心不全

医学ノート(なすび用)

Heart Failure;HF

なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群.

1)高血圧・糖尿病ならびに脂質異常症などのリスクファクターから心血管障害を発症し,最終的には死に至る心血管病障害を発症し,最終的に死に至る心血管病の連鎖.
2)虚血性心疾患,高血圧性心疾患,弁膜症,心筋症ならびに先天性心疾患すべての器質的心疾患が至る.
3)自覚症状や運動耐容能低下のため,QOLが低下し,増悪による入院を繰り返し,致死性不整脈による突然死の頻度も高く,生命予後は極めて不良.

2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療(pdf)

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疫学

日本における心不全患者の総数は,推計で外来心不全患者数で約100万人,2020年には約120万人とすいていされている.
→人口当たりの有病率は~1%と見積もられている(人口ベースだと海外に比べやや少ない).

心不全を持ちながら高齢化していく高齢者が今後の心不全増加の一因になる.

左室駆出率による心不全の分類

検査施行時のLVEFによる心不全の分類

LVEFの低下した心不全 heart failure with reduced ejection fraction;HFrEF

LVEF 40%未満
・左室収縮機能障害が主体.
・現在の多くの研究では標準的心不全治療下での LVEF低下例がHFrEFとして組み入れられている.

LVEFの保たれた心不全 heart failure with preserved ejection fraction;HFpEF

LVEF 50%以上
・左室拡張機能障害が主体.
・診断は心不全と同様の症状をきたす他疾患の除外が必要である.
・有効な治療が十分には確立されていない.

LVEFが軽度低下した心不全 heart failure with midrange ejection fraction;HFmrEF

LVEF 40%以上50%未満
・境界型心不全.
・臨床的特徴や予後は研究が不十分であり,治療選択は個々の病態に応じて判断する.

LVEFの経時的変化による心不全の分類

LVEFが改善した心不全 heart failure with recovered EF;HFrecEF

治療経過とともにLVEFが改善して,HFrEFからHFmrEF/HFpEFに移行した,HFmrEFからHFpEFへ移行した患者群.
・予後は比較的良好とされている.

LVEFが悪化した心不全 heart failure with worsened EF;EFworEF

治療経過とともにLVEFが低下してHFpEFからHFrEFに移行した,HFmrEFからHFrEFに移行した患者群.
・予後は不良とされている.

LVEFが変化しない心不全 heart failure with unchanged EF;HFuncEF

経過に応じてLVEFに大きな変化を認めない患者群.

心不全の進展ステージ

ステージA:器質的心疾患のないリスクステージ

リスク因子をもつが器質的心疾患がなく,心不全症候のない患者

ステージB:器質的心疾患のあるリスクステージ

器質的心疾患を有するが,心不全症候のない患者.

ステージC:心不全ステージ

器質的心疾患を有し,心不全症候(既往を含む)を有する患者.
NYHA心機能分類はここから該当.

ステージD:治療抵抗性心不全ステージ

概ね年間2回以上の心不全入院を繰り返し,有効性が確立しているすべての薬物治療・非薬物治療について治療ないしは治療が考慮されたにもかかわらず,NYHA心機能分類Ⅲ度より改善しない患者.

補助人工心臓や心臓移植などを含む特別の治療,もしくは終末期ケアが適応になる.

NYHA心機能分類

Ⅰ度

・心疾患はあるが身体活動に制限はない.
・日常的な身体活動では著しい疲労,動悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じない.

Ⅱ度

・軽度ないし中等度の身体活動の制限がある.
・安静時には無症状.
・日常的な身体活動で疲労,動悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じる.

Ⅲ度

・高度な身体活動の制限がある.
・安静時には無症状.
・日常的な身体活動以下の労作で疲労,動悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じる.

Ⅳ度

・心疾患のためいかなる身体活動も制限される.
・心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する.
・わずかな労作でこれらの症状は増悪する.

高齢者心不全

診断上の特徴と問題点

①症状が非特異的なことが多い.
②患者の訴えが心不全なのか,COPDなどの併存症に由来するのか難しい.
③頚静脈の怒張や3音などの身体所見がとりにくい.
④併存するCKDなどのため,BNPなどの判断がときに難しい.

病態の特徴と問題点

①HFpEFの頻度が増加する.
②左室拡張能の低下があるため,左室流入が心房収縮に依存する.
→心房細動で心不全が悪化しやすい.
③わずかな容量負荷でも血圧が急激に上昇しやすく,電撃的な肺水腫を生じる.
④併存症(心房細動・冠動脈疾患・CKD・貧血・COPD・脳梗塞・認知症・フレイルなど)が多く,治療の阻害因子かつ予後不良因子となる.
⑤フレイルは,身体的フレイルだけでなく,社会的フレイルや精神的フレイルの評価も必要である.

治療上の特徴と問題点

①高齢者でもガイドラインに準じた治療が予後を改善する.
②一方,低血圧や腎機能障害のため,ガイドラインに準じた治療が困難なことも多い.
③内服アドヒアランス不良で,病態の悪化につながりやすい.
④ポリファーマシーになりがちである.
⑤心臓リハビリテーションの導入が少ない.
⑥適切なアドバンスケアプランニングが行われていない.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

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