播種性血管内凝固症候群 disseminated intravascular coagulation;DIC

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なすび医学ノート

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種々の基礎疾患により全身持続性に血液凝固系の亢進をきたし,微小血管に血栓を形成して,臓器傷害から重篤な場合には多臓器不全にまで至るとともに,凝固因子や血小板の消費により出血傾向を呈する症候群.

血栓形成の結果,腎,肝,肺などのさまざまな臓器の障害とともに止血に必要な血小板や血液凝固因子が血栓の材料として消費され出血症状を呈することが多い.

凝固活性化とともに線溶活性化がみられるが,その程度は基礎疾患により差異がみられる.

二大症状は出血症状と臓器症状であるが,臨床症状が出現すると,予後が極めて不良であるため,臨床症状の出現がない時点で治療開始できるのが理想.

疫学

1998年度の本邦の疫学調査では,年間患者数は73,000人(1施設9.2人/年,発症頻度1.87%),死亡率は56.0%と報告されている.

2009年度の疫学調査では,死亡率は40.0%,
(DICによる死亡6.8%,原疾患による死亡26.9%,DIC以外の合併症による死亡6.3%)

原因

基礎疾患は多く知られているが,急性白血病,固形癌,敗血症が三大基礎疾患.

多くの場合は,直接的あるいは間接的に組織因子(tissue factor;TF)が重要な役割を演じている.

感染症

敗血症
その他の重症感染症(呼吸器,尿路,胆道系など)

重症感染症,特にグラム陰性菌による敗血症にはしばしばDICが合併する.

エンドトキシンを産生しないグラム陽性菌,真菌,ウイルスなどの感染に併発するDICの発症機序も,これらの微生物の産生する物質による白血球の刺激や血管内皮障害が関与すると推定される.

エンドトキシン
1)グラム陰性菌の産生するエンドトキシンは単球-マクロファージを刺激して組織因子の産生・発現を高める.
2)同時に単球からの,IL-1,TNF(tumor necrosis factor),血小板活性化因子(PAF)といったサイトカインの放出を促進し,血管内皮細胞の抗血栓性を低下させる.
3)エンドトキシンは直接的に内皮細胞を障害する.
4)エンドトキシン血症に際してショックが起こり,組織の低酸素症やアシドーシスのために血管内皮障害が増悪する.

炎症性サイトカイン
1)IL-1,TNF,lipopolysaccharide(LPS)などの炎症性サイトカインの作用により,単球/マクロファージや血管内皮から大量の組織因子が産生され,著しい凝固活性化が生じる.
2)LPSやサイトカインは,血管内皮細胞の抗凝固性蛋白であるトロンボモジュリン(thrombomodulin;TM)やヘパリン様物質の発現を抑制させる.
→ATⅢが低下(消耗性,血管外への漏出,肝での産生低下,活性化好中球から放出される好中球エラスターゼによる分解)
→生理的な抗凝固機構の減弱・機能障害により、凝固亢進は加速する.

t-PAを阻害するプラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)の産生増加
LPSやサイトカインの作用によって血管内皮で線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター-1(plasminogen activator inihibitor;PAI)が過剰発現
→多発性微小血栓が残存
→微小循環障害による多臓器不全

悪性腫瘍

急性前骨髄球性白血病(APL)
その他の急性期白血病
悪性リンパ腫
その他の造血器悪性腫瘍
固形癌:通常は転移性癌(特にムチン産生腺癌)

急性前骨髄球性白血病では,白血病細胞が顆粒に富み,顆粒中に強力な凝固・線溶促進物質を含み,白血病細胞の崩壊によりDICが起こる.

癌細胞由来の組織因子,凝固促進物質(cancer procoagulant)あるいは血小板凝集物質が流血中に漏出し血管内凝固を引き起こす.
特にムチン産生性の腺癌(胃,膵など)にDICが多くみられる.

血管内皮や炎症の関与がないため,より直接的.

組織損傷

外傷
熱傷
熱中症
横紋筋融解症
手術後

組織因子が循環血液中へ流入することにより血管内凝固が起こる.

血管性病変

胸部・腹部大動脈瘤
大動脈解離
巨大血管腫(Kasabach-Merritt症候群)
血管関連損傷
膠原病(血管炎合併例)
その他の血管関連疾患

全身の血管炎などにより血管内皮が広範に剥離すると,血液が内皮細胞下に存在する組織因子やコラゲンなどと接触して血液凝固および血小板活性化が起こる.

血管内皮は生理的状態では組織因子を産生せず,トロンボモジュリンやヘパラン硫酸などの抗血栓性物質を表面に有することにより血管内凝固を予防している.
内皮細胞はt-PAを産生分泌して血栓溶解能を持つ.
→重症感染症に伴うエンドトキシンや炎症性サイトカイン〔IL-1,腫瘍壊死因子(TNF)〕により修飾されると,組織因子産生,トロンボモジュリン(TM)低下,t-PA産生低下と変化する
→血管内皮表面で血液凝固が進行しやすくなる.

腹部大動脈瘤

線溶亢進型DICを呈する慢性DIC.

著明な出血傾向や血小板減少をきたすのは約4%.

急性増悪した場合は出血傾向が強いため,根治療法としての大動脈瘤の外科的治療は困難.
抗凝固療法を行っても出血症状が増悪する可能性があるため,治療に難渋する.
→近年はヘパリンなどの抗凝固療法に加え抗線溶療法として,トラネキサム酸を併用することの有用性が報告されている.

後天性血友病ⅩⅢに至ることが知られている.
・大動脈瘤による血管内皮の障害により血液が結合組織に曝露されることで内因系・外因系双方の凝固系が亢進する.
→フィブリン形成が促進され,ⅩⅢ因子の消費も亢進される.

トキシン/免疫学的反応

蛇毒
薬物
輸血反応(溶血性輸血反応・大量輸血)
移植拒絶反応

蛇毒の中には血液凝固を惹起する強力な蛋白分解酵素が存在し,その蛇毒を有するヘビに咬まれることにより血管内凝固が発現する.

抗原抗体反応あるいは抗原抗体複合体は血小板を凝集させ,また凝固反応を促進する.
→急性薬物アレルギー・不適合輸血などの際に起こるDICはこの抗原抗体反応による.

産科・新生児疾患

子癇
羊水塞栓
常位胎盤早期剥離
胎児・新生児仮死
分娩合併症(胎盤早期剥離・重症妊娠高血圧症・双胎の一児死亡)など

羊水塞栓,胎盤早期剥離などに合併するDICは,胎盤の組織因子を初めとする凝固促進物質が持続的に大量に循環血液中に侵入し外因系凝固系を活性化するために起こる.

その他

急性膵炎
肝障害→劇症肝炎(急性肝不全・劇症肝不全),肝硬変
ショック/低酸素
低体温

病態

著しい凝固活性化は,DICの主病態であり,全例に共通しているが,基礎疾患によりその他の病態が異なる.

線溶抑制型(凝固優位型)

凝固活性化は高度であるが,それに見合う線溶の活性化が抑制された状態で,微小血栓生成による循環不全のため,臓器障害をきたしやすい.

敗血症などの重症感染症でみられやすい.

PAIが著増するため強い線溶抑制状態となり,多発した微小血栓が溶解されにくく,微小循環障害による臓器障害が高度になりやすいが,出血症状は軽度.

検査所見

凝固活性化マーカー
トロンビン・アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex;TAT)や可溶性フィブリン(soluble fibrin;SF)は上昇

線溶活性化マーカー
α2プラスミンインヒビター複合体(plasmin-α2-plasmin inhibitor complex;PIC)は軽度上昇
α2プラスミンインヒビター(α2-plasmin inhibitor;α2PI)はあまり低下しない.

微小血栓の溶解を反映するマーカー
フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products;FDP)やDダイマー(D-dimer;DD)も軽度上昇
フィブリノゲンは炎症反応で上昇するため,DICを合併していても低下が目立たない.
*これらのマーカーを過度に重要視するとDIC診断が遅れる.

線溶亢進型(線溶優位型)

凝固活性化の程度と比較して,高度に線溶が活性化された状態で,出血症状が前面にでるが,臓器障害は軽度.

急性前骨髄性白血病(APL),前立腺癌などの悪性腫瘍の他に腹部大動脈瘤に合併したDICでみられる.

診断

必須条件
TAT≧20μg/L and PIC≧10μg/mL

検査所見(下記のうち2つ以上を満たす)
1)FDP≧80μg/mL
2)フィブリノゲン<100mg/dL
3)FDP/DD比の高値(DD/FDP比の低値)

参考所見(下記所見がみられる場合,さらに重症出血症状をきたしやすい)
1)血小板数低下(<5万/μL)
2)α2PI活性低下(<50%)

線溶均衡型

凝固活性化と線溶活性化のバランスがとれており,線溶抑制型と線溶亢進型の中間的病態を示す.

固形癌でみられやすい.

進行例を除くと,出血症状や臓器症状は比較的みられにくい.
・一部の癌(前立腺癌,悪性黒色腫,消化器癌の一部,肺癌の一部など)は線溶亢進型DICになる.

症候

出血症状と臓器症状とに大別できる.

出血症状

皮膚の紫斑,歯肉出血,注射部位の止血困難,血尿,下血などがみられる.
・急性白血病や再生不良性貧血などのもともと血小板減少のある疾患にDICが合併すると著しい出血症状を呈する.

臓器症状

循環障害の起こる部位により種々の症状を呈する.
・腎では乏尿,無尿,腎不全が起こるし,心臓では胸痛,心筋梗塞に至ることもある.
・肺に血栓が多発すれば呼吸困難,成人呼吸促迫症候群が起こる.
・手指の末端の細動脈に血栓ができて四肢末端壊死が起こることもある.

血小板数

基準値 15万~45万/μL

血小板減少はDICのよい指標.
・白血病や悪性リンパ腫に合併するDICでは,基礎疾患自体または化学療法のために血小板がDICとは無関係に減少することが多いので注意を要する.
・代償性DICでは,血小板数は正常あるいは増加を示すことがあるが,検査を経時的に反復することにより,しだいに血小板数が減少していくことが明らかになる.

凝固系

プロトロンビン時間 時間比の基準値1±0.15
・フィブリノーゲンやV因子の消費のためにDICでは延長.
・プロトロンビン時間比:ISIが1.0に近ければ,INRでも良い(DICの診断にPT-INRの使用が推奨されるとい うエビデンスはない).
・PT/APTTが正常かつ血小板数低下が目立たないDICも少なくない.
・線溶亢進型DICでは,しばしばAPTTが短縮している.
PT・APTTでDIC診断は不可能

フィブリノーゲン 基準値200~400mg/dL
・急性の典型的DICでは低下するが,感染症や悪性腫瘍では急性期反応性蛋白の一つとして増加していることがある.
→フィブリノーゲンが正常でもDICを否定することはできない.
・反復して検査を行いフィブリノーゲンの推移をみることが大切である.

フィブリン/フィブリノゲン分解産物 fibrin/fibrinogen degradation products;FDP 基準値 5μg/mL以下
Dダイマー D-dimer;DD 基準値1.0μg/mL以下
・ FDP はフィブリンもしくはフィブリノゲンの分解産物の総称.
・血栓が生じると線溶系が活性化され(二次線溶),プラスミンが血栓のフィブリンを分解し,FDP が増加する.
→FDP増加は線溶活性化を示すが,間接的には血栓形成の指標となる.
・血管内凝固では,トロンビンがフィブリノーゲンに作用して生成したフィブリンモノマーが,フィブリノーゲンあるいはFDPと可溶性の複合体〔可溶性フィブリンモノマー複合体soluble fibrin monomer complex(SFMC)〕をつくり血中に出現する.
FDPまたはD-ダイマーが正常であれば,DICの可能性は低い

トロンビン・アンチトロンビン複合体 thrombin-antithrombin complex;TAT 基準値4ng/mL以下
可溶性フィブリン soluble fibrin;SF
プロトロンビンフラグメント1+2 prothrombin fragment 1+2;F1+2
凝固活性化を反映する分子マーカー
・外注で時間がかかることが多い.
・2倍以上は軽度上昇レベルなので,これらが正常であれば,まずDICではない
・採血困難例やルート採血などでは偽高値で上昇することがあるため,FDPやD-ダイマーの上昇度に比較して,TATやSFが著増している場合は再検する.

アンチトロンビンⅢ活性 基準値80~120%

α2プラスミンインヒビター複合体 plasmin-α2-plasmin inhibitor complex;PIC
α2プラスミンインヒビター α2-plasmin inhibitor;α2PI
線溶活性化の評価に重要.
・PICが高値であれば,線溶活性化が高度であるが,α2PIの低下がなければ,出血症状はあまりみられない.
・α2PIは線溶活性化に伴い,消費性に低下し,出血リスクのマーカーになる.
・α2PIが著減した例(50%未満)では,大出血を来たしやすい.

診断(日本血栓止血学会2017年度版)

旧基準の不備を改訂している.

基準適応のアルゴリズム

まず,産科,新生児には適用しない.

DICの基礎疾患を有する場合
説明の付かない血小板数減少
フィブリノゲン低下・FDP上昇などの検査値異常がある場合
静脈血栓塞栓症などの血栓性疾患がある場合など

DICを疑う

少なくともPT,APTT,フィブリノゲン,FDP or DDによるスクリーニング

造血障害型・感染症型・基本型に分ける.

造血障害型

造血障害,すなわち骨髄抑制・骨髄不全・末梢循環における血小板破壊や凝集など,DIC以外にも血小板数低下の原因が存在すると判断される場合

血小板数を用いてDICの診断をすることができないため,スコアリングに入っていない.
・寛解状態の造血器腫瘍の場合は,DIC診断に血小板数を用いることができるため,造血障害はないと判断する.

感染症型

造血障害が存在せず,感染症がある場合.

フィブリノゲンでのスコアリングを行わない.

基本型

造血障害および感染症がともにない場合.
基礎病態を特定できない場合.
DICをきたし得る基礎疾患が複数存在するような場合.

鑑別疾患

血栓性微小血管障害症(TMA)→血小板活性化や血管内皮障害
・LDH上昇,網赤血球増加,赤血球破砕像,間接ビリルビン上昇に着目

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
・ADAMTS13活性,ADAMT13インヒビターの測定

診断基準

FDPを測定していない施設(D-ダイマーのみ測定の施設)では,D-ダイマー基準値上限2倍以上への上昇があれば1 点を加える.
・FDPも測定して結果到着後に再評価することを原則とする.

肝不全
ウイルス性,自己免疫性,薬物性,循環障害などが原因となり「正常肝ないし肝機能が正常と考えら れる肝に肝障害が生じ,初発症状出現から8週以内に,高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間活性が 40%以下ないしはINR値1.5以上を示すもの」(急性肝不全)および慢性肝不全「肝硬変のChild-Pugh分類BまたはC(7 点以上)」が相当する.

治療

DICの進展を阻止するためには,基礎疾患の治療と共に,DICの本態である凝固活性化を阻止する必要がある.

基礎疾患の治療

DICは何らかの基礎疾患の合併症として起こるので,基礎疾患の治療が最も重要かつ有効である.

・急性前骨髄球性白血病(APL)ではDIC合併が必発であるが,白血病が分化誘導療法によりコントロールされるとDICも改善する.
・感染,ショック,アシドーシスなどの改善,除去に努める.

抗凝固療法

DICの本態である凝固活性化を阻止するために行う.

ヘパリン類・アンチトロンビン濃縮製剤

ヘパリン類(未分画ヘパリン,低分子量ヘパリン,ヘパリノイド製剤であるダナパロイドナトリウム)は,アンチトロンビン(antithrombin;AT)依存性に抗凝固活性を発揮する点で共通するが,抗Ⅹa/トロンビン活性比や血中半減期に差異がある.

・ATと複合体を形成して抗凝固活性を示すので,AT活性が低下している場合にはAT濃縮製剤を補充する.
・未分画ヘパリンが最も安価であるが,抗Xa/抗トロンビン活性比が低分子量ヘパリン,ダナパロイドナトリウムと比べて小さいため出血の副作用の頻度が高く,低分子量ヘパリン,ダナパロイドナトリウムの使用が望ましい.
・未分画ヘパリンは重篤な出血を伴う場合あるいは合併する可能性のある場合には禁忌である.
・未分画ヘパリン,低分子ヘパリンは半減期が短く持続点滴静注するが,ダナパロイドナトリウムは半減期が長く,1日2回の静脈内投与でよい.

低分子量ヘパリン(ダルテパリンナトリウム)
フラグミン® 1 日あたり75単位/kgを生理食塩水で希釈して24 時間持続点滴静注する.

ダナパロイドナトリウム
オルガラン® 1 回あたり1,250単位を12時間間隔で1日2回静脈内投与する.

未分画ヘパリン
ヘパリン® 5~15単位/kg/時を希釈して24時間持続点滴静注する.

AT濃縮製剤
ノイアート®,アンスロンビンP® 1,500単位/日緩徐に静注または点滴静注3日間行う.
・AT活性が70%以下の場合ATの補充を行う.
・基本的にヘパリン類と併用.

合成プロテアーゼ阻害薬 serine protease inhibitor;SPI

AT非依存性の抗トロンビン活性を発揮する.

通常用いられる投与量では出血の副作用は少ない.
出血症状の強い場合,線溶亢進の強い場合,AT活性の低下した場合などに用いる.

メシル酸ガベキサート gabexate mesilate;GM
エフオーワイ® 1~2 mg/kg/時 5%ブドウ糖に溶解して24 時間持続点滴静注する.
・抗線溶活性が弱く,線溶亢進型DICでは無効.
・血管炎を生じやすく100 mgあたり50 mL以上の輸液で希釈するか中心静脈内投与する.
・他の注射薬との混合で白濁する.

メシル酸ナファモスタット nafamostat mesilate;NM
フサン® 0.1~0.2 mg/kg/時 5%ブドウ糖に溶解して24 時間持続点滴静注する.
・臨床使用量で,抗線溶活性も強力であり,線溶亢進型DICで有効.
→無効な場合は,専門家に必ずコンサルト.
・高カリウム血症に注意が必要.
・静脈炎の副作用があり,中心静脈からの投与が基本.

遺伝子組み換えトロンボモジュリン製剤 recombinant thrombomodulin;rTM

トロンビンと複合体を形成して,凝固阻止因子であるプロテインCを活性化し,活性化第V因子と活性化第VIII因子を分解・不活化してトロンビンの生成を阻害することにより抗凝固作用を発揮する.

抗炎症効果を併せ持ち,特に炎症性疾患に合併したDICに対して,抗凝固・抗炎症の両面から期待されている.

トロンボモデュリン アルファ
リコモジュリン® 380 IU/kg+生食100 mLを30分で点滴静注する(重篤な腎障害のある場合は減量する)

補充療法

り血小板,凝固因子が高度に低下すると出血の危険が高まるため,出血の危険の少ないレベルを目標として血小板減少に対して血小板輸血,凝固因子低下に対して新鮮凍結血漿(FFP)輸注で補充を行う.

血小板数とフィブリノゲン値が特に重要.
・これらの補充に際しては抗凝固療法を併用する.
・ヘパリン/ヘパリノイド使用時にAT活性が70%以下に低下している場合にはAT濃縮製剤を補充する.

濃厚血小板 platelet concentrates;PC

血小板数2万/μL程度以上に保つことを目標に輸注される.

新鮮凍結血漿 fresh frozen plasma;FFP

フィブリノゲン<100 mg/dL or PT比≧1.7になるような症例では必要になることが多い.
フィブリノゲン 100~150 mg/dL以上に保つように,1回あたり8~12 mL/kgのFFPを輸注する.

(抗線溶療法)

DICにおける線溶活性化は,微小血栓を溶解しようとする生体の防御反応の側面もあり,TA等の抗線溶療法は原則禁忌

線溶亢進型DICの致命的出血に対して,ヘパリン類併用下にTAを投与すると出血に対して著効するが,全身性に作用するため使用方法を誤ると全身性血栓症をきたして致命的となる.

トラネキサム酸 tranexamic acid;TXA

プラスミノーゲンアクチベーターと競合的に作用することにより強力な抗線溶効果をもたらし,強い止血効果が得られる.

大動脈瘤に伴う線溶亢進型DICに対し,抗凝固療法に併用する.
リスクとベネフィットを慎重に考慮して治療を行う.

腎排泄性であり,蓄積により痙攣を誘発するなどの有害事象が知られる.
一方で抗線溶効果が発揮するためには一定の血中濃度が必要.

末期腎不全で著明な出血症状がある場合において,初期投与量を十分量投与し,維持投与としては5mg/kg/day程度を投与することが推奨されている.
*基本的には透析患者は控えることを推奨

治療効果判定

血小板数,FDP,DDのみでは誤判断する.
・DICが改善しても,これらの改善は遅れるため.
→TATやSFも含めて効果判断する.

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