なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.
疫学
高齢発症が多い.
予後不良.
食道癌の5年生存率は47.5%(胃癌72.1%,大腸癌72.6%)
特にⅣ期が低い(9.2%)
病態
食道癌は,扁平上皮癌と腺癌に大別される.
日本人を含めアジア人に多い扁平上皮癌と,欧米人に多い腺癌では,リスクファクター・予後・薬剤・放射線感受性が違うことに注意!
本邦においては,腺癌が近年増加傾向にあるものの,依然9割以上を扁平上皮癌を占める.
治療
内視鏡治療
治療適応
扁平上皮癌
臨床的に壁深達度が粘膜上皮(EP) or 粘膜固有層にとどまるもの(LPM)が内視鏡治療の絶対適応,粘膜筋板に達したもの(MM),粘膜下層にわずかに浸潤するもの(200μmまで;SMI)が相対適応となる.
腺癌
臨床的に粘膜内癌(CT1a(M);SMM,LPM,DMM)が内視鏡治療の適応病変.
内視鏡的粘膜切除術 Endoscopic mucosal resection;EMR
スネアで把持・絞扼して切除するため,切除サイズが制限される.
→1.5cm以下の比較的小さな病変に適応されることが多い.
内視鏡的粘膜下層剥離術 Endoscopic submucosal dissection;ESD
全周性の進展が長軸方向へ5cmまでの病変であれば,ESDによる一括切除後,狭窄予防処置を施すことで,内視鏡による安全な根治術が期待される.
狭窄予防処置
通常,ESD直後のステロイド(トリアムシノロン 80~100mg)局注 or ESD翌々日からのステロイド内服(PSL 30mg/dayから開始)
治療判定
内視鏡治療後の病理診断で,扁平上皮癌の場合,断端陰性,脈管侵襲性の粘膜内癌(EP, LPM, MM),腺癌の場合,断端陰性,脈管侵襲陰性の未分化成分のない粘膜内癌(SMM, LPM, DMM)の場合は根治が期待できる.
MM and 脈管侵襲陽性 or SMの場合は,追加治療として外科切除 or 化学放射線療法が強く推奨される.
化学療法
進行食道癌に対しては,化学療法が生存期間延長に寄与する明確なエビデンスはなかった.
2017年までは,
一次→FP療法(5-FU+CDDP)
二次→DTX,PTX
最近では,免疫チェックポイント阻害薬のエビデンスが出てきて(KEYNOTE-181試験,ATTRACTION-3試験),二次治療以降の新たな標準治療をなっている.
一次→FP療法(5-FU+CDDP)+Pembro or Nivo
二次→ペムブロリズマブ(Pembro),ニボルマブ(Nivo)
化学放射線療法
化学放射線療法後に切除した術後補助療法として,Nivo単独療法が推奨治療に.
光線力学療法 photodynamic therapy;PDT
化学放射線療法後に再発した場合においても,
1)遺残再発病変の壁深達度が固有筋層に留まる
2)長径3cm以下
3)半周以下
4)頸部食道に浸潤していない
上記の場合は,根治する可能性がある.