ゴナドトロピン分泌低下症 Hypogonadotropic hypogonadism

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なすび医学ノート

中枢性性腺機能低下症,低ゴナドトロピン性性腺機能低下症

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

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間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)
http://www.acromegaly-center.jp/medical/pdf/treatment_guidance.pdf

診断基準(平成30年度改訂)

確実例:
1.I のいずれかと II のすべてを満たすもの.
2.Kallmann症候群の基準を満たすもの.

Ⅰ.主症候

1.二次性徴の欠如(男子15歳以上,女子14歳以上) or 二次性徴の進行停止
2.月経異常(無月経,無排卵周期症,稀発月経)
3.性欲低下,勃起障害,不妊
4.陰毛・腋毛の脱落,性器萎縮,乳房萎縮

Ⅱ.検査所見

1.血中ゴナドトロピン(LH,FSH)は高値ではない.
2.ゴナドトロピン分泌刺激試験(LHRH,クロミフェン,エストロゲン負荷)に対して,血中ゴナドトロピンは低反応ないし無反応.
注)視床下部性ゴナドトロピン分泌低下症の場合は,LHRHの連続投与後に正常反応を示すことがある.
3.血中,尿中性ステロイドホルモン(エストロゲンまたはテストステロン)の低値.

Ⅲ.参考所見

小陰茎,停留精巣,尿道下裂,類宦官体型,無嗅症(Kallmann症候群),頭蓋内器質性疾患の合併
or既往歴,治療歴or分娩時の大量出血の既往がある場合がある.

Kallmann 症候群ではMRI にて嗅球無形成または低形成を認めることが多い.

ゴナドトロピン負荷に対して性ホルモン分泌増加反応を認めることが多いが,先天性では反応が低下することもある.

Ⅳ.除外規定

ゴナドトロピン分泌を低下させる薬剤投与や,高度肥満・神経性やせ症を除く.

治療(男性)

治療を開始する前に必ず視床下部下垂体の器質的疾患(腫瘍や炎症など)を検索する必要がある.
→器質的疾患がある場合には,その治療を優先する.
→ない場合にも,下垂体前葉ホルモン分泌能の包括的な評価を行い,性ホルモンに優先して補充を開始すべきグルココルチコイド等の必要性がないかを確認する必要がある.

本治療の目的は,二次性徴の発現・成熟と妊孕性の獲得.
・二次性徴の発現・成熟はテストステロン補充療法で可能.
・妊孕性獲得のために最も期待される方法は,hCG-rFSH(hMG)療法.無効な場合は,性腺疾患の検索が進められる.

テストステロン補充療法,hCG 療法,hCG-rFSH 療法のいずれの場合も,生理的な思春期進行に似せて少量より開始し漸増することが望ましいが,年齢などを考慮して初期から高用量で開始することもある.
・通常の思春期発来時(男子は平均11.5歳)にあまり遅れない時期に開始することが望ましい.
・早期から精巣容積の確保を希望する場合には,初めから hCG-rFSH療法を行ってもよい.

テストステロン補充療法,hCG-rFSH 療法などのホルモン補充療法は,高用量より開始すると急速な二次性徴の成熟を促すため,原則として少量から開始して漸増する.

ホルモン補充療法により一過性に成長促進効果が得られるが,骨端線を閉鎖させるので一定期間後には成長は停止する.
ホルモン補充療法を開始してから成長が停止するまでどれだけ伸びるかは,ホルモン補充療法開始時の骨年齢による.

テストステロン補充療法

小児期からの治療は下記の順序で進める.

1)エナント酸テストステロン(デポ剤)
12.5~25 mg/回を4週毎に筋注から開始し,3~6 ヶ月毎に250 mg/回を4週毎に筋注まで2年程度をかけて増量する.

2)成人量エナント酸テストステロン(デポ剤)
125 mg/回を2~3週毎に筋注 or 250 mg/回を3~4週毎に筋注する.

hCG- rFSH(hMG)療法

小児期からの治療は下記の順序で進める.

1)hCGは,125~250単位 週1~2回皮下注射で開始,2年程度かけて成人量まで漸増する.
  rFSH は,37.5単位 週1~2回皮下注射より開始,1年程度で成人量まで漸増する.
*成人hCG-rFSH療法開始3ヶ月後に平均血清テストステロン値が300ng/dLを超えることを目標とする.
*血清テストステロンの反応を参考にして hCG 投与量を増減する(最高5,000単位/回).

2)成人量hCG:1,500~3,000単位/回,週2 回皮下注射を行う.
  成人量rFSH製剤:75~150 単位/回,週2回皮下注射する
  or 成人量hMG:75~150単位/回,週2回筋注する.
*rFSH(hMG)製剤は通常75単位で開始し,テストステロンが上昇しても精子形成がない時は150単位まで増量する.それでも効果がない時は,投与回数を週3回まで増量する.

治療(女性,小児期)

治療の目標は,生理的な思春期進行を模して,性成熟を促進・完成させること.
→二次性徴発来不全による心理社会的問題も改善する.

小児期ではまずエストロゲン製剤による二次性徴導入を行い,月経発来後は成人女性ゴナドトロピン分泌不全症の治療に移行する.

開始時期

一般的な日本人女子の二次性徴開始年齢は9.5歳で,標準範囲としては± 2歳.
→二次性徴の導入開始年齢は,暦年齢12歳,遅くとも 14 歳までを目安とする.

女性ホルモン補充療法により二次性徴の進行と共に骨成熟も進行し,成長期は終了に向かう.
女性ホルモン投与による二次性徴導入治療において,思春期獲得身長は10~15cmと考えられている.
→成人身長 145 cm(-2.5SD)以上を目指すとして逆算し,135 cmに到達していることを治療開始のもう一つの目安とする.

女性ホルモン補充療法

基本的に女性ホルモンは貼付製剤(17β エストラジオール製剤)を使用することが望ましい.
・貼付製剤ではエストロゲンは皮膚で吸収され,肝臓を通らずに標的器官に達するため,肝でのIGF-1合成に干渉することがない.

現在国内で保険収載されている貼付製剤の最少量は0.09mg/枚.
2日に一回の貼り替えで,1/2枚(0.045 mg)から開始し,生理的な思春期進行を模して,3~6ヶ月毎に0.09,0.18,0.36mg/2日と倍量に増やし,性器出血を認めた時点 or 2年程度経過した時点で黄体ホルモン製剤を追加し,カウフマン療法に移行する.

年齢・身長・月経を誘発するまでの期間を考慮して開始量,増量速度は調整する.
・すでに年齢が進んでいる場合は,初期投与量を0.09~0.18 mg/2日から開始し,増量を早く進めるなど個別に対応する.
・月経発来まで時間的余裕がある場合は,さらに少量の 0.09 mg の 1/4枚から開始することもある.

経口女性ホルモン剤を使用する場合も,少量から開始(例:プレマリン® or ジュリナ® 1/8 錠(粉
砕して使用)),3~6 ヶ月毎に倍量とし,2年程度でカウフマンに移行する.

思春期前小児における成長促進と骨塩量増加,認知機能改善を目的とした極少量の女性ホルモン投与は,有効性が確立しておらず,ルーチンの投与は推奨されていない.

治療中のモニタリング

子宮の成長を腹部超音波検査でモニターする.

骨密度を測定し,骨塩量の増加を確認する.

治療(女性,成人)

患者の挙児希望の有無と疾患の重症度を十分検索し,その結果に基づいて適切な治療法を選択する.

無月経の重症度の診断では,まずプロゲステロン試験を行い,黄体ホルモン剤投与後に消退出血が認められたら第 1 度無月経と診断する.
→プロゲステロン試験で出血が認められない場合は,エストロゲン・プロゲステロン試験を行い,エストロゲン剤を投与した後にエストロゲン剤と黄体ホルモン剤を投与し消退出血が認められたら第2度無月経と診断する.
→エストロゲン・プロゲステロン試験で出血が認められなければ子宮性無月経であり本疾患と区別する.

挙児希望がない場合

挙児希望がない症例では,性ステロイドホルモン投与が治療の中心になる.
いずれも 6 か月間を目安に治療を行い,投与中止後に自然の月経発来を期待する.

第1度無月経,無排卵周期症,希発月経などの比較的軽度の月経異常では,黄体ホルモン剤のみを周期的に投与する(ホルムストローム療法).

第2度無月経では,周期的なエストロゲン剤および黄体ホルモン剤の併用投与(カウフマン療法)を行う.

ホルムストローム療法

月経周期の後半期に10日程度,黄体ホルモン剤を経口投与する.
投与終了後7日以内に消退出血が生じる.これを繰り返す.

カウフマン療法

月経周期の前半期(14日間程度),エストロゲン剤のみを経口投与し,引き続き後半期(14日間程度)にエストロゲン剤に加えて黄体ホルモン剤を経口投与する.
投与終了後 7 日以内に消退出血が生じる.これを繰り返す.

挙児希望がある場合

妊娠を図るために排卵誘発を行う.

第1度無月経,無排卵周期症,希発月経などの比較的軽度の月経異常では,まずクロミフェン療法を行う.
第2度無月経ではゴナドトロピン療法を行うのが一般的である.

クロミフェン療法

クロミフェンは月経周期や消退出血の5日目から50~100mg/日を5日間経口投与する.
排卵は投与終了後 5 日前後に起こることが多い.

ゴナドトロピン療法

中枢性排卵障害に対して最も強力な排卵誘発法であり,優れた臨床効果が報告されている.

副作用として複数個の排卵による多胎妊娠や、卵巣過剰刺激症候群(Ovarian hyperstimulation syndrome;OHSS)があるので注意が必要.

消退出血あるいは月経周期の 5~7 日目からFSH製剤(hMG,純度の高い尿由来 FSH製剤,rFSH製剤を含む)を1日50~225単位,連日皮下or筋肉内注射する.

卵胞が成熟したらhCGを5,000~10,000単位投与して排卵を誘発する.
・一般に hCG を投与しないと排卵は起こらない.

FSH製剤投与中は超音波検査による卵胞発育モニタリングを行い,卵胞径17mm以上の卵胞が得られた時点でhCG を投与する.
・卵巣過剰刺激症候群を引き起こす恐れがある場合(16mm以上の卵胞が4個以上認められる場合は,hCGを投与せず治療を中断する.

ゴナドトロピン療法では通常同一量を連日投与するのが一般的であるが,副作用軽減を目的として1)漸増法,2)少量長期投与法などの方法が試みられる場合がある.

なすび医学ノート
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なすび院長

医療に疲れ、現場から離れたどろっぽ医ε- (´ー`*) フッ
ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
医学勉強などの日々のことをまとめています。
なんちゃって内科・糖尿病・腎臓病専門医です!(゚∀゚)

健康が一番の節約になる!これがモットー。
健康のためには、「自分を大切にすること」「生活習慣を見直すこと」「健診を受けること」が3本柱です!

妻:りんご夫人
長女:いちご
次女:れもん
事務長:かえる

もう少しで3児の父。とにかくかわいいε- (´ー`*)
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