血液浄化器,ダイアライザー dialyzer

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なすび医学ノート

透析膜

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

ダイアライザーには,中空線維型(hollow fiber型),コイル型(Kolff型),平板型(Kiil型)の3種類がある.
→最近では,使用されているダイアライザーの9割以上が中空線維型.
・原理的にはセロファン膜を介した拡散により血中の代謝産物を排除する.

クリアランス

面積が大きいほどダイアライザー内を通過する時間が長くなり,分子量の大きな物質が除去され易くなる.
・膜面積が大きいほど内部濾過量が多くなり,分子量の大きな物質が除去され易くなる.
・大面積ダイアライザーは血液の通過時間延長と内部濾過亢進により,中分子量物質・低分子蛋白のクリアランスが増加する.

溶質クリアランス
CL=f(KoA,QB,QD)
*CL(クリアランス)
*KoA(総括物質移動-面積係数) Ko×A
 Ko:物質移動抵抗の逆数
 A:膜面積

生体適合性

素材では血液成分の付着に伴う変化が,生体には血小板や補体系などの活性化といったさまざまな異物反応がみられる.
→長期間にわたって生体に悪影響も強い刺激も与えない生体適合性が要求される.

透析膜に血液が接触すると,まず血漿タンパク質が吸着し,そのタンパク質の構造が変化し,血小板などが活性化する.

透析膜による補体活性化は,補体第2経路(副経路)を介しており,C5a(アナフィラトキシン)を産生する.

膜の素材

天然素材であるセルロース系膜と人工的素材である合成高分子膜に大別される.

合成高分子膜

ポリスルホン(PS)膜,ポリアクリロニトリル(PAN)膜,セルローストリアセテート(CTA)膜,ポリメチルメタクリレート(PMMA)膜.

・低分子蛋白の除去に優れる.
・白血球の一過性の減少、補体の活性化などが軽微(生体適合性が良い).
・PMMA膜やPAN膜,EVA膜は,他の素材に比べ,分子量1000~1万の中分子物質や水の除去能にすぐれ,血液濾過用としても使用されており,high flux(高効率)dialyzerと呼ばれる.

ポリスルホン膜(polysulfone;PS膜)

商品名:FX,NV,RENAK,APS,ABH

小分子物質から低分子量蛋白質に至るまでの広い分子量範囲の尿毒症物質を効果的に除去できる.
特徴的なのは,β2-ミクログロブリンの優れた除去能

生体適合性も他の合成膜と同様に優れており,透析中の一過性の白血球減少も軽度.

ポリアクリロニトリル膜(polyacrylonitrile;PAN膜)

PAN膜はセルロース系の膜に比べ孔経が大きく,しかも分画性がよい.

セルロース系の膜に比べて,透析中の白血球の一過性の減少,補体の活性化などが小さく,生体適合性に優れている.

AN69などのPAN膜は陰性荷電が強く,凝固第Ⅻ因子を強く活性化し,カリクレイン・キニン系を賦活化,ブラジキニンの産生を刺激する.
→ACE阻害剤はブラジキニンを不活性化させるキニナーゼⅡを阻害するため,体内にブラジキニンが貯留し,血管透過性の亢進,血管平滑筋の拡張,血圧低下をきたす(陰性荷電症候群)ため,ACE阻害剤は禁忌!!

ポリメチルメタクリレート膜(polymethylmethacrylate;PMMA膜)

商品名:NF

他の合成膜に比べてβ2-ミクログロブリンの吸着が多く,主に吸着によりβ2-ミクログロブリンが除去されるとされている.

セルロース系の膜に比べて,透析中の白血球の一過性の減少,補体の活性化などが小さく,生体適合性に優れているとされている.

セルロース系膜

修飾再生セルロース膜.

セルロース(cellulose)は,分子式(C6H10O5)n で表わされる炭水化物(多糖類)で,植物細胞の細胞壁や繊維の主成分。多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子(βグルカンの一種).
→セルロース系の透析膜を長期に使用していると,血中(1-3)β-D-glucan の濃度測定に影響を及ぼすことがある.
・他に血中(1-3)β-D-glucan の濃度が上昇する可能性があるのは,製造過程でセルロース系透析膜を用いる血液製剤(アルブミン,グロブリンなど),抗癌剤(レンチナンなど),サルファ剤などの使用.

・強度,小分子物質の除去に優れる.
・白血球の一過性の減少、補体の活性化などを生じる(生体適合性が悪い).

セルロース系膜と接触した血液では,セルロース上のOH基との反応により,補体の活性化が起こり,単核球からのサイトカイン産生を誘導する.

膜の選択

ダイアライザーの効率は,膜の素材,膜面積,血流量,血中代謝産物の濃度などにより変化する.
膜面積が大きくなればなるほど,血流量が増えれば増えるほど,除去能は大きくなる.
→ダイアライザーを選ぶ際には,患者の体格やazotemiaの程度・期間,主に除去したい物質,患者の循環動態を考慮することが重要.

BUNが200mg/dLもあるような場合は,膜面積の小さいものを選び短時間の透析にとどめて,透析中および直後に出現する不均衡症候群(disequilibrium syndrome)を起こさないよう注意する.

体格の大きい循環動態の安定した成人では膜面積の大きなものを,水除去や中分子物質除去を多くしたいときは膜面積の大きなものやhigh flux dialyzerを選択する.

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