高尿酸血症 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

診療アルゴリズム

血清尿酸値と腎機能や心血管危険因子はUカーブあるいはJカーブであることが示され,低すぎることも問題.
→血清尿酸値3mg/dL以下にはしない.

痛風関節炎 or 痛風結節がある場合

生活習慣の修正

薬物療法

痛風関節炎:関節炎治療(下記参照),コルヒチンカバーによる再発予防
痛風結節:尿酸値を6mg/dL以下に維持するのが望ましい(痛風発作が起きにくくなる).

急性痛風関節炎(痛風発作)の治療

NSAIDs・グルココルチコイド・コルヒチン(低用量)は非投薬に比して,条件つきで推奨する.

NSAIDは常用量投与する.

グルココルチコイドについては,20~30mg/日を3~5日間投与.
(投与経路は経口投与のみならず,経静脈的投与または関節内投与)

コルヒチンは,発症後12時間以内に1.0mg,その1時間後に0.5mgに投与し,翌日から0.5~1.0mg/日を疼痛の程度で継続し,改善したら中止する.

コルヒチンの長期投与(6ヵ月)は短期投与(3ヵ月)に比して有意に痛風発作を予防する.
・肝機能障害に注意

尿酸値のコントロール

・尿酸値が7mg/dLを超える状況が続くと,尿酸が蓄積する.
・6mg/dL以下だと平熱で尿酸が結晶化せず,しっかり溶けている状態を維持できる.

血清尿酸値<8.0mg/dL,血清尿酸値<9.0mg/dL(合併症なし)

生活習慣の修正

血清尿酸値≧8.0mg/dL(合併症あり),血清尿酸値≧9.0mg/dL(合併症なし)

合併症とは,腎障害,尿路結石,高血圧,虚血性心疾患,糖尿病,メタボリックシンドロームなど

腎障害と尿路結石以外は尿酸値を低下させてイベント抑制を検討した大規模介入試験は未施行.

生活習慣の是正

薬物療法

利尿薬による薬剤性

利尿薬による高尿酸血症(二次性高尿酸血症)は9.0mg/dLを超えたら,治療する.

Worksite studyは,利尿薬投与の有無に関わらず,高尿酸血症は心血管のrisk factorであることが示唆されてた.

SHEP studyでもクロルタリドン投与による高尿酸血症が降圧効果と独立して心血管イベントのrisk factorであることが示されている.

生活指導

肥満の解消

標準体重×25~30cm

バランス良く食べる(食べ過ぎない),腹八分目でゆっくり良く噛んで食べる.
朝・昼・夜の食事量を出来るだけ均等にする(寝る前の飲食は悪い).
*ただし,あまり急激な減量は血清尿酸値の上昇につながるので注意が必要.

プリン体の摂取制限

1日400mgを超えないようにする.

プリン体とはプリン骨格を持つ物質の総称で,プリン塩基・プリンヌクレオシド・ATPなどのプリンヌクレオチド,さらに核酸に含まれる.

食品中では旨味の成分であり,核酸中に多く含まれる.
→細胞数の多いもの,細胞分裂の盛んな組織にプリン体が多くなっている.
・鶏肉と内臓肉はプリン体を多く含んでいるが,そのほとんどが尿酸へ直接代謝されにくいアデニンやグアニン.
・ブロッコリーもアデニンやグアニンが主.

アルカリ性食品を積極的に

・尿酸はアルカリ性~中性によく溶けるので,野菜・いも類・海藻類などのアルカリ性食品を十分に摂る.

果物:バナナ、メロン、グレープフルーツ
野菜:ほうれん草(食べ過ぎない)、ゴボウ、人参、キャベツ、大根、アスパラガス、茄子
芋類:里芋、ジャガイモ
海藻:ひじき、ワカメ、昆布
その他:牛乳、大豆、干し椎茸

牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品は,含まれているカゼインが尿酸排泄を促進する.

アルコール制限

禁酒日週2回以上,せいぜい1本まで

ビール500mL,焼酎25度 120mL,ウイスキーまたはブランデー40度 60mL,日本酒180mL,ワイン180mL

水分を十分にとる

1日2Lを目安

・尿量が増加すると尿酸の排泄量が増加する.
・水分はできるだけ普通の水・お茶・ウーロン茶などで摂る.

適度な有酸素運動

軽めの運動をする(ウオーキング等).
マラソンやトライアスロンなどは避ける.

汗をかいても尿酸は排泄されない.
水分を摂取して尿から一緒に排泄するのが良い.

ストレスを上手に発散

尿酸降下薬 antihyperuricemic

 痛風関節炎を誘発しないように少量から投与を開始する.
 尿酸値の変動が激しいときや痛風発作時に開始したり,増量や減量はしない.

尿酸排泄薬

尿細管における尿酸の生理的吸収を抑制することで腎臓からの尿酸排泄能力を高め,血清尿酸値を低下させる.

排泄低下型に使用する

・投与開始後は尿中尿酸排泄量が増加
→尿路結石の発現には常に注意を払う.
 産生過剰型に投与すると尿路結石のリスクがあがる.
*腎機能障害(CCr 30mL/min以下,Crが2mg/dL以上),尿路結石の既往・合併がある場合は使わない.

使用時には尿量の確保と適宜尿アルカリ化薬を併用する場合がある.

腎臓の近位尿細管に存在する尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害する選択的尿酸再吸収阻害薬(Selective Urate Reabsorption Inhibitor;SURI)が登場.

ベンズブロマロン benzbromarone

ユリノーム® non SURI

劇症肝炎の報告が相次いでいるので注意が必要.

プロベネシド Probenecid

ベネシッド® non SURI

ドチヌラド Dotinurad

ユリス® 持田 SURI

1日0.5mgより開始し,1日1回経口投与.
血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量し,維持量は通常1日1回2mg.最大投与量は1日1回4mg.

尿酸生成阻害薬 (基本はこちら)

 プリン代謝経路の最終段階に働くキサンチンオキシダーゼを阻害するキサンチンオキシダーゼ阻害薬(Xanthine oxidoreductase inhibitor;XORi)
→血清尿酸値の低下とともに尿中の尿酸排泄量も低下させる

産生過剰型,腎外排泄低下型→腎負荷型
若年性痛風・腎障害・尿路結石を合併する場合.

アロプリノール allopurinol

ザイロリック®,サロベール®

・アロプリノールの酸化体であるオキシプリノールに強力なキサンチンオキシダーゼ阻害作用がある.
→血中半減期18~30時間と長いため,比較的効果は長続き.
・尿酸排泄低下型や腎不全に投与すると, オキシプリノールの血中濃度が上昇し,大量に蓄積し,致死的な中毒症候群を起こすことがある・・・

副作用
中毒症候群,Stevens-Johnson症候群(HHV-6の活性化を伴う薬剤性過敏反応),剥脱性皮膚炎,皮疹,再生不良性貧血,肝機能障害
急性間質性腎炎への関与もあるとされる.

併用注意
アザチオプリンの分解が遷延し血中濃度が上昇,骨髄抑制などの副作用が出現しやすくなる.

ガイドライン推奨投与量
Ccr>50mL/min→100~300mg/day
30mL/min<Ccr≦50mL/min→100mg/day
Ccr≦30mL/min→50mg/day
血液透析患者→透析終了時に100mg
腹膜透析患者→50mg/day

上位互換に該当する薬が出ているのであまり使いませんが,安さをとるならジェネリックのあるこちらを.

フェブキソスタット febuxostat

フェブリク®(帝人ファーマ)

尿酸生成阻害非プリン体選択型キサンチンオキシダーゼ阻害剤

・UACRの低下は示されていない.

・1日1回投与.成人10mgより開始.
→血中尿酸値を確認しながら,徐々に増量
→維持は40mg/day,最大60mg/day.
・肝代謝⇒糞(44.9%),尿(49.1%)で排泄
→排泄低下に投与しても,副作用のリスクは低い.
・減量の必要がなく,副作用をあまり恐れず,尿酸を下げることができる.

・軽度~中等度の腎機能低下例(eGFR 30mL/min以上)で有効性と認容性は確立
・重度は慎重投与

副作用
・肝機能障害
・甲状腺機能低下の可能性
・心血管疾患の増悪や新たな発現に注意する(CARES試験).

■PRIZE study Cardiovasc Diabetol 2016; 15: 87
・投与で尿酸は下がったが,IMTに変化はなかった.
・痛風関節炎はなかったが,肝障害・皮疹が多かった.
・死亡を含む心血管イベントは少数であった.

■CARES試験 N Engl J Med 2018;378:1200-10
P:心筋梗塞,不安定狭心症による入院,脳卒中,一過性脳虚血発作による入院,末梢血管疾患,または血管障害を合併する糖尿病の既往があり,米国リウマチ学会の分類基準に合致した痛風患者6190名.32ヶ月追跡.
E:フェブキソスタット群3098例 年齢中央値64.0歳
C:アロプリノール群3092例,年齢中央値65.0歳
O:主要評価項目(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死的脳卒中,不安定狭心症に対する緊急再灌流施行の初発の複合)の発生率は同等(フェブキソスタット群10.8% vs. 10.4%,HR 1.03,95%CI上限1.23).
副次評価項目とした全死亡(HR1.22,95%CI 1.01-1.47)および心血管死(HR1.34,95%CI 1.03-1.73)のリスクが高かった.

トピロキソスタット topiroxostat

トピロリック®(富士薬品)
ウリアデック®(三和化学研究所)

1日2回投与.1回20mgより開始し,1日2回朝夕に経口投与.維持は60mg(2×)/day,最大80mg(2×)/day.

・1日2回内服することにより,24時間にわたり尿酸値をしっかり下げることができ(日内変動が少ない),痛風関節炎の発症を抑える.

・CKDステージ3の痛風/高尿酸血症患者を対象に臨床試験を行い,血清尿酸値の目標達成率(UA 6.0mg/dL以下)が90%を示すなど,良好な尿酸低下作用とその忍容性が確認されている.
・血圧改善によらないUACRの低下が認められている.
Clin Exp Nephrol 18(6):876-884, 2014
→XOの働きにより,ピポキサンチンからキサンチン,キサンチンから尿酸が生成されると同時に活性酸素が産生される.
 この活性酸素は,糸球体・尿細管を含む全身の炎症を誘発し,さらに一酸化窒素を消去して血管内皮機能を障害する.XOを阻害し,活性酸素の障害を抑えることで全身の炎症を抑制し,血管内皮機能および血流動態の改善を促したことが推定されている.

尿アルカリ化薬

ウラリット®

・酸性に傾いている尿や体液をアルカリ性にし,酸性尿や尿路結石などを改善.
→尿路結石の防止.
・高K血症に注意.

尿酸分解酵素薬

腫瘍崩壊症候群に使用.

ラスブリカーゼ rasburicase

ラスリテック®

尿酸を更に酸化させアラントインという物質に変換させる尿酸酸化酵素として作用する.
→尿酸を水溶性の比較的高いアラントインに変換させることで腎臓から容易に排泄可能にし,既に産生されている尿酸も含めて効果的に血清中の尿酸値を低下させる.

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