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基礎知識
体液区画
体内水分量:体重の60%
細胞内液=体重の40%
細胞外液=体重の20%[間質液15%,血管内液5%]
体液分布
水は常に浸透圧によって移動するため,細胞外液量はNa量によって決まる.
浸透圧
細胞膜は水を自由に通過させるが,電解質を通さない半透膜であり,水が濃度勾配に従って移動しようとする力を浸透圧という.
→細胞内外の体液分布を規定
・輸液は原則として,血漿と等張の溶液を用いる.
・高カロリー輸液などでは,高浸透圧の溶液がある.
・低浸透圧の溶液は用いない!(溶血する危険)
血漿浸透圧
2×Na+(グルコース/18)+(BUN/2.8)
およそ286-288mOsm/kgH2O
生理食塩水
NaCl 0.9% Na 154 mEq/L(食塩9g/L)
浸透圧 308 mOsm/kgH2O
細胞外液の代用
5%ブドウ糖液
Glu 50 g/L=278 mmol/L
浸透圧 278 mOsm/kgH2O
水そのものの代替
膠質浸透圧
血管内外の体液分布を規定
・毛細血管壁は水,電解質は通過させるが,蛋白質は通さない.この蛋白分子によって生じる力を膠質浸透圧という.
輸液の電解質濃度
電解質=水に溶けるとイオン化するもの
1mEq=1mmol×イオン価数
1mEq/L=1mmol/L×イオン価数=原子量or分子量mg/dL×イオン価数

基礎輸液量 Basic allowance
尿 Urine
畜尿
基本は尿量測定.
理想は畜尿でNa,Kを提出.なければ,随時尿で代用.
尿生化学の大体の正常値はNa 50,K 40,Cl 90.
・脱水があって,再吸収が上昇すれば,Na 20,K 50,Cl 30.
・利尿薬投与時は,Na・Clが強制排出されているので注意!
・急性尿細管壊死がある場合は,データが乱れる.
予測尿量
尿量測定ができない場合.病態に応じ,確保したい尿量がある場合.
正常では尿量は大体1000mLから1500mL.
尿生化学は正常値に準じて計算.
尿生化学の単位はmEq/L
不感蒸泄 insensible perspirationtransepidermal water loss;TEWL
皮膚と呼気中からの水蒸気の排泄.
・通常は約15 mL/kg/日で電解質は含まない.
・体温が上がると増加する.
38℃→+100mL,39℃→+200mL,40℃→+300mL,41℃→+400mL
・多量の発汗がある場合にはさらに増加する.
・挿管している場合は1/10に減らす.
代謝水
・食物を代謝した際に産生される水.
・約 5 mL/kg/日.通常の食事では300mL程度.
不感蒸泄-代謝水=約10 mL/kg/日
消化液 Gastrointestinal loss;GI loss
正常の便であれば,200mLで計算
それ以外のlossがある場合は,以下から計算

補正輸液 Correction
通常の病院食では,水分1000mL,塩分6~9g(塩分1gでNa 17mEq),K 3000mg(40mEq).
これに飲水量が加わる.
輸液量=基礎輸液量+補正輸液-経口摂取量
正常値への完全補正ではなく,まずは安全域内への移行をめざす.
緊急性がなければ,1/3〜1/2補正した後に再評価し,次の補正量を決定する.
水
成人の1日水分必要量 約2500mL
→代謝水 300mL,食事1000mL,飲水1200mL
血清Na濃度に応じた自由水補正(mL)
(140-Na)×実測体重×0.6×1000/140を3~5日間かけて補正.
Na
ナトリウムバランスの観点からは,1日NaCl 3~5gあれば十分.
4gにして,1日70mmol程度.
Na投与をマイナスバランスにする場合
心不全,肝硬変,ネフローゼ,腎不全,高血圧,高齢者など
血圧上昇,浮腫,心拡大,胸水,座位での頚静脈怒張
Na投与をプラスバランスにする場合
脱水,SIADHの疑いがある場合,保存期の慢性腎不全,高齢者など尿の濃縮障害がある場合
・Na投与が少なすぎると,抗利尿ホルモンが多量に分泌されているので,腎臓は自由水を排泄できず,低Na血症をきたしてしまう.
血圧低下,頻脈,頚静脈の臥位での虚脱,口渇,皮膚乾燥,舌乾燥,BUN上昇
補正するときは,生理食塩水500mL単位で増減.
3~5日かけて補正.
平常時の体重が参考材料になる.
K
数時間
・ Kバランスに異常がない場合は,原則として不要.
数日の輸液
・尿中へのカリウム排泄は,遠位尿細管で分泌されたものであり,腎臓は血清のカリウムを維持しながら,尿中への排泄を減らすことができない.
→Kバランスに異常がない場合は,1日40mmolは投与する.
Kが正常範囲にない場合
KとpHを測定し,下記の表をみて,補正する.

体内カリウム容量の推定(mEq/kg)
正常→男45 女35
中等度に消耗→男35 女32
非常にやせている→男23 女20
血液
ヘモグロビン,ヘマトクリット
H+
pH 7.20以下のアシドーシスがあれば,CO2が抜ける環境でメイロンを使用する.
必要NaHCO3(mEq)=BW×BE×0.1~0.2