HbA1c

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

NGSP:National Glycohemoglobin Standardization Program
 HbA1cの国際標準化:NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25%
JDS:Japan Diabetes Society

臨床的意義

ヘモグロビンβ鎖N末端のバリンが非酵素的化学反応でグルコースと結合したものであることから,その血中濃度はヘモグロビンが暴露される血糖値に応じて変化し,その値はヘモグロビンの血中半減期に対応して,過去1~2ヶ月間の平均の血糖値を反映する.

耐糖能正常者の基準値は4.6~6.2%.
・基準値は網膜症・腎症・末梢神経障害といった細小血管合併症を基に決められている→大血管合併症に関してもHbA1c値と発症率の関連性はあるものの,程度が違う.今後の研究結果待ち.
・伊藤らの検討で,空腹時血糖値126mg/dLおよびOGTT2時間値200mg/dLに相当するHbA1cを求めたところ,6.5%と判明したことや,国際的な疫学研究によりHbA1c 6.5%以上で糖尿病網膜症の発症が優位に増加することから,6.5%を糖尿病の診断基準の指標の一つとして取り扱われるようになった.

[HbA1c(NGSP)-0.4]×20で空腹時血糖が予測できる.

過去1~2ヶ月の平均血糖値は(HbA1c-1.7)×30に近似する.

測定方法

高速液体クロマトグラフィ(陽イオン交換樹脂HPLC)法,Hb に対する抗体で測定する免疫法,酵素法などがある.

HPLC法が高い精度と再現性,検査の迅速性から多くの施設ではHbA1cの測定にはHPLC法が使用されている.
・陽イオン交換HPLC法では,HbA1c は不安定HbA1c 分画と安定HbA1c分画の2 峰性として,隣接して溶出する.このうち,安定HbA1c 分画がHbA1c 値として報告される.

原理が異なるために,HPLC法で不一致が疑われる場合は免疫法などの他法で確認することが勧められる.

同じ陽イオンHPLC でも機種によって溶出プロフィールが異なることがある.
・HPLC はカラム充填剤の修飾や溶離液の違いにより,溶出度が微妙に異なる可能性がある.

留意点

血糖値の変動が大きい症例では血糖コントロール状態の実態を反映しがたい
→低血糖が存在すると,見かけ上のHbA1c値をよくしてしまう.

劇症1型糖尿病のように突然に高血糖状態をきたす病態では,HbA1cは高血糖状態を反映しない.高血糖の是正を開始した場合は血糖値の改善に遅れてHbA1c値が改善する.
→短期間の血糖コントロールの指標であるグリコアルブミン(GA)や1,5AG(anhydroglucitol)の測定が推奨される.

赤血球の正常なturn overおよびその寿命に依存するため,下記の疾患では通常の血糖値とHbA1c値の関係が成り立たない.

赤血球寿命が短縮している病態

通常の血糖値に比べてHbA1cは低値をとる.

急激に発症・増悪した糖尿病,貧血の回復期,溶血性貧血,大量輸血,大量失血,肝硬変(脾機能亢進),腎性貧血,エリスロポエチンで治療した腎性貧血など

赤血球寿命が延長している病態

通常の血糖値に比べてHbA1cは高値をとる.

高齢者,鉄欠乏性貧血,ビタミンB12欠乏性貧血,脾摘出術後など
→造血能が低下し,赤血球寿命が延びる.

異常ヘモグロビン症

大半の変異ヘモグロビン例においてHPLC法によるHbA1c は偽低値を示し,一部の変異ヘモグロビン例では偽高値を示す.

一部の変異ヘモグロビン例ではHPLC のクロマトグラム異常が見られる.

アミノ酸が置換したヘモグロビンは陽イオン交換クロマトグラフィでの移動度が正常のヘモグロビンと異なっているのと同様に,変異ヘモグロビンの糖化産物(HbX1c)がHbA1c と別の位置に泳動されることが主な原因で,HPLC によるHbA1c が異常値を呈する.
→変異ヘモグロビン症例に対して免疫法or酵素法によるHbA1cの測定が推奨される.

妊娠中

HbA1cが低下する(機序は不明).妊娠後期では約0.5%の低下.

タイトルとURLをコピーしました