脂質異常症 診断

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

診断基準

LDL-C 140 mg/dL以上(高LDLコレステロール血症)
TG 150 mg/dL以上(高トリグリセリド血症)
HDL-C 40 mg/dL未満(低HDLコレステロール血症)

1)10~12時間以上の絶食を空腹時とし,水とお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする.
2)LDL-Cの測定は原則として空腹時採血で測定したTC,TG,HDL-Cより,Friedewald式で算出する.
3)TG>400や食後採血の場合には,non-HDLを用いて評価する.

身体所見

アキレス腱の肥厚

特に家族性高コレステロール血症で比較的頻度が高く,診断的価値が高い.

黄色腫

コレステロールエステルを多量に含む泡沫細胞の集簇により生じる特有の所見.主に皮膚ならびに腱に好発する.

角膜輪

肝腫大

高カイロミクロン血症

血液検査

LDL,レムナント,small dense LDL,Lp(a),変性LDL(酸化LDL・糖化LDLなど)は粥状動脈硬化を進展させるリポ蛋白.
1)血管壁でマクロファージに取り込まれ,泡沫細胞形成から初期病変(脂肪線条)を形成
2)長期にわたるコレステロール蓄積,血管平滑筋細胞の増殖,細胞外線維組織の増生,石灰化などの因子が加わり,進行した粥状動脈硬化病変(粥腫)を形成する.

HDLは粥状動脈硬化の発症・進展を抑制するリポ蛋白.

総コレステロール total cholesterol;TC

遊離コレステロール(free cholesterol;FC)と,脂肪酸とエスエル結合したコレステロールエステル(cholesterol ester;CE)を合わせたもの.

・アポ蛋白とともにリポ蛋白の構成要素として血中に存在し,LDLやHDL内に多く存在する.

・測定値は食前後で変化しにくい.

トリグリセリド triglyceride;TG

グリセロールに脂肪酸がエステル結合したもの.

・アポ蛋白とともにリポ蛋白の構成要素として血中に存在し,VLDLやカイロミクロン(CM)内に多く存在する.
・1000mg/dL以上の異常高値では乳びとなり,測定値に影響を及ぼす.

・高TG血症では,レムナントやsmall dense LDLの増加,低HDL-C血症を合併することが多く,粥状動脈硬化を促進させる可能性がある.

・食事に摂取時間や内容,アルコール摂取の影響を受けるため,原則として10~12時間以上絶食し空腹時に採血を行う.

食後高脂血症

食後に高TG血症が顕著で,しかも遷延する状態

・粥状動脈硬化の発症リスクを増加させる.
・食後高脂血症では血清中に力イ口ミクロンレムナントが増加している.

低比重リポ蛋白 low-density lipoprotein cholesterol;LDL-C

コレステロールに富み,末梢組織へコレステロールを運搬するリポ蛋白.

直接法と間接法があり,現在までのエビデンスが 総コレステロール値を測定してFriedewald(フリードワルド)の式でLDL-C値を求めた結果から導かれていること,またLDL-コレステロール値の直接測定法がまだ 十分に標準化されていないことなどより,間接法が推奨されている.

間接法(Friedewaldの計算式)

LDL-C=TC-(TG/5+HDL-C)
*TGが300~400mg/dL未満が前提

・VLDLに含まれるコレステロールは平均トリグリセライドの5分の1(重量)であるという仮定に基づいている.
→トリグリセライドの値が比較的低い時はかなり正確で,計算結果はLDL-C値をよく反映するが,これが高くなるにつれてVLDLやカイロミクロンのコレステロール含有量はトリグリセライドの5分の1よりもかなり少なくなる.

LDL window

LDLの質的異常はTGやnon HDL-Cで把握

non HDL-C=LDL粒子数と正相関
TG=LDL-Cサイズに逆相関

超悪玉コレステロール small dense LDL;sd LDL

・LDLは比重1.019~1.063g/mLに分布し,粒子の直径は20~26nm(200 ~260Å)といわれているが,small dense LDLとは直径25.5nm以下のLDL 粒子で,比重1.044~1.063g/mLに分布している.

・LDLを異化するLDLレセプターに対する親和性が低下しており,血中滞在時間が長い.
 一般的に正常サイズのLDLの血中滞在時間は2日,sd LDLは5日と言われており,sd LDLは血管壁と接触する機会が多い.
・sd LDL自身が小型であることと相まって血管壁に侵入しやすく,酸化変性ストレスにさらされやすい.
・酸化ストレスに対して,正常サイズのLDLはビタミンEやユビキノール10といった抗酸化物質によって保護されているが,sd LDLは抗酸化物質に乏しく酸化変性を受けやすいという特徴も有している.

・LDLの粒子サイズを規定する最も強力な因子はTG濃度であり,LDL小型化の50%をTG値で説明できる.
・肥満,メタボリック症候群,糖尿病などで中性脂肪が上昇すると,LDL-Cの小粒化が起こりやすく,sd-LDLが増加する.
→同じLDL-Cでもsd LDLの割合が多い(2型糖尿病では高頻度).

・sd LDL-C/LDL-C比が,冠動脈疾患の有意な予測因子となり得る(同じLDL-C値でも,sd LDL-Cの割合が多いほうがリスクが高い).

高比重リポ蛋白 high-density lipoprotein cholesterol;HDL-C

末梢から肝臓へのコレステロールの逆転送に重要な役割を果たすリポ蛋白.

・低下させる主要因子は,肥満,運動不足,喫煙である.
・増加させる因子として,コレステロール工ステル転送蛋白(CETP)の活性低下が知られている.また,飲酒もCETPの低下によりHDL-Cの増加をきたすことがある.

・食前後で変化しにくい.

non HDL

T-chol -HDL (管理目標値はLDLの目標管理値+30)

・TCとHDLは食事の影響を受けにくいので,空腹時以外の採血でも使用できる.
・Friedewald式が使用できないTG>400mg/dlの高TG血症も指標とできる.
・糖尿病患者(インスリン作用不全),メタボリックシンドロームなど低HDL血症,高TG血症が全面にでる症例にはLDLよりもnonHDLが指標に使いやすい.
・抗動脈硬化作用を有するHDLの影響を除いたものであるため,LDL,IDL,VLDLをはじめ,レムナントやsmalldense LDL等の動脈硬化惹起性の高いリポ蛋白を総合的に判断できる.最近の報告によればnon HDL-Cの方がLDL-Cに比べて心血管イベントのより強い予測因子であるという結果も得られている.
・脂質異常症の米国の診断基準であるNational Cholesterol Education Program Adult Treatment PanelⅢ(NCEP ATPⅢ)でもLDL-Cが1次目標だが,2次目標としてnon HDL-Cによる管理が推奨.

アポリポ蛋白B apolipoprotein fraction B

・アポリポ蛋白はリポ蛋白の主要な構成蛋白の総称.血中の脂質は単独では水に不溶性で,血中ではアポリポ蛋白と結合して,リポ蛋白の形で溶存している.
・健常人のリポ蛋白は主として,VLDL,LDLとHDLの3種類で,アポリポ蛋白Bは主にLDLに含まれ,小腸における脂質の吸収と肝からの脂質の分泌と全身の臓器への脂質の供給に重要な働きを持っている.
・LDL粒子数と正の相関をする.

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