高血圧症 診断

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

診察室での収縮期血圧 140mmHg以上 and/or 拡張期血圧 90mmHg以上

家庭血圧では収縮期血圧 135mmHg以上 and/or 拡張期血圧 85mmHg以上

1)血圧の測定は,診察室血圧と診察室外血圧(家庭血圧など)で評価される.
診察室血圧よりも家庭血圧を優先して診断と治療評価に用いることを推奨.
2)正確な測定のために,適切な環境と方法により測定することが重要.
3)血圧レベルの評価には,収縮期血圧 systolic pressure(SBP)を用いる.
・将来の脳心血管病リスクにもっとも関連の強い指標はSBP.
・拡張期血圧 diastolic blood pressure(DBP)よりもSBPの方が,血圧コントロールで問題となることが多い.
・過降圧による不利益として臓器血流の低下を考える場合,心臓を除いてはDBPよりもSBPの維持に重点を置かれる.
4)家庭血圧および24時間自由行動下血圧は,診察室血圧より脳心血管病リスク予測能が優れるとされる.

分類

成人における血圧値の分類(JSH2019)

収縮期血圧と拡張期血圧はそれぞれ独立したリスクであるため,収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類に属する場合は,高いほうの分類に組み入れる.

従来は,「診察室血圧」と「家庭血圧」の差は,どの血圧でも-5mmHgで計算されていたが,JSH2019では変更になっている点に注意!

International Database of Home blood pressure in relation to Cardiovascular Outcome(IDHOCO)研究で得られた家庭血圧値の絶対リスクと診察室血圧の絶対リスクを調整し,家庭血圧における血圧分類が得られた.

Outcome-driven thresholds for home blood pressure measurement: international database of home blood pressure in relation to cardiovascular outcome - PubMed
The lack of outcome-driven operational thresholds limits the clinical application of home blood pressure (BP) measurement. Our objective was to determine an out...

1)「正常血圧」は,疫学的に最もリスクが少ない120/80mmHg未満となっている.
2)さまざまな病態で130/80mmHg未満が降圧目標として設定されたため,130/80mmHg未満の血圧を「正常高値血圧」となった.
3)「正常高値血圧」と「Ⅰ度高血圧」の間の血圧は,「高値血圧」として,注意喚起することとなった.

血圧測定法

各血圧測定法の特性

診察室(医療環境下)血圧測定

厳密な診察室での測定は,真の血圧を反映し,自由行動下血圧や家庭血圧と同等な臨床的価値を有することが知られている.

装置

聴診法は十分な訓練が必須であり,それが困難な場合は自動血圧計の使用が望ましい.

1)電子式のアナログ柱を用いた電子圧力柱血圧計またはアネロイド血圧計による聴診法
(カフ内ゴム嚢の幅13cm,長さ22~24cmの力フ)
2)上腕式自動血圧計

水銀血圧計は2021年以降,製造・輸出入が禁止されるため,今後使用しない.
バネ式アネロイド血圧計は,構造的に衝撃や経年変化で誤差が生じやすいため,推奨されない.

測定時の条件

1)静かで適当な室温の環境.
2)背もたれつきの椅子に足を組まずに座って,数分の安静後.
3)会話をかわさない.
4)測定前に喫煙,飲酒,カフェインの摂取を行わない.

測定法

1)前腕を支え台などに置き,カフ下端を肘窩より2~3cm上に巻き,カフ中央を心臓の高さに維持する.
・厚手のシャツ,上着の上からカフを巻いてはいけない.
・厚地のシャツをたくし上げて上腕を圧迫してはいけない.
2)聴診法では橈骨動脈あるいは上腕動脈を聴診しながら急速にカフを加圧し,脈拍が消失する血圧値より30mmHg以上高くして,聴診器をあてる.
3)カフ排気速度2~3mmHg/拍あるいは秒.
4)聴診法ではコロトコフ第Ⅰ相を収縮期血圧,第Ⅴ相を拡張期血圧とする.
*コロトコフ音(Korotkoff sounds):動脈をカフで締め付けたときに発生する音.血流が圧力をかけられた部分の動脈内で起こる乱流.

測定回数

1~2分の間隔をあけて少なくとも2回測定.
値が大きく異なっている場合には追加測定.
*初診時には上腕の血圧左右差を確認

判定

1)安定した値を示した2回の平均値を血圧値とする.
2)高血圧の診断は少なくとも2回以上の異なる機会における血圧値に基づいて行う.

家庭血圧測定

1)診察室血圧よりも脳心血管病発症・死亡リスクとの関連が強く,優れた予後の予測因子になる.
2)家庭血圧の平均値は優れた再現性を持っている.
3)家庭血圧を指標とした降圧治療(診察室血圧よりも5mmHg低い)は,診察室血圧を指標とした治療に比べ,24時間自由行動下血圧平均値の低下に有用.

メリット

1)患者の治療継続率の改善
2)降圧薬治療による過剰な降圧,あるいは不十分な降圧の評価.薬効の持続時間の評価(morning/evening比;E/M比)
・朝1日1回投与の降圧薬の服用後12~16時間の血圧がピーク効果に近似する.
3)白衣高血圧,仮面高血圧の診断
4)早朝高血圧の診断
5)季節変動のような長期の血圧変動性の評価
6)医療経済効果も極めて高い

装置

上腕力フ・オシロメトリック法に基づく装置
・高血圧患者を含めた集団で聴診法との較差が5mmHg以内
・前腕は不正確であるため推奨しない(水柱圧補正が困難,動脈の圧迫が困難である場合がある).上腕で測定できない肥満症例の場合は使える.

測定時の条件

朝:起床後1時間以内,排尿後,朝の服薬前,朝食前,坐位1~2分安静後
晩:就床前,坐位1~2分安静後

夕食前,晩の服薬前,入浴前,飲酒前にも追加的に測定することを推奨
→入浴後,飲酒後,服薬後は血圧が低下する

測定回数

1)1機会「原則2回」測定し,その平均をその機会の血圧値として用いる(推奨)
2)1回のみ測定した場合には,その機会の血圧値として1回のみの血圧値を用いる
3)測定者が自発的に3回測定した場合,その機会の値は3回の測定値の平均とする.
4)1機会に4回以上を推奨されない
5)1機会の測定値は,選択することなくすべて記録用紙に記載する.

判定

1)高血圧診断・降圧薬の効果判定には,朝・晩のそれぞれの測定値7日間(少なくとも5日間)の平均値を用いる.
2)朝の家庭血圧平均値,晩の家庭血圧平均値の両者が降圧目標を達成した場合,家庭血圧の降圧目標を達成したと判断する.

24時間自由行動下血圧測定 Ambulatory Blood Pressure Monitoring;ABPM

24時間自由行動下血圧測定 Ambulatory Blood Pressure Monitoring;ABPM
非観血的に15~30分間隔で血圧を24時間行動下に自動測定多数の測定値が得られる血圧計で24時間高頻度...

診断手順

血圧測定と高血圧診断手順

・診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧の診断を優先する.
・自己測定血圧とは,公共の施設にある自動血圧計や職域,薬局などにある自動血圧計で自己測定された血圧を指す.

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