高血圧性脳症 hypertensive encephalopathy

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なすび医学ノート

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急激または著しい血圧上昇により血圧値が脳血流自動調節能上限を超え,必要以上に脳血流量が増加,血液脳関門が破綻し血管原性脳浮腫を生じる病態

1)長期の高血圧患者では220/110mmHg以上,正常血圧者は160/100mmHg以上で発症しやすい.
2)最も重篤な緊急症で,適切に治療されなければ,脳出血・意識障害・昏睡,死に至る.

病態

可逆性後部白質脳症 Posterior reversible encephalopathy syndrome;PRES

Reversible posterior leukoencephalopathy syndrome;RPLS

血管透過性亢進や血管内皮機能障害により血管性浮腫が生じることで発症する.
血圧自己調節能の低い椎骨脳底動脈,後大脳動脈,穿通枝領域に病変を生じやすい.

典型例では,後頭葉に病変を認めるが,非典型例として18~26%は脳幹にも病変を来たすことが知られている.

原因は急激な血圧上昇(高血圧性脳症),妊娠高血圧症候群,肝不全,尿毒症,自己免疫疾患,薬剤(免疫抑制剤、抗癌剤)などが知られている.
・15~20%の例では血圧が正常or低値との報告もある.

腎機能障害もリスクファクターであり,報告によっては半数近くを占めている.

病態としては,血液脳関門における血管内皮細胞間のtight junctionの破綻により間質に高分子物質が漏出し,脳浮腫を来たすものと考えられている.

症状は頭痛,意識障害,精神症状,痙攣,視力障害など.

MRIでは,血管原性の間質性浮腫を反映し,T1強調画像で等~低信号,T2強調画像で高信号となり,特にFLAIR法で明確になる.
・通常は拡散強調画像では異常信号を認めない.
・病変は頭頂後頭葉優位の皮質下白質や基底核を中心に高信号域を認めることが多いが,脳幹部などこれ以外の部位にも病変が生じることがある.

予後については,約75~90%の患者は完全に回復すると言われており,回復までの期間はほとんど1週間以内.

症候

悪化する頭痛,悪心・嘔吐,視力障害,意識障害,痙攣などを伴い,巣症状は比較的稀.

頭部MRI

脳梗塞では原則として緊急降圧は禁忌であるため,除外することが重要

頭頂~後頭葉の白質を中心に血管原性浮腫を呈する可逆性後部白質脳症(posterior reversible encephalopathy syndrome;PRES)の所見がみられることが多い.

治療

多くは可逆性であるが,適切で速やかな処置が必要で,まずは血圧のコントロールが重要.

脳血流の自動調節能が障害されているため,急激で大きな降圧により脳虚血に陥りやすいため,用量を調節しやすい静注薬(点滴静注)で治療を始める.

1)血圧値と神経症状を監視しながら,降圧速度を調整する.
2)最初の2~3時間で25%程度の降圧がみられるように降圧を行う.
3)ニカルジピンの静注は脳組織酸素供給を減少させず,神経徴候を伴う高血圧性緊急症の治療に有用.
4)ジルチアゼムやニトロプルシドも使用可能.
5)細胞外液の増加を伴う場合はフロセミドを併用する.
5)ヒドララジンは頭蓋内圧を上昇させるため,用いない.

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