個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
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鼻腔への血流は内頸動脈からの前・後篩骨動脈や外頸動脈からの蝶口蓋動脈などが複雑に吻合して成り立っている.
鼻出血の約90%は鼻中隔前下方の静脈叢(キーゼルバッハ部位,Kiesselbach’s area)から.
→この場合は出血量も少なく圧迫のみでほとんどが止血できる.
後篩骨動脈や蝶口蓋動脈などの後方,上方からの出血は圧迫ができず止血も困難.
→出血量も多く耳鼻科コンサルト
おすすめ医学書
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止血困難な因子
1)抗凝固薬や抗血小板薬内服中
2)コントロール不良の高血圧がある場合
3)血液疾患・悪性腫瘍・肝硬変・腎疾患などが基礎疾患としてある場合
治療
出血点を探す
ティッシュで鼻をかんで凝血塊を取ってから,鼻鏡ですばやく出血点を観察し,確認.
鼻腔内に凝血塊が残ったままでは,圧迫しても鼻出血が継続しているのか,圧迫が効いていないのかの判断ができなくなる.
圧迫止血
鼻出血の90%はしっかりした適切な圧迫で止まる.
前傾姿勢をとる(「考える人」のように).
鼻出血圧迫止血法
用意するもの:鼻鏡,5,000~10,000倍稀釈アドレナリンをしみ込ませた綿球 or ガーゼ or ティッシュ
1)鼻をかんで出血点を確認したら,アドレナリンをしみ込ませた綿球を鼻内に挿入.
2)「考える人」のように首を前傾させタオルやガーゼの上から鼻翼をつまみ,15~20分程度ひたすら待つ.
ここで咽頭に鼻血が垂れていたら,後方出血.
圧迫して止血したら,15分程度は経過観察をしてから帰宅.
前方パッキング
圧迫で止血が得られなければ,前方パッキングによる鼻腔内側からの圧迫止血を行う.
①前方リボンガーゼパッキング
②止血用パッキング器具の使用
③吸湿性セルロースの挿入など