glucocorticoid-induced osteoporosis
グルココルチコイド(GC)の長期治療を必要とする疾患は,数多く存在する.
GCの持続的投与により,Cushing症候群と同様の機序で,投与開始3~6カ月より骨密度低下と骨折リスクの上昇が生じる.

GC投与開始早期より骨折リスクが高まるため,ステロイド性骨粗鬆症に対しては速やかな治療介入が必要.
↓経口GCを3ヵ月以上使用中 or 使用予定の18歳以上の男女を対象としている.
なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.
疫学
ステロイド長期服用者の30~50%に骨粗鬆症を発症するとされている.
ステロイドの全身投与は骨量の減少と骨折リスクの上昇と密接に関わっており,骨への影響は投与開始後3ヶ月以内に始まり,6ヶ月でピークとなる.
・ステロイド開始後の骨減少率は初めの数ヶ月間は8~12%と高く,その後は2~4%/年の割合で減少する.
・骨密度減少が起こる前に骨折リスクの増加が起こる.
総投与量よりも1日投与量の影響が大きい.
隔日投与は連日投与よりも骨量減少しやすい.
PSL 5mg/日以上の使用ではすべての部位での骨折リスクが上昇するとされる.
病態
骨芽細胞のアポトーシスを誘導.
骨芽細胞の寿命の短縮,機能の抑制→骨代謝マーカーであるオステオカルシン,アルカリホスファターゼ,Ⅰ型プロコラーゲンC末端ペプチドの低下が起こり骨形成能が低下する.
腸管からのカルシウム吸収を抑制し体内のカルシウム量を減少させたり,尿中への排泄を促進する作用を持つ.
縦横の骨梁が均一に減少し,垂直方向(重力)に対する抵抗が弱い.閉経後骨粗鬆症と同じ骨密度としても,骨折リスクが高い.
フローチャート
経口ステロイドを3ヵ月以上 or 使用予定
↓
一般的指導(ライフスタイルの改善,食事栄養指導,運動療法など)
↓
個々の骨折危険因子をスコアで評価
(既存骨折,年齢,ステロイド投与量,骨密度)
↓
スコア≧3 薬物療法
スコア<3 経過観察(スコアを用いた定期的な骨折リスクの評価)
個々の骨折危険因子をスコアで評価
既存骨折
なし→0点,あり→7点
年齢(歳)
<50歳→0点,50≦ <65歳→2点,≧65歳→4点
ステロイド投与量(PSL換算mg/日)
<5→0点,5≦ <7.5→1点,≧7.5→4点
腰椎骨密度(%YAM)
≧80→0点,70≦ <80→2点,<70→4点

既存骨折,65歳以上,ステロイド投与量がPSL換算で7.5mg/日以上のいずれかが該当すれば,骨密度の関わらず薬物治療の適応!
薬物療法
第1選択薬
アレンドロネート,リセドロネート
代替治療薬
遺伝子組換えテリパラチド
イバンドロネート
アルファカルシドール
カルシトリオール

ガイドライン以降に保険承認されたゾレドロネートとデノスマブについては,海外において第一選択薬を上回る効果が示されており,第一選択薬の効果が乏しい場合は検討する.