心エコー echocardiography

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

方法

断層像(Bモード)

・心臓の任意断面をリアルタイムに表示
・心臓の形態と動態評価が可能

・虚血性心疾患の診断
・先天性心疾患の診断
・弁膜症の診断
・心腔の拡大・肥大の評価

Mモード

・距離計測や時相分析に優れる

・心拍出量/駆出率の推定
・時相分析

カラードプラー法

血流の評価

・異常血流のスクリーニング
・弁逆流の定性評価
・短絡血流の同定

パルスドプラ法

・任意領域の血流推定が可能
・血流の時相分析が容易
・速い血流の測定は困難

・心機能評価
・逆流/短絡血流の検出
・心拍出量の測定

連続波ドプラ法

・速い血流の測定が可能
・距離分解能がないため、血流測定部位の同定が困難

・簡易ベルヌーイ方式による圧較差の推定
・心内圧の推定

3次元法

容積計測は正確で,かつ良好な再現性がある.
→左室容積の計測,左室駆出率の算出に適している.

スペックルトラッキング法

心機能ストレイン指標である,左室・右室の定量的心筋収縮能指標が得られる.
・ストレイン指標は,心筋障害を鋭敏かつ早期に検出できることが報告されている.

2次元断層心エコー図法・3次元心エコー図法において,局所心筋の特徴的正常を表すスペックル,すなわち局所毎に模様の異なる点状エコーをフレーム毎に追跡し,その始点と終点を決定することにより,局所心筋長の変化を数値化する.

経食道法

・肺の影響を受けないため、明瞭な画像が得られる.

・経胸壁の記録不良例の欠点をカバー
・人工弁の評価
・肺静脈血流の検出

計測値

大動脈径 aorta diameter;AoD

正常値 31~36mm

36mm以上で拡大

左房径 left atrial dimension;LAD

左心系負荷の指標になる.

正常値 19~40mm

41mm以上で拡大
*Af・Pafで拡大する

心室中隔壁厚 interventricular septal thickness;IVST

正常値 7~12mm

IVST(心室中隔厚)+PWT(心室後厚)
Bモード左室長軸断層で,右室成分は除き,左室壁に対して垂直な断面で壁厚を測定
 25~30mm→軽度左室肥大
 30~40mm→中等度左室肥大
 40mm以上→高度左室肥大

左室後壁壁厚 left ventricular posterior wall thickness;PWT

正常値 7~12mm

下大静脈径 inferior vena cava diameter;IVC

正常値 10~23mm

太さが23mm以下で呼吸で50%以下に虚脱するのは右房圧上昇なし

左室拡張末期径 left ventricular end-diastolic diameter;LVDd

左室を回転楕円体と仮定し, 傍胸骨長軸像あるいは短軸像で, 左室最大短径を通るビーム方向での心室中隔左室側心内膜面から, 左室後壁心内膜面までの垂直 (直線) 距離を拡張末期計測する.

正常値 40~53mm

54mm以上で拡大

左室収縮末期径 left ventricular end-systolic diameter;LVDs

左室を回転楕円体と仮定し, 傍胸骨長軸像あるいは短軸像で, 左室最大短径を通るビーム方向での心室中隔左室側心内膜面から, 左室後壁心内膜面までの垂直 (直線) 距離を収縮末期計測する.

正常値 23~42mm

左室心筋重量 left ventricular mass index;LVMI

正常値 50~100g/㎡

<Mモード法>
LV mass(g)=0.8×[1.04(LVDd+PW+IVS)3-(LVDd)3]+0.6

左室収縮能

左室から大動脈への血液の駆出動態
・収縮能は前負荷・後負荷および心筋全体の収縮性により決定される。

前負荷
心筋収縮直前にかかる負荷で左室拡張末期容積に代表.
循環血液量,体内血流分布,静脈還流量,左室コンプライアンスなど

後負荷
心筋収縮開始直後にかかる負荷.
左心室では大動脈圧,右心室では肺動脈圧に代表.
・末梢血管抵抗,大動脈弁狭窄,血液粘稠度,動脈の弾性,心室容積など

左室駆出分画 left ventricular ejection fraction;EF

左室1回拍出量 stroke volume (SV) の左室拡張末期容積 left ventricular end-diastolic volume (LVEDV)に対する割合で表わされる.

左室駆出率(%)=[左室拡張末期容積(LVEDV)-左室収縮末期容積(LVESV)]×100/LVEDV

正常値 60~80%

LVEF<40%→high risk

Mモード法による評価

左室内径短縮率(% fractional shortening: %FS)=(LVDd-LVDs)/LVDd×100(%)

・1回拍出量(stroke volume: SV)=EDV(拡張末期容積)-ESV(収縮末期容積)(mL)
・心拍出量(cardiac output: CO)=SV×HR(心拍数)(L/min)
・駆出率(ejection fraction: EF)=SV/EDV(%)

Teichholz法 ティーショルズ
V=7.0×D3/(2.4+D)で算出.一般的

・この式は拡大し, 球形に近づいた左室にも応用でき, 左室造影で求めた容積と相関がよいとされている.
・心室瘤など左室の形態が回転楕円体から大きくはずれる症例には適応できない.
・心室壁運動が局所的収縮異常 (asynergy) を伴う症例にも不適.

断層法(Bモード)による評価

左室長軸断面の腱索レベルのLVDdとLVDsを計測し,計算する.

Simpson変法 modified Simpson法 ディスク法
現在のスタンダードな方法(正確さ重視)
心尖部二腔および四腔断面の2断面から左軸長軸に対して直角な20ディスクの総和を左室容積とみなし,左室容積V=π/4Σai・bi L/20 (ai/bi:二腔および四腔断面の各ディスクの短径,長径).
・この計測式は超音波診断装置に内蔵されている.

ドプラ法による評価

1回拍出量,心拍出量 SV=0.785×D2×VTI(mL)
 D: 流出路直径
 VTI: velocity-time integral(速度時間積分値)

心係数(cardiac index: CI)=CO/BSA (ml/min/㎡) 
 CO=SV×HR(L/min)
 BSA: 体表面積

最大dp/dt (peak dp/dt)
連続波ドプラ法で得られた僧帽弁逆流の血流速波形の血流速が1m/sec→3m/secに増加するまでの時間(T)を測定し,計算式peak dp/dt(mmHg/sec)=32000/T(ms)により求める.
max dp/dtが1200mmHg/sec以上では収縮性が保たれていると判断する.

左室拡張能

左房から左室への拡張期の血液流入動態

拡張能は左室弛緩と左室stillnessの2つに分けることができる.
・心筋は収縮が終了した直後に心筋自ら能動的に拡張する特性があり,この過程が左室弛緩.左室弛緩は拡張早期に起こり,左室収縮後における左室圧降下速度および心筋細胞の進展長を規定する.
・左室stillnessは左室の受動的な固さを示し,拡張中期~後期の左室流入動態に影響を与え,左室拡張期圧と左室拡張期容積の関係から評価される.
・肥大心や虚血心において最も早期に出現する心機能異常は左室弛緩の遅延であり,拡張障害に基づいて発症する拡張不全は左室流入血流速波形,肺静脈血流速波形,僧帽弁輪部の組織ドプラ法を組み合わせることで,予後を反映する有用な指標になる.

左房径の拡大

E波とA波(左室流入血流速度波形)

E波:左室急速流入血流速度(最初に心室が拡張する事で左室流入する血流)

A波:心房収縮期流入血流速度(次に心房が収縮する事で左室流入する血流)

パルス・ドプラ法による左室流入血流速波形は,洞調律の場合,拡張期早期波(E波)と心房収縮期波(A波)の二峰性を示す.
→パターンにより拡張能の重症度を示すことができる.

E/A比は加齢に伴い減少し,20-30歳代では約2であるが,50歳前後では約1となり,60歳以上では通常1以下になる.

拡張早期血流最高流速(E波=左室の陰圧)と房収縮期血流最高流速(A波=左房の陽圧),その速度比(E/A),およびE波の減速[弛緩]時間(deceleration time:DcT)などが計測される.
*AcT(acceleration time):E波のピークに至るまでの時間
*DcT(decelaration time):E波のピークからの減速時間(200±40msec)

血流波形は左室拡張末期圧の上昇に伴い,正常型から弛緩障害型→偽正常化型→拘束型へと変化する.

正常型では,E/Aが1~2,DcTが160~240msecとされている.
・弛緩障害型(abnormal relaxation)では,E/Aは1未満となり,DcTは240msec以上となる.
・更に進行すると,左房圧↑が上昇し,E波↑(E/A>1), DecT↓となり,偽正常化(pseudo-normalization).
・更に進行すると,もっと極端になる.E/A>2,DecT<150

E波とe’波(組織ドップラー)

e’波:僧帽弁輪部の拡張早期最大速度.E波と比較し前負荷の影響を受けにくく,左室拡張能の低下に従い低下する(偽正常化しない).
*記録部位が動く事が前提;心筋梗塞でasynergyだと全く当てにならない.また,僧帽弁疾患・心膜炎だと当てにならない.

左室流入速度E波とE’波の比(E/e’)は,左室充満圧を反映すると考えられており,エコー検査で一番信頼性高い.

EF保たれている場合
E/e'<8は正常
E/e’>13は拡張期圧上昇している=拡張不全

8~13の場合、以下があれば拡張不全.
LA容量>34mL/㎡,Ar持続時間>30ms,PA収縮期圧>35 (肺疾患ない前提)

肺静脈血流速波形

・4腔断面像で右上肺静脈血流がわかる.
・パルス・ドプラ法による肺静脈血流速波形は収縮期順行性血流(S波)と拡張期順行性血流(D波),心房収縮期逆行性(PVA波)によって構成される.加齢に伴いS波は増大,D波は低下,S/D比は増加する.

拡張不全の重症度分類

Grade 1(高齢の場合、正常範囲内とする )
E/A<0.8,S>D,e’<0.08m/s,E/e’<8

Grade 2
E/A>1, E/e’>10,Ar波持続時間>30ms

Grade 3(心不全治療で改善しうる.しない場合,予後が悪い)
E/A>2,DecT<160ms,IVRT<70ms,SFF<40,E/e’>13

左室16分画

心基部(base),中間部(mid),心尖部(apical)の3つに分ける.

心基部(basal) [6分画]
①前壁(anterior)
②側壁(lateral)
③後壁(posterior)
④下壁(inferior)
⑤中隔(septal)
⑥前壁中隔(antero-septal)

中間部(mid)[6分画]
⑦前壁(anterior)
⑧側壁(lateral)
⑨後壁(posterior)
⑩下壁(inferior)
⑪中隔(septal)
⑫前壁中隔(antero-septal)

心尖部(apical)[4分画]
⑬前壁(anterior)
⑭側壁(lateral)
⑮下壁(inferior)
⑯中隔(septal)

wall motion score index

正常(normokinesis)= 1 点
低収縮(hypokinesis)=2点
無収縮(akinesis)=3点
奇異収縮(dyskinesis)= 4点
心室瘤(aneurysm)= 5 点
に分類して,各領域の半定量評価の合計値を16で割った値をwall motion score indexと称して,壁運動のパラメータとしている.
・この値が高いほど壁運動異常が高度.

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