IgG4関連疾患 IgG4-related disease;IgG4-RD

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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全身の諸臓器に腫大や腫瘤,肥厚性病変がみられ,検査所見では,高IgG4血症と組織中に著明なリンパ球・IgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を認める疾患.

中高年男性に好発し,ステロイドが著効する例が多いが,既存のリウマチ性疾患や悪性腫瘍と誤診される場合もあり,この疾患の正しい理解は高齢者の日常診療上,重要.

疫学

中高年男性に好発.

本邦の335例の多施設後方視調査では,唾液腺72.7%,涙腺57.1%,リンパ節57.1%,膵臓25.5%,肺23.4%.
・約90%が複数の臓器病変を有し,平均罹患臓器数は3.2,単臓器のみは11.4%.

病態

全身に病変を来たすが,唾液腺,涙腺,膵臓,肝胆系,後腹膜,腎,肺,リンパ節が好発臓器.

症候

初発症状は,①顎下腺腫脹(涙腺含む),②後腹膜線維症関連,③自己免疫性膵炎関連の順で多いという報告がある.

複数臓器に病変を認めるものが多いが,単一病変もある.
・複数臓器の場合,病変は必ずしも同時に発症するのではなく,時間を置いて出現する場合もある.

発熱等の全身症状には乏しく,臓器腫大の自覚,圧迫症状や画像診断で偶然発見される場合が多い.

血液検査

しばしばアレルギー疾患を伴い,末梢血好酸球増多もみられるが,通常,CRP(C-reactive protein)は低値.

病理

IgG4-RDは細胞浸潤と共に線維化を認めるのが特徴的で,特に花筵状線維化(storiform fibrosis)といわれる,細胞成分を含んだうねるような独特な線維化は診断的価値が高い.

多数のIgG4陽性形質細胞浸潤はIgG4-RDの特徴的所見であるが,多発血管炎性肉芽腫症,関節リウマチ,Castleman病等種々の病態で認められ,特異的な所見ではないため,この所見のみで診断してはいけない.

閉塞性静脈炎も特徴的.

好中球浸潤や壊死等はIgG4-RDに否定的な所見であり,このような陽性所見,陰性所見を総合して判断する.

診断

①特徴的な臓器の腫大,肥厚像
②血清IgG4上昇
③組織における著明なリンパ球とIgG4陽性形質細胞浸潤と線維化(典型的には花筵様線維化)

以上の組み合わせによってなされ,確定診断(確診)群,準確定診断(準確診)群に該当することが難病認定には必要.
①~③は全てIgG4-RDに特異的な所見ではなく,悪性腫瘍,膠原病,血液疾患,種々の炎症性疾患でも認め得るため,できるだけ生検を行い,総合的に診断する.

IgG4-RD病変は多彩で,傷害臓器によって診断に有用なツールが異なるため,包括診断基準と臓器特異的診断基準を併用して診断する.
・現在までに膵臓,胆管,涙腺/唾液腺(Mikulicz病),腎臓,眼,呼吸器の6 つの臓器別診断基準が作成されている.

ACR/EULAR分類基準

全身性疾患であるSjögren症候群やANCA関連疾患などとの鑑別に優れており,感度・特異度ともに高いと報告されている.

Entry Criteria

典型臓器における特徴的な臨床像、放射線学的な所見あるいは病理学的所見.
(膵臓,唾液腺,胆管,眼窩,腎,肺,動脈,後腹膜,肥厚性硬膜炎,甲状腺[Riedel’s甲状腺炎])

Exclusion Criteria

臨床・血清・画像・病理の領域における除外項目の有無と特定疾患の除外

Clinical:発熱,ステロイド不応性

Selological:原因不明の白血球減少,血小板減少,好酸球増多,ANCA 陽性 (PR3- or MPO-),抗SS-A(Ro) or SS-B (La) 抗体陽性,抗dsDNA抗体, 抗ribonucleoprotein抗体 or 抗Smith (Sm)抗体陽性,他の特異的自己抗体,Cryoglobulinemia

Radiology:明らかな腫瘍像,感染症像,急速な進行変化,長管骨異常(Erdheim-Chester disease),Splenomegaly

Pathology:腫瘍浸潤,inflammatory myofibroblastic tumor,好中球による炎症像,壊死性血管炎,著明な壊死,肉芽腫像,単球・組織球による異常

既存疾患:Multicentric Castleman’s Disease,Crohn disease or Ulcerative Colitis

Inclusion craiteria

病理・免疫染色,血清IgG4,涙腺/下顎腺・胸部・膵/胆管・腎・後腹膜などにおける各所見の点数化

Total inclusion points

exclusion criteriaの項目を除外し,inclusion criteriaの項目が20点以上の場合にIgG4-RDと診断

治療

IgG4-RDと診断しても,全て治療が必要というわけではない.
・顎下腺腫大のみ,画像異常のみで自覚症状や機能障害を伴わない場合等では,無治療で経過観察のみ行う場合も多い.

無治療の場合であっても,数カ月に1 回程度から始め,その後は半年に1 回程度,血液検査・尿検査で臓器合併症のチェックを行い,1 年に1 回程度はCTで全身検索を行う.
・腎臓病は自覚症状がなく,腎機能低下が進行していくため,腎機能は必ずチェックする.
・低補体血症を認める症例は活動性が高く,腎障害を来たしやすいため,要注意である.

治療の絶対的適応

・自覚症状を伴う自己免疫性膵炎
・後腹膜線維症による水腎症
・間質性腎炎による腎不全
・眼病変による眼球運動障害・視力障害

ステロイド内服

プレドニゾロン0.5~0.6 mg/kg/日の中等量内服でほとんどの例が改善する.

2~4週間継続後に減量し,維持量にもっていくが,中止あるいは少量維持療法中でも30%近くに再燃を認める.

ステロイド再増量で多くは改善するが,ステロイドを長期継続することとなり,骨粗鬆症や糖尿病等の合併症が問題となる.

(免疫抑制薬)

・有効性にははっきりしたエビデンスがない.
・欧米ではリツキシマブ(抗CD20 抗体)の有効性が報告され,ステロイドなしでの治療も試みられているが,本邦では保険適用はなく,また,その有効性・安全性について検証されていない.

悪性腫瘍のスクリーニング

・悪性腫瘍合併率が高く,さらに,悪性腫瘍の発生に有意に関連することが報告されている.
・診断時悪性腫瘍のスクリーニングを行うと共に,経過中も発症に注意する必要がある.

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