個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
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1日1回投与の長時間作用型GLP-1受容体作動薬

リラグルチド Liraglutide;Lira
ビクトーザ® 18mg/本(最大1.8mg) ノボノルディスク
○ヒトGLP-1のアミノ酸配列を改変し(ヒトGLP-1との相向性は97%),脂肪酸と共有結合させたGLP-1アナログ.
・ヒトGLP-1のN末端から26番目のアミノ酸リジンにスペーサーとしてグルタミン酸を結合させ,脂肪酸(アシル化パルミチン酸)を付加し,34番目のリジンをアルギニンに置換した構造を有している.
・DPP-4による分解に抵抗性をもつとともに,脂肪酸を介してアルブミンと非共有結合することで約12時間の血中半減期をもつ.
○相向性が高いため,抗体が出現しにくく,53週で約17%
・リラグルチド自身が凝集し,7量体を形成しやすく,かつ組織液や血中で脂肪酸を介して,アルブミン分子の7ヶ所の部位で結合が可能.
食欲抑制
○血液脳関門を通過し,視床下部に作用することで,求心性迷走神経を介さず,食欲を抑制する(ラット,マウス).
腎糸球体に対する作用
○糖尿病腎症易発症性マウスにリラグルチドを投与したところ,メサンギウム領域,糸球体毛細血管壁のフィブロネクチン蓄積,糸球体基底膜厚が有意に減少し,WT1陽性有足細胞数が有意に増加した.
使用方法
空打ちは0.12mg
導入
○0.3mgから導入し,1週間以上の期間をおいて0.6mg→0.9mgへ増量していく.
・1日0.9mgで不十分な場合には,1週間以上の間隔で0.3mgずつ最高1.8mgまで増量できる.
○悪心/嘔吐などの胃腸障害の出現は最初の1ヶ月で10%程度にみられるが,その後5%以下に漸減する.
エビデンス
国内第Ⅲ相臨床試験
○0.9mg1日1回の24週間投与により,食前・食後血糖ともに低下がみられ, HbA1cは1.88%低下し,0.92kgの体重減少が認められた.
→用量依存的に体重が減少する.52週は維持できている.
LEADER試験
○リラグルチドの心血管系に対する長期的な安全性を評価した多施設・国際共同二重盲検プラセボ対照無作為試験.有意の改善効果を認めている.
○海外量である1.8mg→日本人用量で効果が期待できるかは不明.
・安全性を証明したことの意味が大きい.
○胆石症が有意に多かった.
P:心血管疾患リスクの高い2型糖尿病9,340人(HbA1c≧7.0%)
E:標準治療にliraglutide 1.8mgを追加
C:標準治療+プラセボ
O:心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の複合発生率は有意に低かった(13%減少).
インスリン デグルデク/リラグルチド IDegLira
ゾルトファイ®(トレシーバ®との合剤) ノボノルディスク
1ドーズ=トレシーバ 1単位+ビクトーザ 0.036mg
2019年9月26日発売 2020年10月1日長期処方解禁
使用方法
インスリンの新規導入
1日1回10ドーズ(Deg 10単位/Lira 0.36mg)以下より開始.
最大は50ドーズ(Deg 50単位/Lira 1.8mg).
インスリンからの切り替え
前治療のインスリン投与量や患者の状態に応じて,1日1回16ドーズ(Deg 16単位/Lira 0.58mg)以下より開始.
*前治療のインスリンは中止し,併用しない
最大は50ドーズ(Deg 50単位/Lira 1.8mg).
エビデンス
DUAL I Japan試験(第3相臨床試験)
P:前治療の経口血糖降下薬による治療での十分な血糖コントロールが得られていない日本人T2DM 819例.開始時HbA1c 8.5%程度.
E:IDegLira
C:IDeg or Lira 1.8mg
*IDegLira or IDegはFPG<90を目標に増量
O:52週後で評価(IDegLira vs IDeg vs Lira)
HbA1c:-2.38% vs -1.75% vs -1.89%(優越性あり)
体重:+2.89kg vs +4.09kg vs -0.99kg
悪心:3.3% vs NA vs 7.0%

空腹時と食後を同時に下げれるので,血糖を下げる効果は強力.
Liraと比較し,IDegLiraは緩徐に増量するので消化器系の副作用が出にくい.
肥満でインスリン分泌が残っている場合は,BOTの開始薬剤としていい選択肢かも?
Liraを十分量まで増量しにくいのが欠点(逆に高齢者に使いやすいかも?).