意識障害 Disturbance of Consciousness

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

意識障害の種類と程度

意識の清明度の低下

■一過性
○失神

■持続性
○傾眠:刺激を与えないと眠ってしまう状態
○昏迷:強い刺激を与えると覚醒し,刺激を避けたり,簡単な指示に反応する
○半昏睡:痛み刺激に逃避反応を示すが,自発運動はほとんどない
○昏睡:強い刺激にも反応せず,自発運動はない

意識内容の変化(意識の変容)

■軽症
○意識不鮮明 confusion
○意識混濁 clouding

■重症
○せん妄
○朦朧状態

特殊な意識状態

○失外套症候群
○無言無動症

意識レベルの評価

Japan Coma Scale;JCS

Ⅰ:刺激しないでも覚醒している状態
 1 大体意識が清明だが今一つはっきりしない
 2 見当識障害あり
 3 自分の名前,生年月日が言えない

Ⅱ:刺激をすると覚醒する状態
 1 普通の呼びかけで容易に開眼
 2 大きな声または体をゆさぶると開眼(簡単な命令でも可)
 3 痛み刺激を加えつつ,呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼

Ⅲ:刺激をしても覚醒しない状態
 1 痛み刺激に対して,はらいのけるような動作をする
 2 痛み刺激で少し手足を動かしたり,顔をしかめたりする
 3 痛み刺激に対する反応なし

Glasgow Coma Scale;GCS

正常ではE,V,Mの合計が15点,深昏睡では3点となる.

開眼 eye opening;E
 4 自発的に開眼
 3 呼びかけにより開眼(音声刺激をやめると元に戻る)
 2 痛み刺激により開眼
 1 無反応

最良言語反応 best verbal response;V
 5 見当識あり(今日の日付・ここの場所・周りの人が言える
 4 混乱した会話(見当識障害があるが,数語以上の文章が言える)
 3 不適当な発語
 2 理解不明の音声
 1 なし

最良運動反応 best motor response;M
 6 命令に応じて可
 5 疼痛部位認識(胸骨上あるいは眼窩上切痕などに対する痛覚刺激部位に向かって患者の手が動く)
 4 逃避(正常屈曲反応;爪床や上肢への痛覚刺激に対して,患者の脇が開くような動き)
 3 異常屈曲(除皮質肢位;患者の肘・手関節・手指が屈曲し,脇が閉まるような動き)
 2 伸展(除脳肢位;患者の上肢は肘を伸ばし体に沿って伸展する)
 1 なし

鑑別疾患

AIUEOTIPS

A:Alcohol(アルコール)

I:Insulin(低血糖・高血糖)

U:Uremia(尿毒症)

E:Encephalopathy(脳症⇒高血圧性・肝性・Wernicke脳症)
 Electrolytes(電解質異常)
 Endocrine(内分泌疾患)
 Epilepsy(てんかん)

O:Opiate(オピオイド・薬物中毒)
 Oxygen(低酸素)

T:Trauma(外傷)
 Temperature(低体温・高体温)

I:Infection(感染症)

P:Pychiatric(精神科疾患・過換気症候群)
 Porphyria(ポルフィリア)

S:Syncope(失神)
 Seizure(痙攣)
 SAH stroke(脳血管障害)
 Shock(ショック)

意識障害を伴う脳梗塞

・覚醒は脳幹網様体,外界に対する反応性は大脳半球が関与するので,下部の脳梗塞.
⇒広範囲梗塞か,基底核や脳幹の梗塞

○脳幹の梗塞:網様体のある延髄・橋・中脳の被蓋を主とした梗塞.

○視床内側部の梗塞:視床の非特殊神経核群は網様体を介して求心刺激を大脳皮質に投射する.
・前内側視床梗塞や傍正中視床中脳梗塞では傾眠や意欲低下を生じる.
・特に両側の梗塞では高度な意識障害を伴う.

○内包膝部の梗塞:視床網様体と前頭葉の線維束離断を生じるため,傾眠傾向となる.

○尾状核の梗塞:意欲低下や記憶障害,見当識障害を生じることがある.

○大脳半球の広範な梗塞:意識障害を伴うときは常に念頭に入れておく.

症候

問診

○直前はどのような行動・体位をとっていたのか?
・臥位 ⇒ 低血糖発作・痙攣・Adams-Strokes発作
・坐位や立位 ⇒ 迷走神経反射・起立性低血圧
・労作時や労作中 ⇒ 心臓由来が多い(大動脈狭窄症,閉塞性肥大型心筋症)
・首をひねった ⇒ 頸動脈洞症候群
・咳や排尿や排便後 ⇒ 迷走神経反射
・食事 ⇒ 食事失神

○直前の気分は?
・迷走神経反射 ⇒ 直前に悪心・発汗・顔面蒼白などを随伴することが多い。
・起立性低血圧 ⇒ 前駆症状なく突然起こることが多い。
・動悸 ⇒ 心疾患の可能性

○発症形式は?
・突然の発症 ⇒ 失神の場合、起立性低血圧・心原性を疑わせる。
・突然発症の昏睡 ⇒ 薬物・脳出血・外傷・てんかん発作
・数十秒から数分の発症 ⇒ 迷走神経反射・低血糖

○意識の回復具合はどうか?
・臥位をとると数秒以内に完全に回復 ⇒ 迷走神経反射・起立性低血圧
・朦朧としている ⇒ 痙攣・低血糖発作
・回復までに時間がかかったが、その後の意識は清明 ⇒ 心原性
・まだ意識が戻ってこない ⇒ 心原性・神経性

○痙攣発作であった可能性は?
・誰か見ていたか?
・不随意運動の有無は?
・失禁は?

○繰り返し起こしているか?⇒循環器科精査(Holter,tilt)

○既往歴:心疾患,糖尿病,肝疾患,腎疾患,精神疾患,慢性呼吸不全,悪性腫瘍

○薬剤・アルコール歴
*特に低血糖を起こすような薬剤として
・SU薬(半減期が長い)
・バクトラミン®,バクタ®(経口血糖降下薬の作用を増強させる)
・降圧薬(起立性失神)

○外傷

○随伴症状
・呼吸器症状
・心血管系の症状

身体診察

○冷汗⇒低血糖・心疾患の可能性

○血圧と脈拍
・脳梗塞・脳出血 ⇒ 血圧↑,脈拍↓
・心筋梗塞 ⇒ 血圧↓

○項部硬直

○眼
・人形の眼試験(眼球頭反射),共同偏視,瞳孔異常,対光反射,眼球運動

○痛み刺激
・四肢の動きの左右差

○腕落下試験・膝立て試験

○除皮質硬直
・内包とそれに隣接する基底核・視床など,大脳半球の広範囲障害

○除脳硬直
・中脳ないし橋が部分的でも両側性に障害され、上部との連絡が途絶

○hand drop test
・ヒステリーとの鑑別

○神経学的所見
・focal signがあるかどうか

○外傷はないか?転倒のエピソードは?

○羽ばたき振戦
・肝性脳症の可能性

痙攣を示唆する所見

・失禁(痙攣以外では括約筋の緊張は保たれる)
・舌をかんでいないか
・異常行動
・意識回復までに時間がかかる
・朦朧としている
・lactateやCKが↑

タイトルとURLをコピーしました