Basedow病眼症/甲状腺眼症 Graves’ ophthalmopathy

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

・Basedow病では特有の眼症状を呈する.
・眼瞼腫脹,眼球突出,複視などの眼症を認めるものはBasedow病眼症または甲状腺眼症とよばれ,報告にもよるが,おおよそ10~20%の頻度で合併する.
・甲状腺眼症はBasedow病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織(眼瞼,涙腺,外眼筋,球後脂肪組織)の自己免疫性の炎症性疾患である.
 重症になると複視や視力障害をきたし,QOLが著しく損なわれる.
・甲状腺機能が正常のBasedow病眼症をeuthyroid Graves病,甲状腺機能が低下している眼症をhypothyroid Graves病という.

病態

・遺伝因子や環境因子などを背景に外眼筋抗原などを自己抗原とする自己免疫機序により外眼筋や球後組織に炎症を合併すると,Basedow病眼症を発症する.
 多くの眼症患者ではTRAbや甲状腺刺激抗抗体(thyroidstimulating antibody:TSAb)が高値を示す.
・過剰な甲状腺ホルモンによる交感神経の過緊張の結果,Muller筋が異常収縮して上眼験が後退し,虹彩の周りに強膜が見える(Dalrymple徴候).
 これは甲状腺機能の正常化とともに軽快する.
・外眼筋や眼窩脂肪織にリンパ球やマクロファージの浸潤.グリコサミノグリカンが沈着し,眼窩組織が浮腫状になり,眼球突出が起こる.

リスクファクター

1)喫煙
 喫煙が眼症の程度に関係する.
2)アイソトープ治療
 アイソトープ治療を行うと,甲状腺の破壊により一時的にTRAbが上昇する.
3)甲状腺機能低下症
 Basedow病の治療中に甲状腺機能が低下すると,上昇したTSHが眼症を悪化させる

症候

症状

流涙,眼窩痛,羞明,結膜充血,複視,視力障害

所見

・眼球突出,眼球運動障害,角膜・結膜障害
・眼症状として高頻度(50~70%)にみられるのは,上眼瞼の後退である.
 von Graefe徴候:下方注視時の上眼瞼の移動の遅れ
 Graefe徴候:下方視で,上眼瞼の下降が遅れるために上眼瞼と虹彩の聞に強膜がみえる.
 Moblus徴候:輻輳困難
 Dalymple徴候:上眼瞼挙上,眼裂拡大
 Stellwag徴候:瞬目の減少
 Basedow病眼症or甲状腺眼症(10~20%):複視,角膜潰瘍,視力低下,視野欠損など(治療する必要がある)
・重症度はNOSPECSで評価.
・活動性はclinical activity score (CAS)やMRIのshort inversion time inversion recovery(STIR)法などで評価する.
・眼球突出度はHertelの眼球突出計で測定する.
・眼窩MRI(T2)で外眼筋の肥厚,眼窩脂肪織増生.

治療

・Basedow病眼症は喫煙で悪化することがわかっているので,まず禁煙してもらう.
・甲状腺機能亢進症の治療により,眼症も軽快することがあるので,Basedow病の治療を開始する.
 その際,アイソトープ治療後に眼症が悪化することがあるので,眼症が活動性である場合は薬物療法か手術療法を選択する.
・活動性眼症に対して,ステロイドのパルス療法(0.5~1g×3日間×3クール)と,症例により放射線照射療法(1~2Gy×10回)が併用される.
 ステロイドによる重篤な肝障害の報告があるため総量を8g以下に減量することが勧められている.
・非活動性眼症には眼科的に機能回復手術が行われる.

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