溶血性貧血

医学ノート(なすび用)

赤血球の破壊の亢進による貧血

赤血球は産生されてから時間が経つと網内系に取り込まれて破壊される.
破壊が亢進する原因は,網内系の赤血球の取り込みの増加(血管外溶血),あるいは循環血液中での破壊(血管内溶血).
→赤血球の寿命は,正常では120日間であるところが,100日以下に短縮.

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原因

様々な原因による疾患があり,外因性(主に後天性)と内因性(主に先天性)に分かれる.

・半数は直接Coombs試験陽性の自己免疫性溶血性貧血(約90%は温式AIHA,約8%は寒冷凝集素症,約2%は発作性寒冷ヘモグロビン症)
・25%は発作性夜間ヘモグロビン尿症
・17%が先天性溶血性貧血(約7割を遺伝性球状赤血球症が占める)

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)

外因性,赤血球膜上の抗原に反応する自己抗体がつくられることで引き起こされる.

自己抗体には,反応至適温度が~37℃の温式抗体,~4℃の冷式抗体がある.

温式抗体による貧血→温式自己免疫性溶血性貧血(温式AIHA)
・自己免疫性溶血性貧血の90%以上がIgG抗体で惹起される温式自己免疫性溶血性貧血

冷式抗体による貧血→寒冷凝集素症と発作性寒冷ヘモグロビン尿症

温式自己免疫性溶血性貧血(温式AIHA)

IgG抗体が結合した赤血球は,主に脾臓のマクロファージや好中球に捕捉されて破壊される(血管外溶血).

半数が特発性,残りの半数は基礎疾患のある続発性.
・基礎疾患として,自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど),リンパ増殖性疾患(慢性リンパ性白血病・血管免疫芽球性T細胞リンパ腫など),免疫異常症,感染症,腫瘍など.

症候

身体所見

貧血:軽症例から心不全を生じるほどの重症例まで多岐にわたる.

黄疸:通常は軽度であまり目立たない.

脾腫:40%程度に軽度の脾腫がみられます。

網赤血球の増加

貧血は総体的にやや大球性のことが多いが,実際は小球性赤血球と多染性大球性赤血球(網赤血球)が混在している.

網赤血球は代償性赤血球造血亢進のために増加(出血性との鑑別).

温式AIHAの約20%で特発性血小板減少性紫斑病を合併して血小板が減少する(Evans症候群).

LDH,間接ビリルビンの増加

ビリルビン高値(間接ビリルビン優位)とLDH高値があれば溶血性貧血と診断され,ハプトグロビンの低値などで確認する.

診断

診断基準(調査研究班,2004年度改訂)

①臨床所見として,通常,貧血と黄疸を認め,しばしば脾腫を触知する.
 ヘモグロビン尿や胆石を伴うことがある.

②以下の検査所見がみられる.
1)ヘモグロビン濃度低下
2)網赤血球増加
3)血清間接ビリルビン値上昇
4)尿中・便中ウロビリン体増加
5)血清ハプトグロビン値低下
6)骨髄赤芽球増加

③貧血と黄疸を伴うが,溶血を主因としない他の疾患(巨赤芽球性貧血,骨髄異形成症候群,赤白血病,congenital dyserythropoietic anemia,肝胆道疾患,体質性黄疸など)を除外する.

④①と②によって溶血性貧血を疑い,③によって他疾患を除外し,診断の確実性を増す.
 しかし,溶血性貧血の診断だけでは除外不十分であり,特異性の高い検査によって病型を確定する.

病型の診断

赤血球形態のチェック

球状赤血球
遺伝性球状赤血球症が疑われるが,自己免疫性溶血性貧血,熱傷,低リン血症,ある種の化学物質などの中毒でも球状赤血球がみられる.

Coombs試験

Coombs試験陽性→自己免疫性溶血性貧血

Coombs試験陰性+小型球状赤血球+MCHC高値+家族歴→遺伝性球状赤血球症

病歴

遺伝性の溶血性貧血やマラリア

薬剤との関連からグルコース-6-リン酸脱水素酵素(glucose-6-phosphate dehydrogenase;G6PD)欠損症などが診断される.

その他の検査(形態上の異常なし,Coombs試験陰性)

Hb電気泳動,G6PDやピルビン酸キナーゼなどの赤血球酵素の試験,発作性夜間ヘモグロビン尿症のスクリーニング(flow cytometryによるCD55/CD59欠損血球の検出)などを行う.

Heinz小体生成試験陽性→G6PD欠損症,不安定ヘモグロビン症,サラセミア,化学物質障害などと診断される.

治療

溶血性貧血は緊急性が高い

網赤血球増加を伴う貧血があり,溶血性貧血に共通する血清生化学所見が認められれば,その時点で血液専門医へ紹介する.
*溶血の原因は多数存在し,血栓性微小血管症(TMA)のように至急治療を要する場合もある.

輸血は特別な配慮が必要

自己免疫性溶血性貧血は輸血に際して特別な配慮が必要.
→輸血を考慮するほどの重症例は至急紹介

軽度の貧血では輸血はしない.
・輸血された赤血球が患者の持つ抗体と反応して溶血を起こしたり,自己抗体に同種抗体が加わって溶血を加速させたりする可能性があるため
・自己抗体が干渉するために交差適合性試験が困難で,適合製剤が見つけにくい場合がある

生命を脅かす重度の貧血に対しては,主に不規則抗体を考慮して適合血を選択し,必要最小量を注意深く,緩徐に輸血する.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

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