個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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1980年にHutchinsonが最初に側頭動脈炎(temporal arteritis;TA)として報告し,1932年にHortonらがTAの臨床像や病理学的特徴を発表したことから,TAとしての古い概念が確立された.
その後,1941年にGilmoreが病理学的に巨細胞を認めることを報告し,giant cell arteritisの概念が確立された.
指定難病.
失明は,迅速な診断と治療によってのみ予防されることから,眼科的緊急疾患として認識される.
疫学
50歳以上の高齢者に生じる.
年齢と共に発症率が増加する.
やや女性に多い.
本邦の患者数は1999年に約700名と,かなり稀な疾患として報告されているが,最近の厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班の調査から,本邦のGCA患者数はTAKとあまり変わらない可能性もあると考えられている.
病態
多くの症例では,頸動脈の頭蓋外動脈枝が侵される.
眼動脈病変
最も重要な臓器障害は眼動脈病変で,3割前後の症例で初期から一過性黒内障を認める.
大動脈病変のみのGCA large vessel GCA;LV-GCA
頭蓋領域の血管病変を有しない.
リウマチ性多発筋痛症
GCA患者の約3割でリウマチ性多発筋痛症の合併がみられる.
症候
強い拍動性頭痛を訴え,浅側頭動脈の怒張・圧痛を認める.
血液検査
診断に有用な特異的な血液・生化学検査はなく,現状では,非特異的な炎症の指標であるC反応性蛋白(C-reactive protein;CRP),赤血球沈降速度(erythrocyte sedimentation rate;ESR)が診断に最も有用なマーカーとされる.
疾患活動性と血清IL-6とが相関する可能性が報告されている.
造影CT,造影MRI,頸動脈超音波検査
CT,MRIでは,主に大動脈とその分枝血管の壁肥厚と造影効果を評価できる.
18F-FDG-PET-CT
大動脈壁へのFDG取り込みが疾患活動性と相関するという報告が多くされていることを踏まえ,で2018年4月から保険適応となっている.
→他の検査で病変の局在診断や活動性の診断(可視化)が難しい場合に,非常に有用であると期待されている.
治療
副腎皮質ステロイド薬(GC)
眼症状・神経症状がない症例
PSL 0.5~1.0mg/kg/日(最大60mg/日)の投与が推奨される.
急激に眼症状,神経症状が出現した症例
ステロイドパルス療法(mPSL 0.5~1g/日)を先行.
その後,PSL 1mg/kg/日(最大60mg/日)の投与が推奨される.
再発しやすい(半数以上)ために,PSLの減量は,①症状,②血液炎症マーカー,③画像所見で寛解状態にあることを確認しながら慎重に進める.
→減量過程で再発した場合は,免疫抑制薬or生物学的製剤を併用して漸減を進める.
免疫抑制薬
効果は限定的と考えられている.
→GCの副作用などでPSLの十分量の使用が難しいor早期減量が必要な症例に対しては,メトトレキサート(MTX)が推奨される.
IL-6受容体抗体 tocilizumab;TCZ
2017年8月に保険適用承認(GiACTA試験)