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気腫性膀胱炎は膀胱壁内または膀胱腔内,あるいはその両者に,微生物により産生されたガスが貯留する比較的まれな疾患.
疫学
男性:女性=1:1.8と女性に多い.
1)気腫性膀胱炎の発症危険因子としてはDMの合併がもっとも多く,約70%に認めるとされる.
2)他の危険因子として慢性尿路感染や神経因性膀胱,尿路閉塞,アルコール多飲などが報告されている.
3)維持透析患者は原病としてのDM や膀胱機能低下など,気腫性膀胱炎の発症危険因子を多く有するが,報告例は少ない.
病態
起因菌
1)一般的な尿路感染症と同様にE. coliおよびKlebsiella pneumonia の報告が多く,この2菌で全体の60~80%程度を占める.
2)その他の起因菌として,Enterobacter,Proteus,Streptcoccus などが報告されている.
発症機序
1)膀胱組織内のglucose が細菌により分解されることで,膀胱粘膜下に二酸化炭素が貯留し気腫像を形成すると報告されている.
2)病状の進行とともに気腫は膀胱壁内に多中心性に増大・癒合し,その一部が破裂して膀胱腔内に遊離ガスが生じるとされている.
症候
1)臨床症状は非特異的だが,腹痛および肉眼的血尿を呈することがもっとも多く,それぞれ80%,60%に認めるとされる.
2)敗血症性ショックや膀胱破裂から死亡する症例も報告されており,全死亡率も3~12%と決して低くはない.
培養検査
50%で血液培養陽性になる.
治療
気腫性膀胱炎の予後は上部尿路の気腫性感染症と比較し良好であり,適切な抗生剤投与と排尿管理で多くが軽快するが,まれながら敗血症性ショックに陥り死亡したとする報告もある.
早期に診断し治療することが重要
抗菌薬
膀胱ドレナージ
導尿,バルーン留置
外科的治療
適応
・保存的治療不応性
・壊死性感染症
・気腫性腎盂腎炎の合併例
術式
膀胱部分切除
膀胱全摘
腎臓摘出術の併用(気腫性腎盂腎炎の合併例)