機能性消化管障害 functional gastrointestinal disorder;FGID

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

器質的疾患によらない腹部症状を慢性的に訴える疾患.

代表的疾患は,内視鏡で異常を認めないのに慢性的にディスペプシア(上腹部)症状を呈する機能性ディスペプシア(functional dyspepsia;FD)と,器質的疾患がないのに腹痛と便秘・下痢などの便通異常を呈する過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS).

機能性ディスペプシア functional dyspepsia;FD
症状の原因となる器質的・全身性・代謝性疾患がないにも関わらず,慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患.

過敏性腸症候群 irritable bowel syndrome;IBS
腹痛or腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性or再発性に持続する疾患.

FGID患者数は極めて多いだけでなく,患者のQOLは大きく低下しているため,正しく診断し,治療することが重要.

特徴

健常人と患者を区別するのは症状がどの程度起こるか.
→健常人は腹部症状が稀or時々起こるのに対して,FDやIBSでは胃腸の不調は慢性的に起こる.
 症状は慢性的であるが,持続的ではない.症状は消失し,また時折出現する.

原因

消化管の微細炎症

十二指腸での好酸球や肥満細胞を主とする微細な炎症細胞の浸潤
(腸炎後,幼少期の強いストレスなど)

十二指腸粘膜の感受性が亢進

病態

消化管のストレスに対する過剰応答.

内臓知覚過敏

直腸にバルーンを入れて膨らませたときに,IBS患者では健常者に比して,有意に低いバルーン容量で痛みやバルーンの存在を感じる.
FD患者の胃内でも同様に知覚過敏がある.

運動機能異常

IBS患者では,大腸運動に異常を認め,下痢や便秘の原因となる.

FD患者でも,食事摂取時の穹窿部反応性弛緩反応の障害が早期満腹感を生じさせ,胃排出時間の遅延は胃もたれを誘発する.

その他

精神心理的異常,胃酸分泌異常,H.pylori感染,食事・生活習慣,幼児期・成長期環境,遺伝子異常,消化管感染症後の残存炎症などの多くの因子が症状と関連があることが報告されている.

治療

FGID患者では自律神経のバランスが崩れているため,元に戻す努力が必要.
→自律神経を鍛える.

ストレスの軽減

不安状態では交感神経優位の状態となる.
FGID患者は,人間関係や自分の健康に対する不安が強く,ストレスになっていることが多い.

1)説明と保証が重要であり,良好な医師患者関係の構築が必要.
2)規則正しい生活を送る.
3)食事や睡眠などのライフスタイルに対する指導も重要.

薬物療法

生理機能の変容が症状の原因であるため,一般的に薬物療法の効果は少ない.

一般的にFDには,H.pylori治療,酸分泌抑制薬や運動機能改善薬,抗不安薬などが用いられるが,厳密な試験で偽薬の効果を有意に上回る薬剤はほとんどない.
・日常臨床における薬物治療の有効性の多くは,プラセボ効果と思われる.

IBSに対しては,腸内環境を整えながら,下痢型・便秘型には対症的に薬剤を使用する.
・下痢型IBS→5HT3拮抗薬
・便秘型IBS→グアニルシクレラーゼ受容体作動薬
・重症例→認知行動療法,催眠療法などの心療内科的治療

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