扁平上皮癌

カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド+ベムブロリズマブ
カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド+アテゾリズマブ
カルボプラチン+ナブパクリタキセル+アテゾリズマブ
カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+アテゾリズマブ
ニボルマブ+イピリムマブ
ニボルマブ+イピリムマブ+カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド

扁平上皮癌

カルボプラチン+ナブパクリタキセル/パクリタキセル+ベムブロリズマブ
ニボルマブ+イピリムマブ
ニボルマブ+イピリムマブ+カルボプラチン+パクリタキセル

組織型問わず

ニボルマブ/イピリムマブ

小細胞肺癌 small cell lung cancer;SCLC

進行が速く,一方で化学療法や放射線療法には感受性が良好で,早期のステージから手術ではなく化学療法と放射線療法の併用療法が標準治療として行われており,基本的には外科手術を行わない.

全肺癌のなかで15%程度の頻度で喫煙と因果関係が深く,非常に進行が速いことから進展型の症例が多い.

カルボプラチン/シスプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ
カルボプラチン/シスプラチン+エトポシド+デュルバルマブ
シスプラチン+イリノテカン

今までの標準治療は,シスプラチンとイリノテカンの併用療法4コースであったが,最近は,4コースのプラチナ製剤とエトポシドに抗PD-L1抗体を併用し,抗PD-L1抗体は維持療法として,増悪を来すまで継続するようになっている.

高齢者

問題点は,身体機能・臓器機能の低下,複数の併存症,栄養状態不良,認知機能の低下,ポリファーマシー,うつ状態,社会的背景の問題(独居・キーパーソン不在)など多様性に富む

多面的な高齢者機能評価(geriatric assessment;GA)が重要

スクリーニングツールとして,Geriatric 8,comprehensive GA(CGA)7が推奨される.
・いずれも簡便な質問票であり,2~3分でできる.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

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