食道胃静脈瘤

医学ノート(なすび用)

食道胃静脈瘤 gastroesophageal varices
食道静脈瘤 esophageal varix

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分類

食道胃静脈瘤は,食道胃噴門部静脈瘤と,食道静脈瘤を伴わない孤立性胃静脈瘤に分かれる.

食道胃噴門部静脈瘤は,胃噴門部小彎側から食道へ連続して存在することが多い.
→食道静脈瘤と同様の治療方針

病態

食道静脈瘤破裂のメカニズムとして,門脈圧上昇に由来する”explosion theory”と食道粘膜障害に起因する”erosion theory”が提唱されている.
→門脈圧上昇によって静脈瘤は形成・増大し食道粘膜は菲薄化され,さらに粘膜障害が起こることによって出血が引き起こされる.

食道・胃静脈瘤の初回出血を起こす有意な因子は,静脈瘤の大きさ,RC(red color)サインの有無,Child-Pugh scoreであるとされる.

治療

薬物療法

門脈血液量を低下させる薬剤

non-selective beta blocker(NSBB)→プロプラノロール,ナドロール
NSBB+α1 blocker→カルベジロール

β1遮断による心拍出量低下作用に加えて,β2遮断による腸管平滑筋収縮作用によって,門脈血液量を低下させることにより出血予防や再出血予防する.

最近は,α1 blocker作用も持つカルベジロールも注目され,より効果的に肝静脈圧較差を下げることが報告されている(生命予後,上部消化管出血については有意差なし).

実際の使用方法として,少量から開始し,収縮期血圧≦90mmHgにならないように増量していく.
(治療目標は安静時において心拍数25%以下 or 55bpm以下が推奨されている)

プロプラノロール10mg 1日3回から開始.1日量を30mg→60mg→90mgへと増量していく.

カルベジロール 5mg/日から開始.2.5mgずつ増量し,最大使用量は12.5mgとする.

血管作動性薬剤

バゾプレシン受容体拮抗薬はV1受容体を介して,血管平滑筋受容体に結合して強力な血管収縮作用を発揮し門脈血液量を減少させる.

実際の使用法として,ピトレシン®1回20単位を5%100mLに希釈し,0.2~0.4単位/分で血圧をモニターしながら精密持続点滴静注する.

バゾプレシンには心筋虚血・末梢動脈枝の虚血・不整脈・高血圧,腸管虚血などがあり,合併症を予防するために使用期間を最大24時間に限定し,亜硝酸製剤(ISMN)の併用が推奨されている.

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

肝硬変ではレニン・アンジオテンシン系が亢進することによって,星細胞が収縮し類洞圧が上昇する.

肝予備能の極端に低下した症例(Child C)へは使用しない,平均血圧低下症例では過度に血圧低下を起こす,腎機能が悪化している症例では過度の血圧低下・電解質異常が起こる可能性が示唆されている.

亜硝酸製剤 isosorbide mononitrate;ISMN

肝内でNOを増加させ,肝内の血管抵抗を下げる.

初回の出血予防効果は明らかではないが,再出血予防にはNSBBとISMNの併用治療が推奨されている.

PPIを中心とした胃酸分泌抑制

EVL治療後の潰瘍出血は2~4%程度存在するとされる.
EVLにより完全治療が得られた症例に対し,ラベプラゾール10mg投与で潰瘍出血を予防することが期待できる.

PPIの長期使用は,特発性細菌性腹膜炎や肝性脳症,CKDを有意に悪化させると報告がある.

balloon occluded retrograde transvenous obliteration;BRTO

排血路側からバルーンカテーテルを挿入し,静脈瘤への血流を遮断し塞栓することによって,静脈瘤の根絶を目指す.

BRTOの予防的な胃穹窿部静脈瘤治療の有効率は100%近く,治験結果に基づき保険収載されている.

門脈大循環シャントにより惹起された肝性脳症に対しては,そのシャントを閉塞することが病態の改善につながる.

孤立性胃静脈瘤においては供血路のみ塞栓するPTOなどと比べ再発率が低いとされ,治療後門脈血流の増加により肝予備能も改善されることも報告されている.

肝予備能が悪化した症例においては,シャント塞栓後,急激に門脈血流量・門脈圧が上昇し食道胃静脈瘤破裂,腹水悪化など治療後肝不全などが惹起されることがある.
→合併症に対しては十分留意する.

経皮経肝的静脈塞栓術 percutaneous transhepatic obliteration;PTO

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
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