interstitial cystitis/bladder pain syndrome;IC/BPS
なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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原因不明の膀胱痛・骨盤痛,過活動膀胱症状を呈する疾患.
下位分類として,ハンナ型間質性膀胱炎(Hunner type IC;HIC),膀胱痛症候群(BPS)を用いる.

膀胱腫瘍を含めた他疾患の除外が必要なため,疑った場合は専門医へ紹介
疫学
罹患率は,0.01~2.3%の範囲.
男女比は,1:5.
原因
不明.諸説あるが,何らかの要因で尿路上皮バリア機能に障害が生じ,尿が膀胱粘膜下に浸透し,さまざまな炎症反応や膀胱の求心性神経刺激が生じていると考えられている.
診断
症状
膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛,圧迫感,不快感があり,尿意亢進や頻尿などの下部尿路症状を伴う.
問診票
O’Leary & Santによる症状スコアと問題スコアが一般に用いられる.
排尿日誌
重症度の評価が可能.
尿検査
RBC≧5個/HPFを示す例は10%以下,WBC≧10/HPFを示す例は10%未満とされる.
→尿検査に異常がある場合は,他疾患を疑う.
尿細胞診は膀胱腫瘍の除外に必要.
膀胱鏡
膀胱腫瘍などの疾患の除外.
ハンナ病変の検出のためにも必須.
治療
保存的治療
精神的ストレスの緩和や骨盤内外筋膜マッサージなどの理学療法が有効.
コーヒー,チョコレート,柑橘類,香辛料,ビタミンCなどは症状を増悪することが報告されている.
薬物療法
アミトリプチリンは,ある程度の有効性が報告されている.
スプラタスト(抗アレルギー薬)が日常診療で使われることが多いが,有効性の根拠は高くない.
膀胱内注入療法
ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)の膀胱内注入療法が有効.
本邦では2021年に保険承認.
内視鏡的治療
膀胱水圧拡張術
麻酔下に膀胱内に生理食塩水を注入し,80cmH2Oの圧で膀胱を拡張する.
同時に膀胱の生検を行い,膀胱腫瘍の除外やIC/BPSの病理学的評価を行う.
作用機序は不明だが,奏効率約50%,奏功期間6カ月未満と報告されている.
経尿道的ハンナ病変切除・焼灼術
ハンナ病変部に存在する炎症性細胞の除去により,サイトカインの減少・異常な知覚神経終末の切除,上皮組織の再生によるバリア機能の回復などが生じるとされている.