糖代謝

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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空腹時(食間・夜間)

肝臓は毎分1.8~2.2mg/kgの糖を全身に供給し続ける(肝臓の糖新生)

膵臓のβ細胞は肝臓からの糖の放出量と全身における糖の取り込み量を適合させるために,常に一定量のインスリンを分泌している(基礎分泌).

インスリン基礎分泌により抑制された肝臓の糖新生率,グリコーゲン分解率,その結果としての肝糖放出率と,基礎分泌により刺激された筋や脂肪組織での糖取り込み率と,血糖値やインスリンレベルに影響されない脳・中枢神経系や血球成分による糖取り込み率の和がマッチして,血糖値は狭い正常域に保持される.

摂食時

栄養素の吸収による血糖値上昇
→瞬時のインスリン追加分泌亢進
→門脈インスリンレベル上昇による肝糖放出率低下,肝での糖取り込み率亢進
→肝を通り抜けたブドウ糖による末梢血血糖値上昇
→筋・脂肪組織での糖取り込み率上昇
→血糖値前値へ復する

食事をすると,食物中のでんぷんはアミラーゼでグルコースに分解され,小腸から吸収され門脈に入る.

約30%の糖は肝臓にグリコーゲンとして取り込まれ,残り70%は肝臓を通り抜けて全身の血液へと流れゆく.
→このときの血中グルコース濃度が食後血糖値であるが,膵β細胞からのインスリン分泌(追加分泌)によって,肝臓からの糖の放出を抑えると同時に,グルコースは筋肉や脂肪組織に速やかに取り込まれ,血糖値はまもなく低下する.

糖は重合してグリコーゲンとなり,糖肝臓,骨格筋に貯蔵される
・1日24時間の絶え間ない糖の消費に備える.
・肝臓には約100g,骨格筋には合計約400gが蓄えられる.
→それでも余る分は肝臓や脂肪細胞でグリセロールに変えられ,中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵される.

飢餓時

グルコースの供給源が食物の消化吸収→肝グリコーゲン分解→糖新生へと推移する.

食物由来のグルコース吸収は食後4時間程度で終わり,肝グリコーゲン分解による供給も16時間程度で消退する.
→その後はアラニン・乳酸・グリセロールなどを材料とする糖新生がグルコースの供給を行う.

絶食状態の初期(食物吸収が終了した直後) postabsorptive state

肝のグリコーゲンが,循環血液中に入るブドウ糖の主要供給源となる.
・乳酸やピルビン酸などの前駆物質からグルコースを産生する.

絶食状態の初期でFFA(遊離脂肪酸free fatty acid;FFA)を利用しているのは主に骨格筋と肝.脳はエネルギー源としてFFAを利用できない.

食後数時間以降

絶食状況が継続すると,血糖値維持のために,まず筋や他の組織では,エネルギー利用源として,ブドウ糖に代わって脂質の酸化が始まる.

血中への主要なブドウ糖供給源は,肝でのグリコーゲン分解から糖新生に置き換わる.

食後16時間以降

アラニン・乳酸・グリセロールなどを材料とする糖新生がグルコースの供給を行う.

ケトン体が代替エネルギー源として重要になる.

絶食状態では, 2つの要因により脂肪細胞中のトリグリセリド(TG)分解が刺激される.
①血糖値降下によるインスリン分泌の低下,それに伴う血中インスリン濃度の低下によるTGの合成低下と分解亢進.
②交感神経終末からのノルエピネフリン分泌がcAMP値の上昇を介し,直接脂肪分解を亢進.

体脂肪分解

脂肪滴を包むペリリピンのリン酸化とホルモン感受性リパーゼの活性化により引き起こされるが,両反応ともカテコラミンで促進されインスリンで抑制される.

血中レプチン濃度が体脂肪量と肝グリコーゲン量を反映する燃料メーターとして機能し,絶食時の脂肪分解に関与する.

FFAのミトコンドリアへの取り込み

FFAは肝細胞でアシル-CoAに変換され,カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ(CPT1)によってカルニチンと結合し,ミトコンドリアに取り込まれる.
・CPT1活性はインスリンで抑制,グルカゴンで増強される.

ケトン体生成

β酸化で生じたアシル-CoAを材料とするケトン体の産生は,FFAで活性化されるPPAR-αと,グルカゴンで活性化,インスリンで不活性化されるforkhead box A2(FOXA2)で制御されている.

ケトン体生成能は若年者で高く加齢とともに低下する.

年齢が高くなるほどケトン体上昇までの時間が長くなるが,成人でも24時間後にはケトーシスを呈する.

運動中

運動中の血糖維持には,骨格筋から放出された乳酸を基質とする糖新生(Coriサイクル)が重要.

肝臓

肝臓は糖の吸収と産生とを担う臓器であり,糖代謝の司令塔として臓器間ネットワークに中心的役割を果たしている.

肝からの糖産生はグリコーゲン分解と糖新生によって担われ,空腹時血糖と正相関する.

門脈血中に分泌されたインスリンは,まず肝からの糖新生・グリコーゲン分解を抑え,肝でのグリコーゲン合成を促進する.

肝臓はさらに,骨格筋由来の乳酸・ピルビン酸や糖原性アミノ酸のアラニン,脂肪細胞内の中性脂肪の分解によってできたグリセロールを材料として,グルコースを合成する.
→糖新生といい,肝臓が70~90%,腎臓が10~30%

2 型糖尿病患者の食後高血糖には,高インスリンでも是正できない肝糖新生抑制不全が寄与している
・骨格筋および脂肪組織におけるインスリンシグナルを同時に遮断すると,強いインスリン抵抗性が形成されるが高血糖は生じない.
・肝臓のみをインスリンシグナルを遮断すると高血糖を伴うインスリン抵抗性が生じることから,糖尿病の形成には肝臓の糖代謝破綻が大きく寄与するものと考えられている.

腎臓

血液中に存在するグルコースは腎臓の糸球体で濾過され,健康成人では原尿中のグルコースのほぼ100%が近位尿細管で再吸収されて,血液中に戻る.

腎臓の近位尿細管に特異的に発現しているナトリウム-グルコース共輸送体2(sodium-glucose co-transporter(SGLT)2)とSGLT1が重要な役割が役割を果たしている.

健康成人ではグルコースはほぼ完全に近位尿細管で再吸収され,尿中に検出されない.
糖尿病患者では原尿中のグルコース濃度が高く,SGLTの糖再吸収の限界を超えるため,尿中にグルコースが排泄される.

糖再吸収能の限界にあたる血糖の値は腎糖排泄閾値(renal threshold for glucose;RTG)と呼ばれ,健康成人ではRTGが180mg/dL程度とされているが,2型糖尿病患者ではRTGが健康成人よりも上昇しており(210~240mg/dL程度),糖の再吸収能が高くなっており,近位尿細管のSGLT2発現が亢進していることが知られている.

炭水化物が十分摂取されている状況では,脳のエネルギーはほぼ100%グルコースで賄われており,成人の脳は1時間に約5gのグルコースを消費する.

血液中のグルコースは血管内のGLUT1により脳内に移行し,GLUT3を介してニューロンに取り込まれる.

エネルギー不足状態では,アストロサイトの産生したケトン体がニューロンのエネルギー源となる.

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