救急医療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

病歴聴取

SAMPLE

S:Symptom(症状・症候)
A:Allergy(アレルギー)
M:Medication(内服・薬剤歴)
P:Past history(既往歴)
L:last meal(最終食事時間)
E:event(発症経過)

突然発症と時系列を意識した症状の確認

「何をしているときに,その症状が起こったのか?」

「いつまで元気であったか?」
→急性・亜急性・慢性疾患の鑑別

患者背景

虚血性心疾患のリスクが高い背景
喫煙,糖尿病,脂質異常,男性,家族歴,虚血性心疾患の既往(最も重要)

社会歴では,喫煙・飲酒・職業・渡航歴.
必要に応じて,家族歴,セクシャルアクティビティ,パートナーの性別.

バイタルサイン

古典的バイタルサイン→呼吸数,体温,脈拍,血圧
第5・第6のバイタルサイン→意識,SpO2モニター,尿量

呼吸数

呼吸数 12~18/分

呼吸数は最も鋭敏に病態を反映しやすく,心停止やICU入室などアウトカムを予想するうえで最も重要.

呼吸数の測定は,患者の胸郭の動きを最低30~60秒間は観察して数えるようにする.

なすび院長
なすび院長

容態急変に対して非常に強力な指標
敗血症のqSOFA scoreでも,呼吸数≧22/分として取り入れられている.

頻呼吸(≧20回/分)
低酸素血症.アシドーシス,敗血症など
・外来で発熱と咳嗽がある患者が受診し,呼吸数>28/分であると,感度7~36%,特異度80~99%,尤度比2.7と肺炎の診断に絞り込める.
・肺炎の診断で,呼吸数>30/分であると,陽性尤度比2.1と死亡率を上げる.

パニック発作に伴う頻呼吸に対しては,息を止めてもらうことができるかトライする.
→急性腹症や重度呼吸不全ですら数秒程度の息止めを努力してもらえることが多いが,心因性ではできない.

SpO2モニター

SpO2 92%以上(年齢・基礎疾患による)

体温

36.5℃±0.5℃(高齢者は-0.5℃)

正常時の体温は早朝に低く,夕方に高い.
→生理的に発熱は夕方以降に顕著になりやすい.

年齢・体格・測定時の服装・測定方法の違いで,0.5~1.0℃以上容易に変動し得ることに注意.
・高齢者は発熱する能力そのものが損なわれていることが多く,評価に注意.

体温が1℉ずつ上昇する度に生理的に脈拍が10pbmずつ上昇する.
→0.55℃の体温の上昇で,脈拍は10pbm増加
→1℃の体温上昇で,脈拍は18bpm増加

pulse temperature deficit(体温-脈拍関係の欠如)
発熱に対して脈拍の増加が伴わないもの.
比較的徐脈→一部の感染症,薬剤熱,β遮断薬内服,中枢神経の障害,悪性リンパ腫などの腫瘍熱,詐病(詐熱)など

脈拍

高齢者 50~95bpm
成人 60~95bpm

米国の23000人のコホート研究では,脈拍の95%が50~90bpmに含まれており,その範囲を正常域として設定することで,頻脈に対する感度と徐脈に対する特異度が改善され,異常を検出しやすくするとされた.

洞性頻脈
循環血液量減少(出血・脱水)
感染症
痛み

敗血症や肺炎の細菌感染を疑う患者に,「頻脈がある」という情報が追加されるだけで,死亡率が上昇する(LR+2程度).

血便や黒色便の患者に,「頻脈がある」という情報が追加されるだけで,活動性の上部消化管出血病変を見つける可能性を約30%程度高めることができる(LR+4.9).

血圧

収縮期血圧 100~125mmHg
拡張期血圧 65~84mmHg

入院患者の収縮期血圧が90mmHgを下回っている場合は,結果的に予期せぬ死亡やICU入室になる可能性が30%程度も大きく上昇する(LR+4.7).
・収縮期血圧が80mmHgを下回っている場合は,50%以上も上昇する(LR+16.7).

なすび院長
なすび院長

脱水や迷走神経反射などの安易な診断はつけず,常に重篤な鑑別疾患から除外する.

Shock index(PR/SBP)>1であれば,循環血液減少性のショックである可能性が高い(感度47.9%,特異度90.5%).
・最近の研究では,cut off値を1.11とすることで,高い精度で予測することができると報告されている(感度91.3%,特異度79.7%).

意識障害があり,SBP≧160mmHgであれば,代謝性疾患よりも脳出血などの頭蓋内病変が示唆される(高ければ高いほど,確率が高まる).

意識

JCS0,GCS15

尿量

0.5~1.0mL/kg/hr以上

POCT(point of care testing) 臨床現場即時検査

被験者の傍らで医療従事者(医師や看護師等)自らが行う簡便な検査.

医療従事者が検査の必要性を決定してから,その検査によって行動するまでの時間の短縮および被験者が検査を身近に感ずるという利点を活かして,迅速かつ適切な診療・看護,疾病の予防,健康増進等に寄与し,ひいては医療の質,被験者のQOLおよび満足度の向上に資する.
*小型で容易に持ち運べる簡便な機器・試薬を言うのではなく,あくまで検査の仕組み(システム)を示す.

利点
・Therapeutic turnaround timeが短く,臨床判断が容易となる.
 緊急検査は1時間程度を有するが,POCTは30分以内に検査データを利用できる.
・即時結果により患者予後が改善する可能性がある
・大型の分析装置より採取する検体が少量ですむ
・医療スタッフの効率がよくなる
・検体搬送が不要で保存による検体の劣化がない

欠点
・結果の信頼性(検査実施者の技術の問題,簡易検査として扱われている,測定過誤の解析が難しい,精度管理が難しい)
・日常検査との不整合(測定方法が異なる)
・管理上の問題(機器・操作者が多い,試薬保存管理が適切に行われにくい)
・ネットワーク化が遅れている(医師の依頼,結果の記録,適切な会計処理が問題になることがある)
・経済性(ランニングコストが高い)

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