直接経口抗凝固薬(DOAC)

医学ノート(なすび用)

direct oral anticoagulant;DOAC
非ビタミンK阻害経口抗凝固薬 non-vitamin K antagonist oral anticoagulant;NOAC

活性型Ⅹ因子やトロンビンを直接阻害する抗凝固薬.
・ワーファリンと比較して,薬物や食物との相互作用が少なく,Ⅶ因子を阻害しない.
→頭蓋内出血の発症率が低い.
・有効性,安全性ともに優れている.

1)凝固カスケードにおける凝固抑制ポイントが少ない.
2)血中濃度の安全性が広い.
3)ピークおよびトラフがある.
4)第Ⅶ因子の量に影響を及ぼさない.

なすび院長
なすび院長

僧帽弁狭窄症など器質的心疾患を合併する症例や,人工弁を有する症例では,使用できない点に注意!

なすび専用のまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
ちゃんとした正書や情報提供サイトを強く推奨します.
当ブログは一切の責任を負いません.

使用法

ビタミンK拮抗剤(ワーファリン)から切り替え

1)ビタミンK拮抗剤の投与を中止し,PT-INRが非弁膜症性心房細動患者では2.0未満,静脈血栓塞栓症患者では治療域の下限未満となってからDOACの投与を開始する.
2)PT-INRが治療域の下限を超えるまでは,本剤とワーファリンを併用する.

他の抗凝固剤(注射剤)から切り替え

1)次回に投与を予定していた時間まで間隔をあけて,DOACの投与を開始する.
2)抗凝固剤(ヘパリン等)の持続静注から切り替える場合は,持続静注中止と同時に本剤の投与を開始する.

活動性出血への対応

Tmaxが4時間以内であるため,休薬により比較的速やかに除去される.

軽度
・経過観察
・DOAC 1回 or 1日分休薬(血栓塞栓症のリスクを説明)
・重要臓器(脳や眼底など)の出血では,中等度から重度に準じる.

中等度から重度
・休薬(血栓塞栓症のリスクを説明)
・活性炭内服:内服直後(4時間以内)であれば,期待できる.
・透析による薬物除去:ダビガトランはOK,リバーロキサバン・アビキサバンは×(蛋白結合率が高い)
・止血(圧迫,外科,内視鏡処置など)
・輸液(必要時輸血)
・出血性脳卒中時の十分な降圧(収縮期血圧 140mmHg未満を目標)
・中和薬
 ダビガトラン→特異的ヒト化モノクローナル抗体(イダルシズマブ)
 Ⅹa阻害薬→andexanat alfa
 DOAC→プロトロンビン複合体製剤/遺伝子組み換え第Ⅶ因子製剤(いずれも保険適応外)

手術・侵襲的手技を実施する場合

半減期は10~12時間と短いため,侵襲の大きい手術においても前日からの休薬で問題ない.

1)患者の出血リスクと血栓リスクに応じて,DOACの投与を一時中止する.
2)待機的手術,侵襲的手技等による抗凝固療法の一時的な中止は,塞栓症のリスクを増大させる.
3)術後は止血が確認されれば,速やかに再開することが望ましい.

エドキサバン・リバーロキサバン
投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましい.

ダビガトラン
1)手術や侵襲的手技の24時間前までに投与を中止する.
2)完全な止血機能を要する大手術を実施する場合や出血の危険性が高い場合は手術の2日以上前までの投与中止を考慮.

アピキサバン
1)出血に関して低リスクまたは出血が限定的でコントロール可能な手術・手技を実施する場合は,前回投与から24時間以上の間隔をあけることが望まれる.
2)出血中~高リスクまたは臨床的に重要な出血を起こす恐れのある手術・手技では,前回投与から48時間以上の間隔をあける.

消化管内視鏡検査/内視鏡的粘膜生検を行う場合

観察→休薬不要
生検→休薬不要で可能
出血低危険度→休薬不要で可能(ピーク期を避ける)
出血高危険度→当日休薬(翌日朝から再開)/ヘパリン置換

出血高危険度の消化管内視鏡において,DOACと抗血小板薬を併用している場合は症例に応じて慎重に対応し,抗血栓薬の休薬が可能になるまで内視鏡の延期が望ましい(Evidence level:D,推奨度:2).
・内視鏡の延期が困難な場合は,抗血小板薬はアスピリンかシロスタゾール単独投与にして継続する.
・DOACは処置当日の朝から内服を中止し,翌日朝から再開する.

各論

ダビガトラン プラザキサ®
リバーロキサバン イグザレルト®
アピキサバン エリキュース®
エドキサバン リクシアナ®

アピキサバン apixaban

エリキュース®

使用法

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

通常
1回5mgを1日2回経口投与

減量
2.5mgを1日2回

次の基準の2つ以上に該当する患者は,出血のリスクが高く,本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるため減量する.
・80歳以上
・体重60kg以下
・血清クレアチニン1.5mg/dL以上

腎機能低下時(Ccr 15~29mL/min)
2.5mgを1日2回

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

・1回10mgを1日2回,7日間経口投与した後,1回5mgを1日2回経口投与する.
・特に初期7日間の1回10mg1日2回投与中は,出血のリスクに十分注意する.

禁忌

Ccr<15mL/minの腎障害

併用

1)主にCYP3A4/5によって代謝され,P-糖蛋白の基質となるが,AUCが2倍程度に上昇したとしても,出血リスクの著明な上昇はないと考えられており,併用禁忌の薬剤は記載されていない

2)アゾール系坑真菌剤(フルコナゾールを除く)は「併用注意」とされ,1回10mgの場合は5mg,1回5mgの場合は2.5mgへの減量を考慮する,あるいは治療上の有益性と危険性を十分に考慮し,併用が適切と考えられない患者には併用しない.

エドキサバン Edoxaban

リクシアナ® 第一三共

使用法

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制,静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

通常
体重60kg以上→60mgを1日1回
体重60kg未満→30mgを1日1回

腎機能低下時(Ccr 15~49mL/min)
半量を1日1回

用量調整因子
・P糖蛋白阻害作用を有する薬剤の併用(ベラパミル,キニジンなど)

80歳以上・抗出血リスク症例
15mgは保険適応未承認であり,基本は減量用量30mgが適応となる.

肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制(膝関節全置換術,股関節全置換術,股関節骨折手術)

30mgを1日1回

禁忌

Ccr<15mL/minの腎障害

併用注意

エドキサバンはP糖蛋白の基質であるため,消化管吸収等の過程でP糖蛋白による輸送が関与すると考えられる.

ベラパミル,アミオダロン
P糖蛋白を阻害するため,エドキサバンのバイオアベイラビリティを上昇させ,血中濃度が上昇し,出血の危険性を増大させる恐れがある.
→減量を考慮

副作用

大出血を増加する傾向があり(HR 1.87),特に消化管出血の発現(HR 2.85)に注意が必要.

ダビガトラン dabigatran

プラザキサ® ベーリンガー

薬理

プロドラックで経口投与後にエステラーゼで活性化され,バイオアベイラビリティが低いことから,下部に到達した薬剤による局所作用による出血機序が示唆されている.Clin Pharmacokinet 2008; 47(5): 285-295

使用法

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制

通常
150mgを1日2回

腎機能低下時(Ccr 30~49mL/min)
110mgを1日2回

禁忌

Ccr<30mL/minの腎障害

併用禁忌

ダビガトランはP糖蛋白の基質であるため,消化管吸収等の過程でP糖蛋白による輸送が関与すると考えられる.

イトラコナゾール(経口剤)
・イトリゾールはCYP3A4の阻害作用が有名だが,P-糖タンパクに対する阻害作用も持っている.
・P-糖タンパク質は,消化管や腎臓で一部の薬物を排出する働きをするため,これが阻害されると薬の吸収が強まる.
・ダビガトランはP-糖タンパク質の基質であるため,イトリゾールとの併用で血中濃度が上昇し,出血リスクが高まる恐れがある.

併用注意

ベラパミル,アミオダロン
P糖蛋白を阻害するため,ダビガトランのバイオアベイラビリティを上昇させ,血中濃度が上昇し,出血の危険性を増大させる恐れがある.
→減量を考慮

術前

出血リスクが中等度~高度の手術を受ける場合は,腎排泄率が高いために,CCrが50~79 mL/分であれば72時間以前,CCrが30-49 mL/分であれば96時間以前を最終の服用時間とすることが望まれる.

イダルシズマブ

プリズバインド® ベーリンガー

1)中和剤
2)生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時,重大な出血が予想される緊急を要する手術または処置の施行時.

1回5g(2V)を点滴静注(10~20分)または急速静注する.

リバーロキサバン rivaroxaban

イグザレルト®

使用法

非弁膜症性心房細動における虚血性脳卒中の抑制および全身性塞栓症の抑制

通常
15mgを1日1回(欧米では20mg)

腎機能低下時(Ccr 15-49mL/min)
10mgを1日1回

禁忌

Ccr<15の腎障害,Child-Pugh分類BorCの肝障害

併用禁忌

・アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール,ボリコナゾール,ミコナゾール,ケトコナゾール)の経口又は注射剤
 ケトコナゾールはCYP3A4及びP-糖蛋白の双方を強力に阻害する.

・HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル,ロピナビル,アタザナビル,インジナビル,サキナビル,ダルナビル,ホスアンプレナビル,ネルフィナビル)

・オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル,コビシスタットを含有する製剤

医学ノート(なすび用)
スポンサーリンク
なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

妻:りんご
長女:いちご
次女:れもん
三女:みかん
事務長:かえる

なすび院長をフォローする
なすびクリニックは今日も改装中!
タイトルとURLをコピーしました