脳血管障害を合併する高血圧

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

超急性期

脳梗塞患者で,血栓溶解療法予定の場合
発症24時間以内の場合

1)ストレス,尿閉,頭痛,脳組織の虚血,浮腫や血腫による頭蓋内圧亢進など生体防御反応によると考えられる.
2)多くは安静,導尿,痛みのコントロール,脳浮腫の治療によって,降圧薬の投与なしに徐々に降圧する.
3)脳梗塞では発症24時間以内,脳出血では数日以内に下降し始める場合が多い.

脳梗塞発症4.5時間以内

降圧治療対象
血栓溶解療法予定患者(血栓回収療法予定患者については,血栓溶解療法に準じる)
SBP>185mmHg or DBP>110mmHg

降圧目標
血栓溶解療法中および施行後24時間,<180/105mmHg(前値の85~90%)

降圧薬
ニカルジピンなどのCa拮抗薬の微量点滴静注

急性期

発症2週以内

脳梗塞

脳梗塞の急性期の積極的な降圧には留意が必要

1)高血圧に伴い,脳血流自動調節域は血圧の高い方へシフトしているが,急性期では自動調節自体が消失し,わずかな血圧の下降によって脳血流は低下する.
→降圧によって病巣部およびその周辺のペナンブラ領域(血流の回復により機能回復が期待できる可逆性の領域)の増大をきたす可能性がある.
2)血管拡張作用を有する薬物は健常部の血管のみを拡張し,病巣部の血流は逆に減少する(脳内盗血現象).

降圧治療対象
SBP>220mmHg or DBP>120mmHgが持続する場合
大動脈解離,急性心筋梗塞,心不全・腎不全などが合併している場合

降圧目標
前値の85%

降圧薬
ニカルジピンなどのCa拮抗薬の微量点滴静注
or 経口薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬)

脳出血

降圧治療対象
SBP>140mmHg

降圧目標
SBP<140mmHg
*重症で頭蓋内圧亢進が予想される症例では,血圧低下に伴い脳灌流圧が低下し,症状が悪化させる,あるいは急性腎障害を併発する可能性があることに留意する.

降圧薬
ニカルジピンなどのCa拮抗薬の微量点滴静注
or 経口薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬)

くも膜下出血

破裂脳動脈瘤で発症から脳動脈瘤処置まで

降圧治療対象
SBP>160mmHg

降圧目標
前値の80%
*重症で頭蓋内圧亢進が予想される症例,急性期脳梗塞や脳血管攣縮の併発例では,血圧低下に伴い脳灌流圧が低下し,症状が悪化させる可能性があるので慎重に降圧する.

降圧薬
ニカルジピンなどのCa拮抗薬の微量点滴静注
or 経口薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬)

慢性期(発症1ヵ月以後)

脳血管障害の既往を有する患者は,高率に脳血管障害を再発することが知られており,脳血管障害の最大の危険因子である高血圧のコントロールが極めて重要

降圧薬については,脳血管障害の臨床病型を問わず,第一選択薬であるCa拮抗薬,ARB,ACE阻害薬,利尿薬を推奨する.

1)これらは降圧時(過度の降圧をのぞく)に脳血流を減少させない.
2)糖尿病,メタボリックシンドローム,慢性腎臓病などの合併症の有無も考慮し,選択する.

脳出血,くも膜下出血,脳梗塞(両側頸動脈高度狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)

降圧治療対象
SBP≧140mmHg

降圧目標
<130/80mmHg

降圧薬
経口薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬)

脳梗塞(両側頸動脈高度狭窄や脳主幹動脈閉塞あり,または未評価の場合)

降圧治療対象
SBP≧140mmHg

降圧目標
<140/90mmHg

降圧薬
経口薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬)

降圧治療中に,めまい,ふらつき,だるさ,頭重感,しびれ,脱力,気力低下,神経症候の増悪などを訴えた場合は,降圧による脳循環不全症状の可能性があり,降圧薬の減量や変更を行う.

無症候性

より十分な降圧療法が望ましい.

降圧治療対象
SBP≧140mmHg

降圧目標
<130/80mmHg

降圧薬
経口薬(Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬)

無症候性脳梗塞

1)高血圧や加齢が最大の危険因子とある小血管病
・大脳白質病変の最大の危険因子も高血圧
2)ほとんどはラクナ梗塞と同様の小梗塞
3)24時間血圧でのnon-dipper,riserやモーニングサージが危険因子
→24時間を通した降圧,早朝の血圧管理が重要

無症候性脳出血・微小脳出血

1)T2強調MRIにより高頻度に検出される.
2)これらの存在や進展は,脳血管障害発症や認知機能低下の独立した危険因子になる.

無症候性頸動脈狭窄

1)脳血管障害発症の高リスク群
2)降圧前に,外科的治療適応の有無を評価する.

未破裂脳動脈瘤

1)脳血管障害発症の高リスク群
2)くも膜下出血の家族歴を有するか,未破裂脳動脈瘤が発見された場合には,積極的な降圧療法が推奨される.

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