高尿酸血症 Hyperuricemia

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

体内に尿酸が蓄積すると,いろいろな場所に結晶として析出する.
結晶は,皮下結節を生じたり,腎障害の原因となるほかに,関節炎の誘因となる.

体内の尿酸蓄積を基礎に生じた尿酸結晶が,急性の関節炎を引き起こす状態を痛風と称し,その関節炎発作を痛風発作という.

疫学

1)成人男性に多く,女性患者数は男性の数%程度.
・エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは尿酸排泄を促進する.
・女性では閉経期以降に上昇する.
2)本邦における頻度は0.2~0.4%程度で,成人男性における頻度は1%にも達する.
・日本では,戦前はまれな疾患であったが,最近著しく増加し,しかも発症年齢の低下がみられ,最近では30歳代の発症が最も多い.

原因

体内で作られる尿酸は1日約600mg(体内で合成 約500mg+食べ物 約100mg).
尿中から約600mg排泄されることでバランスがとれている.

健常者の生体内には,通常約1,200mgの尿酸プールが存在する.

高尿酸血症の成因は尿酸産生量の増加(尿酸産生過剰型),尿中尿酸排泄能の低下(尿酸排泄低下型)および両者の混在した混合型に大別される.

最近,腸管からの尿酸排泄が低下するタイプの高尿酸血症が報告され,「腎外排泄低下型」と分類されている.
→腸管の尿酸排泄トランスポーターであるABCG2(adenosine triphosphate binding cassette subfamily G member 2)遺伝子に変異が認められる.
・ABCG2は消化管に存在し,ABCG2を介した尿酸の便中への排泄低下が血清尿酸値に大きな影響を与える.
・遺伝子多型解析からABCG2の働きが低下すると簡単に痛風が発症する.

原発性

他に原因が見当たらないもの

多くは遺伝的形質と環境因子の両方に原因があると考えられている(人類全体が尿酸酸化酵素欠損となったため)

痛風になりやすい人
・激しいスポーツを好む
・仕事命の熱血漢
・アルコール(特にビール)が好き
・太っている

内臓脂肪が過剰蓄積した状態で尿酸産生亢進,排泄遅延が起こる機序

高インスリン血症
→SMCT1(Na+と有機酸を尿細管から血中に再吸収)が活性化
→URAT1(血中から尿中への有機酸排泄と共役して血中への尿酸再吸収)が活性化

レニン・アンジオテンシン系の活性化,カテコラミン分泌
→乳酸産生の亢進
→URAT1活性化と血中への尿酸再吸収の亢進

インスリン抵抗性(肝臓)
→グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)の活性化が低下
→解糖系からTCA回路への経路が阻害
→代償的にペントースリン酸回路を介するリボース5-リン酸(R5P)側の経路が進む
→プリン合成,尿酸産生が亢進

インスリン抵抗性(骨格筋)
→嫌気性代謝の促進
→ATPの分解→AMP,尿酸前駆物質(ヒポキサンチン)の生成が亢進

脂肪細胞の増加
→キサンチン酸化還元酵素(XOR)活性上昇→尿酸値が上昇

飲酒による尿酸値上昇

1)アデニンヌクレオチド分解が亢進
2)大量に飲酒すると乳酸の増加により尿酸の排泄は低下
3)ビールに合まれるプリン体も尿酸値の上昇に関与

続発性

他の疾患や障害により二次的に痛風または高尿酸血症をきたすもの

白血病などの治療で急速に細胞崩壊が起こる場合は,尿細管や集合管が一度に尿酸結晶により閉塞され,急性腎不全をきたすことがある(急性尿酸性腎症).

病態

痛風発作

1)血清中で尿酸は7mg/dL程度で飽和状態に達し,それ以上では過飽和の状態で結晶化する可能性がある.
2)関節内に尿酸塩(正確にはmonosodium urate monohydrate)の結晶が析出する.
→ストレスや激しい運動、尿酸値の急激な変動など何らかのきっかけで、沈着していた尿酸の結晶が関節の中ではがれ落ちると、多核白血球がそれを排除しようと炎症を起こし、関節の炎症が起こる.
3)高尿酸血症(一般に>7.0mg/dL)が必ずしも痛風と結びつくわけではないが,血清尿酸値が高いほど痛風発作を起こしやすい.

痛風結節

皮下に尿酸塩結晶が沈着すると結節を形成し,痛風結節といわれる.

痛風腎

腎の髄質にもしばしば尿酸塩および尿酸の結晶が沈着し,これが,髄質障害を主体とした痛風腎の原因となる.

尿路結石

1)腎杯や腎盂には尿酸塩でなく,尿酸結晶が沈着する.
2)尿のpHが下がると尿酸結晶はますます析出しやすくなり,次第に融合して尿酸結石を形成する.
3)不明のメカニズムにより高尿酸尿者はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム結石の頻度も高いことが知られている.

動脈硬化

肥満症,メタボリックシンドロームにおける高尿酸血症の位置づけ

心血管イベントの合併が多いと考えられているが,尿酸が独立したリスク因子かは,相反する報告がある.

血管内皮傷害

高血圧

血清尿酸値が,高血圧発症の独立した予測因子である.

1)メタ解析によって,尿酸値が高くなると高血圧の発症リスクが1.48倍になることが報告されている.
2)原因の1つとしてメタボリックシンドロームがあり,肥満やインスリン抵抗性により,尿酸の産生が亢進し,腎尿細管でのNa再吸収に連動し,尿酸排泄が低下する.
3)高血圧に伴う腎機能低下や利尿薬の使用も原因になる.
4)キサンチンオキシダーゼ阻害薬で尿酸値を下げると血圧も有意に下がることが報告されている.

降圧薬の選択

利尿薬,β遮断薬
尿酸を上昇させる可能性があるので注意

Ca拮抗薬
尿酸代謝に影響を与えない.
一部の薬剤は尿酸低下作用があることが報告されている.

ACE阻害薬・ARB
尿酸代謝に影響を与えない.
ロサルタンはURAT1阻害作用を有しており,臨床的にも尿酸値を低下させることが報告されている.

糖尿病

メタ解析にて,高尿酸血症が存在すると将来の糖尿病発症リスクが1.56倍になると報告されている.

URAT1は脂肪細胞にも発現
→脂肪細胞に取り込まれた尿酸は酸化ストレスを増加
→アディポネクチンの分泌低下とTNFαの上昇

糖尿病が悪化すると尿酸値が下がる.

1)糸球体過剰濾過→尿酸濾過も増加
2)尿糖の増加→URATv1(近位尿細管細胞の尿細管側にも発現し,尿細管から糖を取り込むのと共役して,尿中へ尿酸を排出)が活性化

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