B型肝炎 hepatitis B

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

治療

目標は,HBVの増殖を抑制することで,肝炎を鎮静化させ,HBVの増殖を抑制することで肝炎を鎮静化させ,慢性肝炎から肝硬変・肝不全や肝癌への進展を阻止し,WOLおよび生命予後を改善すること.

最も有用なsurrogate markerはHBs抗原.
→長期目標はHBs抗原消失

指標として,以前はALT正常化,HBe抗原セロコンバージョンSeroconversion,HBV-DNAの陰性化が用いられてきたが,HBs抗原陰性化により発癌率が低下し,生命予後が改善するエビデンスが集積しつつあるため,国外のガイドラインでは理想的な目標をHBs抗原の陰性化としている.

非活動性キャリア

抗ウイルス治療がなされていないdrug freeの状態で,1年以上の観察期間のうち3回以上の血液検査で①HBe抗原が持続陰性,かつ②ALT値が持続正常(30U/L以下),かつ③HBV-DNA量が2000IU/mL(3.3LogIU/mL)未満のすべてを持たす症例は治療対象外

慢性肝炎

ALTが異常値,HBV-DNAが高値ならびに組織学的な肝病変の存在があり,具体的にはALT≧ 31U/L and HBV-DNA≧3.3 Log IU/mL(2000 IU/mL)が治療対象

・上記を満たさなくても,線維化が進展し,発癌リスクが高いと判断される症例は治療対象となる.
・ALTが軽度or間欠的に上昇する症例,40歳以上でHBV-DNA量が多い症例,血小板数≦15万未満の症例,肝細胞癌の家族歴がある症例,画像所見で線維化進展が疑われる症例では,肝生検or非侵襲的方法による肝線維化評価を施行することが望ましい.

原則としてペグインターフェロン治療を検討するが,治療前に反応を予測することは困難であり,多彩な副反応や週1回の通院のデメリットであるため,ペグインターフェロン治療を希望しない症例には核酸アナログ製剤治療を行う.

肝硬変

ALT値に関わらず,HBV-DNAが陽性であれば治療対象

・肝不全/肝癌への進展リスクが高いため,より積極的な治療介入が必要

肝不全や重篤な感染症を惹起するリスクがあるため,IFN治療は禁忌.
→核酸アナログ製剤が第一選択

・核酸アナログ製剤によりHBV増殖を抑制することで,代償性肝硬変から非代償性への進展が阻止される.
・長期継続治療は,肝硬変においても線維化を改善する.
・中止後の再燃は,肝不全を誘発するリスクがあるため,生涯にわたる治療継続を基本とする.

治療薬各論

ペグインターフェロン pegylated interferon;Peg-IFN

ウイルスの増殖を抑えると共にHBV感染細胞を排除する免疫賦活作用を有する.

・反応例では投与終了後も治療効果が持続し,長期経過の後,HBs抗原が高率に陰性化する.
・反応例は,HBe抗原陽性の約20~30%,HBe抗原陰性の約20~40%にとどまる.

治療終了後,24~48週時点で,ALT正常化,HBV-DNA量低下(HBs抗原量低下),さらにHBe抗原陽性例ではHBe抗原陰性化を参考とし,反応性を評価する.

HBe抗原セロコンバージョン率やHBV-DNA陰性化率が必ずしも高くないこと,個々の症例における治療前の効果予測が困難であること,予想される副作用などを十分に説明する.

核酸アナログ製剤

HBV増殖の抑制効果が高く,背景因子に関わらず有効.
治療を継続することで持続的にHBV増殖を抑制するが,HBs抗原陰性化率は,ペグインターフェロンより低率.

挙児希望者あるいは妊娠中の女性には,催奇形性のリスクについて十分リスクを説明する.

治療開始時に,腎機能障害・低P血症ならびに骨減少症・骨粗鬆症を認める場合には,ETV or TAFが第一選択.

長期継続投与が必要なこと,耐性変異のリスクがあることを十分に説明する.

治療開始12ヶ月の時点で,HBV-DNA陰性化という継続治療(ontreatment)における短期目標が達成できているかにより,治療方針を再検討する.
治療アドヒアランスを確認!

効果不良(HBV-DNA陽性)
治療薬変更
ブレイクスルー(治療中にHBV-DNA≧1.0Log IU/mL)
迅速に治療効果変更

・単剤に対する治療抵抗性であれば,原則として交叉耐性のない薬剤を選択し,単剤で治療することを推奨.交叉耐性のない薬剤を追加した併用投与も選択肢.
 ETV→TDF or TAF or ETV+TDF or ETV+TAF
 TDF→ETV or ETV+TDF or ETV+TAF
・併用に対する治療抵抗性であれば,併用投与で治療することを推奨.
 ETV+TDF or ETV+TAF

エンテカビル entecavir;ETV

中止後再燃時の再治療基準
HBV-DNA≧100,000IU/mL(5.0LogIU/mL) or ALT≧80U/L

テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩 tenofovir disoproxil fumarate;TDF

低リスクのエビデンスあり.

腎機能障害・低P血症ならびに骨減少症・骨粗鬆症がある場合は他剤を選択!

テノホビル・アラフェナミド tenofovir alafenamide;TAF

HBV再活性化

HBV感染患者において,免疫抑制・化学療法等により,HBVが再増殖することをHBV再活性化という.
HBV再活性化による肝炎は重症化しやすいだけでなく,原疾患の治療を困難にさせるため,発症を阻止することが最も重要.

キャリアからの再活性化と既往感染者(HBs抗原陰性+HBc抗体 or HBs抗体陽性)からの再活性化(de novo B型肝炎)に分類される.

HBV再活性化のリスクを有する免疫抑制・化学療法を行う全ての患者に,治療前にHBV感染をスクリーニングすることが推奨される.

1)HBs抗原を測定し,陽性例は肝臓専門医にコンサルトする.
2)HBs抗原陰性の場合には,HBc抗体・HBs抗体を測定し,陽性である場合は既往感染者であるため,リアルタイムPCR法によりHBV-DNAを測定する.

HBV-DNA≧20 IU/mL(1.3 Log IU/mL)
速やかに核酸アナログ製剤の投与を開始する.

HBV-DNA<20 IU/mL(1.3 Log IU/mL)
治療中・治療終了後にHBV-DNA量のモニタリング(1~3ヵ月に1回)を行い,HBV-DNA≧20 IU/mL(1.3 Log IU/mL)となった時点で核酸アナログ製剤を開始する.

核酸アナログ製剤は,ETV,TDF or TAFが推奨される.

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