薬剤性過敏症症候群 drug-induced hepersensitivity syndrome;DIHS

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なすび医学ノート

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特殊型の重症薬疹で,限られた薬剤が原因となり,薬剤暴露から2~6週後以降に遅発性に発症し,臓器障害を伴う.

抗てんかん薬やアロプリノールなど比較的限られた医薬品が原因となり,暴露から発症までの期間が2~6週間以上と長く,原因薬剤の投与中止後も進行・遅延する等,通常の薬疹とは異なる経過をとる.

疫学

10%程度の致死率.

原因

抗てんかん薬
カルバマゼピン,フェニトイン,フェノバルビタール,ゾニサミド,バルプロ酸ナトリウム,ラモトリギン

高尿酸血症治療薬
アロプリノール

サルファ剤
サラゾスルファピリジン

ハンセン病・炎症性皮膚疾患治療薬
ジアフェニルスルホン

不整脈治療薬
メキシレチン

狭心症・高血圧治療薬
ジルチアゼム

消炎鎮痛薬
ピロキシカム

抗菌薬
ミノサイクリン,ST合剤

病態

免疫再構築症候群

1)原因薬剤が投与中,宿主はある種の免疫抑制状態となる.
2)原因薬剤に対するアレルギーが生じ,原因薬剤の投与が中止されると,抑制されていた免疫が回復する.
3)この経過のいずれかの時点でHHV-6の再活性化が生じ,HHV-6に対して宿主の免疫が強く反応することで多臓器障害を起こす.

ヒトヘルペスウイルス6型(human herpesvirus 6;HHV-6)の再活性化

経過中(発症後2~3週間後)にヒトヘルペスウイルス6型の再活性化をみることが特徴.

薬剤アレルギーとヘルペスウイルス属の再活性化,宿主の免疫応答の組み合わせにより引き起こされると考えられている.

やや遅れてサイトメガロウイルス(CMV)の再活性化が1/3程度の症例でみられる.

症候

1)薬剤暴露から発症までの期間が2~6週以上と長い.
2)原因薬剤の投与中止後も症状がすぐ軽快せず,数週以上遅延する.
3)皮疹のみならず,発熱・リンパ節腫脹・肝機能障害などの臓器障害,末梢白血球異常(白血球増多・好酸球増多・異型リンパ球の出現)などの全身反応がみられる.

血液検査

病初期から保存血清を採取しておくことが望ましい.

診断

典型DIHS:1~7全て
非典型DIHS:1~5全て,ただし4に関しては,その他の重篤な臓器障害をもって代えることができる.

1.限られた医薬品投与後に遅発性に生じ,急速に拡大する紅斑,しばしば紅皮症に移行する.

2.原因医薬品中止後も2週間以上遷延する.

3.38℃以上の発熱

4.肝機能障害

5.血液学的異常:a,b,cのうち1つ以上
 a.白血球増多(11,000/mm3以上)
 b.異型リンパ球の出現(5%以上)
 c.好酸球増多(1,500/mm3以上)

6.リンパ節腫脹

7.HHV-6の再活性化
 血清からのHHV-6 DNA検出
 ペア血清における抗体価上昇

治療

原因薬剤の中止

副腎皮質ステロイド

初期量PSL 0.5~1mg/kg/dayを1~2週間
→臨床症状をみながら,1~2週毎に5~10mg/dayずつ漸減.

重症例では,ステロイドパルス療法や免疫グロブリン療法の報告あり.

抗ウイルス薬

CMVの再活性化により,DIHS症状を遷延・再燃させたりすることがある.
CMV感染症にまで至った場合は,消化性潰瘍による出血や消化管穿孔,心筋炎,肺炎,血球貪食症候群の臓器障害によって予後不良となるため,抗ウイルス療法が必要.

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