胃食道逆流症 gastroesophageal reflux disease;GERD

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なすび医学ノート

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胃酸を多く含む胃の内容物が食道内に逆流して起こる病態を,胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease;GERD)という.

症状や食道の粘膜の状態によって,逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症とに分けられる.

逆流性食道炎 reflux esophagitis;RE
内視鏡的に下部食道粘膜に酸消化性粘膜病変の所見を示すもの.逆流症状の有無は問わない.

非びらん性胃食道逆流症 Non-Erosive Reflux Disease;NERD(ナード)
逆流症状があるものの,内視鏡的に同定されるびらん・潰瘍など粘膜障害ないもの

高齢化の進行とHelicobacter pylori除菌の普及に伴って逆流性食道炎、ひいては胃食道逆流症(GERD)全般が増加することが懸念されている.

疫学

食生活の欧米化,胃酸分泌過多,若年者のHelicobacter pyloriの除菌の普及と感染率の低下,臨床医のGERDに対する理解の向上などにより,週に1度以上の酸逆流症状の自覚でGERDと定義したときの本邦の有病率は6.5~9.5%と上昇傾向にある.
・欧米の有病率は10~20%.

原因

三大要因:①酸クリアランス ②逆流防止機構 ③胃酸分泌

病態

非びらん性胃食道逆流症 Non-Erosive Reflux Disease;NERD

REと同様の強い症状を呈する

①食道粘膜の知覚過敏
NERDでは食道粘膜の酸に対する感受性が高いために,少量の酸性粘液でも強い自覚症状が出現する.

②食道の二次蠕動運動異常
NERD例では,食道の中でも酸に対して敏感で感受性の高い粘膜を持つ上部食道にまで胃液が逆流していくため,強い症状を呈する.

GERD咳嗽

下部食道括約筋(lower esophageal sphincter;LES)の低下による胃酸や食道内容物の逆流が咳の発生に関与する.

reflux theory

1)胃酸や逆流胃内容物の下気道への微小誤嚥
2)胃酸や逆流胃内容物による咽頭喉頭刺激

食道裂孔ヘルニアや亀背を伴うような恒常的なLES圧の低下の状態でより生じやすく,夜間・起床時に多く,びらん性GERDが多いとされる.

reflex theory

一過性のLES圧低下(transient lower esophageal shpincter relaxation;TLESR)で生じやすいとされ,胃酸や胃内容物が下部食道の迷走神経受容体を刺激し,延髄孤束核に存在する咳中枢を介して咳反射が誘発される(食道気管支反射).

TLESRが夜間に比し昼間に高頻度に生じることから,咳は日中に多く,非びらん性GERDが多いと言われ,迷走神経反射を介したreflex theoryがGERD咳嗽の主な機序と考えられている.

診断

誘発因子として,会話・食事・起床・上半身の前屈・体重の増加が知られている.

PPI,消化管運動機能改善薬,肥満・食生活の改善といったGERに対する治療により,咳が消失or緩和することで確定診断となる.

治療

第一選択はPPIによる治療.

GERD咳嗽が疑われた場合,3ヵ月のPPIによる治療が推奨されている.
・食道症状に比べ,咽喉頭症状や咳の改善には時間を要する.

PPIは高用量から開始することが多いが,PPIのみでは効果が不十分であることが多く,消化管運動機能改善薬の追加投与が必要となることがある.

症状

胸やけ,おくび,呑酸,非心臓性胸痛といった典型的な食道症状の他,喘息,咳,喉頭部違和感/咽喉頭炎,歯牙酸蝕,中耳炎,副鼻腔炎,睡眠障害などの多岐にわたる食道外症状を呈する.
・食道外症状のみを自覚する患者も多く,GERDによる咳嗽患者の43~73%で食道症状を伴わない.

治療

生活習慣の是正

食事療法
→禁酒・チョコレート・高脂肪食・柑橘類・トマト・炭酸飲料の摂取回避・就寝前の飲食禁止

禁煙

減量

PPI

長期投与のリスク

①胃底腺ポリープ
②胃癌
③腸管感染症(CDなど)
④鉄欠乏,VitB12欠乏
⑤骨折(骨粗鬆症)
⑥認知症
⑦腎機能障害(CKD)
⑧死亡
など

漢方

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) ツムラ14番

みぞおちがつかえ,ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症

体力中等度の人で,心窩部の膨満感,腹中雷鳴があり,悪心,嘔吐,下痢などを訴える場合に用いる.

手術(噴門形成術)

適応基準(SAGES)

①内科的治療が奏功しなかった症例
・PPIの投与を続けても改善しない症例
・服薬を中断するとすぐに再発する症例
・コンプライアンスが悪く,内服の継続ができない症例
・内服薬でのアレルギーのため,内服困難な症例

②年齢,治療期間,医療費など諸事情により内科的治療に成功しても外科治療が望ましい症例

③Barrett 食道や狭窄,高度の食道炎を合併する症例

④ 巨大な食道裂孔ヘルニアによる出血や嚥下障害などの合併症を有する症例

⑤ 喘息,嗄声,咳嗽,胸痛,誤嚥などの非定型的な症状を有したり,24h pHモニターリングで高度の逆流を証明しうる症例

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