薬剤誘発性高血圧 Drug-Induced Hypertension

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

医療用薬剤のうち,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),カンゾウ(甘草)製剤,グルココルチコイド,シクロスポリン,エリスロポエチン,経口避妊薬,交感神経刺激薬などは血圧上昇を有し,高血圧を誘発するとともに,降圧薬との併用により降圧効果を減弱させる可能性が指摘されている.

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

アラキドン酸からプロスタグランジンが産生される過程でシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し,腎プロスタグランジン産生を抑制する.
→水・Na貯留と血管拡張抑制
→腎機能が低下

利尿薬・ACE阻害薬・β遮断薬の降圧効果が減弱
・ARBは十分な検討なし
・Ca拮抗薬は影響が少ないとされる

対策

1)できればアセトアミノフェンで代替する.
2)高齢者に使用する場合は,こまめなfollow upが必要.
3)COX-2選択的阻害薬でも非選択的NSAIDsと同等の注意が必要.

カンゾウ(甘草)製剤,グリチルリチン

グリチルリチンはコルチゾールを不活性のコルチゾンへ代謝する11β-水酸化ステロイド脱水素酵素を阻害して,コルチゾールの半減期を延長して内因性ステロイド作用を増強させる.
→偽アルドステロン症(Naや水の貯留,K低下)

グリチルリチンの投与量,投与期間,年齢(60歳以上)が危険因子とされる.

診断

高血圧と同時に低K血症
低血漿レニン活性,血漿アルドステロン低値(偽アルドステロン症)

治療

臨床的には数週間(最大4ヶ月)の甘草摂取の中断
MR拮抗薬の併用

グルココルチコイド

1)アンジオテンシノーゲンの産生増加によるアンジオテンシンⅡ増加
2)エリスロポエチン産生増加による血管収縮
3)一酸化窒素(NO)の産生抑制・スーパーオキシド過剰産生によるNOの利用障害による血管内皮機能障害
4)ミネラルコルチコイド受容体刺激

中等度のグルココルチコイド長期投与は高率に高血圧を合併する.
高齢者ではプレドニゾロン服用量の増加に伴い,血圧上昇度が大きくなり,20mg/日以上を服用すると,顕著になる.

治療

グルココルチコイドの減量あるいは中止
困難である場合,Ca拮抗薬・ACE阻害薬・ARB・β遮断薬・利尿薬・MR拮抗薬などを用いる.

シクロスポリン,タクロリムス

発症機序は十分に解明されていないが,腎毒性,交感神経活性化,カルシニューリン抑制,血管内皮細胞機能障害などが考えられている.

高率に高血圧を発症させる.

治療

Ca拮抗薬が有用
(シクロスポリン,タクロリムスの血中濃度を上昇させる可能性あり)
ACE阻害薬との併用がより有効との報告あり.

エリスロポエチン

エリスロポエチンによる貧血の改善によるHt値の上昇,血液粘調度の増加に伴い末梢血管抵抗の上昇などが考えられている.
血管内皮障害,遺伝的素因の関与も考えられている.

29%で血圧上昇が報告されている.

エストロゲン

肝臓におけるアンジオテンシノーゲンの産生増加が関与しているといわれるが,詳細は明らかになっていない.

大量使用では,血圧上昇や血栓塞栓症をきたすとされている.
用量依存であるが,低用量から注意が必要.

対策

定期的に血圧測定を行い,血圧上昇が認められる場合は中止.
中止できない場合は,RAS阻害薬を考慮.

三環系抗うつ薬,四環系抗うつ薬

交感神経末端でのカテコールアミン再取り込みを抑制することにより,末梢交感神経抑制薬の降圧効果を抑制し,高血圧クリーゼや高血圧緊急症を呈することがある.

セロトニン・ノルアドレナリン取り込み阻害薬(SNRI)

交感神経刺激作用として血圧上昇をきたすことがある.

モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAO阻害薬)

血圧上昇や起立性調節障害
・三環系抗うつ薬との併用は禁忌!
・エフェドリンやメチルエフェドリンとの併用も血圧上昇,頻脈をきたすことがある.

血管新生阻害薬

高血圧誘発と心筋梗塞,脳梗塞発症が重大な副作用として指摘されている.

機序は十分に解明されていないが,細小血管床減少やVEGF阻害によるNO産生低下による末梢血管抵抗の増加,腎機能障害などが考えられている.

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