びまん性汎細気管支炎 diffuse panbronchiolitis;DPB

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なすび医学ノート

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呼吸細気管支に病変の主座を置く慢性下気道炎症に加え,上気道の病変として慢性副鼻腔炎を合併する.

疫学

日本を中心とした東アジアを中心に患者が発生し,欧米にはほとんど存在しない.

発症に男女差はなく,40~50歳代をピークとして,若年から高齢まで幅広い年齢層にみられる.

日本人のDPB患者では,HLA-B54ハロタイプが多く存在することが報告されている.

病態

慢性下気道炎症は,病理学的には,呼吸細気管支領域にリンパ球や形質細胞の浸潤と共に泡沫細胞の集簇を認め,中枢気道には慢性の好中球性炎症を認める.

細菌感染の合併が生じると好中球炎症が惹起され,組織障害により気管支拡張を来たすことで,病態が進行する.
→この組織障害により,細菌感染が助長され,さらに炎症が増幅されて組織障害を生じる悪循環に陥る.

慢性気道感染の原因菌は,増悪時に抗菌薬投与を繰り返すことで,インフルエンザ桿菌などから最終的には緑膿菌へと交代する.

臨床経過

自覚症状は,慢性の咳嗽と喀痰であり,進行すると労作時呼吸困難を訴えるようになる.

慢性の鼻汁・鼻閉

診断

身体所見

聴診では,coarse cracklesやrhonchiを認める.

検査所見

末梢血白血球数の増加
CRP値の軽度上昇

画像

胸部X線写真

両側中~下肺野を中心にびまん性散布性粒状影と過膨張所見.

胸部CT

両側肺にびまん性小葉中心性の粒状影,気管支壁肥厚像,進行例では気管支拡張像を認める.

生理検査

呼吸機能検査

1秒率の低下を認めるが,拡張能は通常維持される.

診断基準

確実:必須項目①+②+③に加え,参考項目2項目以上を満たす
ほぼ確実:必須項目①+②+③
可能性あり:必須項目①+②

病理組織学的検査は本症の確定診断上有用.

必須項目

①慢性の咳・痰,労作時息切れ
②慢性副鼻腔炎の合併or既往
③胸部X線で両肺野びまん性散布性粒状影

参考項目

①胸部聴診で断続性ラ音
②1秒率低下(≦70%),低酸素血症(≦80Torr)
③血清寒冷凝集素高値

鑑別診断

慢性気管支炎,気管支拡張症,線毛不動症候群,閉塞性細気管支炎,嚢胞線維症など

治療

基本は,マクロライド系抗菌薬少量長期療法.

エリスロマイシンであれば,常用量の1/2,1/3を投与する.
*クラリスロマイシンは肺MAC症のkey drugであるため,肺MAC症であった場合の単独投与は耐性が誘導され,難治化するリスクにつながる.
→第一選択はクラリスロマイシンと交差耐性を示さないエリスロマイシンにする.

マクロライド系抗菌薬は,抗菌作用以外に多彩な抗炎症作用・免疫調整作用を有することが明らかにされている.
1)気道上皮細胞の水分・粘液の過分泌の抑制
2)気道粘膜における好中球集積の抑制
3)リンパ球,その他の細胞に対する作用
4)細菌に対する作用(quorum sensing機構の抑制などの細菌機能のモジュレーション)

診断後早期に治療を開始することで,通常2~3ヵ月以内に臨床効果が得られることが多い.
胸部画像所見・呼吸機能などの検査所見は6ヶ月で改善が認められ,以降は長期に安定した状態が継続する.
→治療開始後6ヶ月で総合的な評価を行い,改善を確認する.
→安定した状態が継続していれば2年で治療を終了し,もし再発が認められた場合には,同じ治療を再開する.
*広範な気管支拡張や呼吸不全を認める重症の病態では,2年を超えて治療を継続する.

無効時は,喀痰・気管支鏡検査による肺MAC症を除外し,クラリスロマイシンorロキシスロマイシンへの変更を考慮する.
それでも治療に難渋する際は,アジスロマイシンに変更する.

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