免疫チェックポイント阻害薬 immune checkpoint inhibitor;ICI

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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免疫チェックポイント分子と呼ばれる免疫抑制分子を阻害する薬剤

腫瘍が免疫から逃避する過程

①がん細胞を直接攻撃する免疫細胞の中心は,細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocytes;CTL)と呼ばれるCD8陽性T細胞.
②CTLの活性化には,抗原提示細胞上のMHC(主要組織適合遺伝子複合体)に提示されたがん抗原ペプチドを認識するT細胞受容体からの主シグナルに加え,抗原提示細胞上のCD80/CD86からT細胞上のCD28を介して伝達される共刺激シグナルが重要.

but!CTL活性化を抑制する共抑制分子(CTLA-4,PD-1など)が存在し,免疫チェックポイント分子と呼ばれる.

腫瘍における抗原提示の減少

制御性T細胞やMDSC(myeloid-derived suppressor cells)といった免疫抑制細胞の漸増

TGF-β,IDO(indeleamine 2,3-dioxygenase),IL-10などの免疫抑制因子の遊離

CTLA-4やPD-1などの免疫チェックポイント分子による免疫抑制
→ICIの阻害ポイント

CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4) 細胞傷害性Tリンパ球抗原-4

制御性T細胞,活性化T細胞に発現している.
主にリンパ節で働いている.

IgG1

PD-1(programmed cell death 1)

制御性T細胞,活性化T細胞,濾胞ヘルパーT細胞,B細胞,NKT細胞,骨髄系細胞にも発現している.
主にがん組織で働いている.

癌細胞はPD-L1・PD-L2を発現して,活性化されたT細胞に発現するPD-1と結合し,T細胞に抑制性シグナルを伝達することで免疫逃避する.

IgG4

免疫関連有害事象 immune-related adverse events;irAE

重篤なirAEの頻度は,ICI単剤では10~15%程度と高くないが,これまで多くの癌種で標準的に行われていた殺細胞性抗癌薬や分子標的薬による治療では,認められなかったものが多い.

特徴

1)多様性(多臓器に亘り発症し,多彩な症状を呈する)

2)独自性(自然発症の自己免疫疾患とは異なる臨床像を有する場合がある)

3)多発性(時間的・空間的に多発し得る)

4)持続性(治療効果と同様にirAEも持続する場合がある)

5)相関性(腫瘍免疫と自己免疫は共通の分子が関与しているため,治療効果とirAEの相関がみられる)

メカニズム

1)正常組織が有する共通抗原に対するT細胞の反応による.

2)炎症性サイトカインの増加による.

3)元々存在する自己反応性リンパ球の増加にする.

4)正常組織に発現するCTLA-4と抗CTLA-4抗体との結合による補体を介した炎症による

症候

皮疹,下痢,倦怠感,食欲不振など,非特異的な症状の頻度が高い.

内分泌関連irAE

糖尿病,副腎機能不全,甲状腺機能異常など

1型糖尿病

頻度こそ少ないものの,Grade 3 以上の重症例の報告が多い.
・50%が劇症1型糖尿病と報告されている.

抗PD-1抗体開始から1型糖尿病発症までの平均期間は155日であり,多くの症例は半年以内の発症.
・開始後1か月以内から17クール目と様々.

免疫チェックポイント阻害剤により活性化されたT 細胞によるβ 細胞障害に加えて,PD-L1 発現低下に伴うT 細胞の活性化の抑制不全が劇症1型糖尿病で認められる急激な膵β 細胞の減少に寄与している
可能性が考えられている.

甲状腺

抗PD-1抗体
一過性の甲状腺中毒症を呈した後に甲状腺機能低下症を続発する傾向がある.
・2~6週間と早期に甲状腺中毒症が出現し,甲状腺機能低下症は12週以降に発症し,永続的になりやすい.
・肺小細胞癌においては,甲状腺irAE発症例は予後良好であるというエビデンスが確立しつつある.

下垂体

下垂体前葉炎とACTH単独欠損症の2つの異なる臨床的特徴を有する.

発症者は非発症者に比し,生命予後が有意に延長することから,治療効果が高い患者の指標となる可能性がある.

抗PD-1・PD-L1抗体
・ACTH単独障害が大半.
・頻度は0.3~1.1%(前向き研究では6.0%).
・TSH抑制を伴わないFT3の上昇というSITSH様の変化が起こるため,注意が必要.

抗CTLA-4抗体
・頭痛や下垂体腫大を伴う下垂体炎を呈することが多い.
・頻度は1.8~13.6%(前向き研究では24.0%)

腎臓

血液学的irAE hem-irAEs

自己免疫性溶血性貧血

発症中央値は50日(3~405日)

ITP

発症中央値は41日(14~321日)

薬剤各論

抗PD-1抗体

ニボルマブ

オプジーボ®

PD-1に対するヒトIgG4モノクローナル抗体.

PD-L1・PD-L2とPD-1との結合を阻害し,T細胞への抑制性シグナルを減少させることでT細胞の活性化状態を維持し,腫瘍増殖を抑制する.

ペンブロリズマブ

キートルーダ®

抗CTLA-4抗体

イピリムマブ

ヤーボイ®

CTLA-4と抗原提示細胞上のCD80・CD86との結合を阻害し,活性化T細胞の抑制的調整を遮断することによりT細胞の活性化状態を維持し,腫瘍増殖を抑制する.

制御性T細胞の機能低下および腫瘍組織における制御性T細胞数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させる.

CTLA-4発現臓器である下垂体に作用するため,下垂体炎の発症頻度が多い.

抗PD-L1(programmed death-ligand 1)抗体

アテゾリムマブ(テセントリク®)
デュルバルマブ(イミフィンジ®)
アベルマブ(バベンチオ®)

腫瘍反応性T細胞の活性化,疲弊T細胞の再活性化,リンパ組織でのT細胞活性化を維持する.

1型糖尿病,重症筋無力症,間質性肺炎などの発生頻度が多い.

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