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薬事法では,注射薬として管理されている.
作製
液状原液に代わって,現在では粉状の原液を溶解して使用されていることが多い.
水処理
水道水もしくは地下水といった原水をほぼ水に近い逆浸透(Reverse Osmosis;RO)水とした後紫外線殺菌処理をし,透析用水(希釈水)とする.
・原水から軟水化装置,活性炭吸着装置,逆浸透装置の順で処理し,最終的にはほぼ水分子のみになる.
軟水化装置
ボンベ内に充填された陽イオン交換樹脂により,原水中の硬度成分(主に二価以上の陽イオンCa2+,Mg2+)をNa+にイオン交換することにより除去する装置.
→原水中のAl3+もNa+にイオン交換樹脂でイオン交換され除去される.
逆浸透の前処理としてRO膜の負担を軽減し,膜性能の長期維持を目的に設置される.
活性炭吸着装置
多孔質活性炭の触媒および吸着力を利用して,原水中に含まれRO膜の早期劣化につながる遊離塩素・クロラミン(塩素とアンモニアとの反応にて生成される)・有機物を除去する.
・最近ではカートリッジタイプの活性炭フィルターが普及している.
・活性炭濾過装置の出口において,総残留塩素濃度が基準値(0.1mg/mL)未満にあることを確認する.
逆浸透装置
逆浸透は水処理の最終工程でRO装置ではRO膜を介して溶液に浸透圧以上の圧力を加えることにより,水成分がRO膜を濾過してくる.
→水道中の溶解イオン,有機物,バクテリア,バイオジェンなどをほぼ完全に除去することが可能だが,より清浄度の高い透析用水を得るために,細菌・ETの阻止により適したUFモジュールを設置することになる.
混合
水処理後の水に,Ca,Mgを含むA原液と重炭酸を含むB原液とを混合し,作成される.
A原液,B原液,希釈水の混合比率1:1.26:32.74.
・個人機,セントラルシステムでも同様.
A液
酢酸含有透析液の場合にはA液にpH調節剤として氷酢酸が含まれる.
酢酸フリー透析液の場合はpH調節剤としてクエン酸ナトリウム,クエン酸水和物が含まれる.
B液
主に炭酸水素ナトリウムからなり,酢酸フリー透析液でも酢酸含有透析液でも同じ.
成分
カリウム
K濃度は2.0mEq/Lに設定されている.
マグネシウム
無糖重炭酸透析剤であった1989年ころまでは1.5mEq/Lが用いられていたが,生命への危険性を伴う高Mg血症を回避する目的で,現在1.0mEq/L濃度で今日に至っている.
↓
透析前血清Mg濃度と全死亡・心血管死・非心血管死のリスクはいずれもU字型を示したことから,Mg濃度1.2mEq/Lの透析液が2020年11月から発売された.
・血清Mg濃度のデータが得られた血液透析患者142,555例において,1年後の全死亡,心血管死,非心血管死を検討され,透析前血清Mg濃度と全死亡,心血管死,非心血管死のリスクはいずれもU字型を示し血清Mg濃度2.7~3.0mg/dLの範囲で有意に低下していた.
酢酸
多くの透析液で酢酸が添加されている.
水質管理
透析用の原水には,「水道法による規制」に基づいて供給される原水と,「水道法による規制を受けていない水道」による原水がある.
→「水道法による規制を受けていない水道」による原水の場合,厳格な透析用水の化学的汚染物質の管理が必要となる.
2018年度の日本透析医学会調査では,超純水透析基準を満たしている透析施設は72.4%.
化学的汚染物質
亜鉛
生物学的汚染
透析液のエンドトキシン(endotoxin;ET)濃度と生菌数は相関せず,ET濃度が測定感度以下であっても細菌培養を行うと検出される場合がある.
→生菌数とET濃度を同時に評価する必要がある.
超純粋透析液 ultra-pure dialysis fluid
生菌数<0.1CFU/mL
エンドトキシン<0.001EU/mL
オンライン補充液
無菌
無発熱物質(無エンドトキシン)
最終のエンドトキシン捕捉フィルタ(endotoxin retentive filter;ETRF)直前の透析液を超純粋透析液とし,それに加えて細菌レベルで常用対数減少値(logarithmic reduction value;LRV)7,ETレベルでLRV 4の機能を有する最終ETRFを設置して,生菌数<10-6CFU/mL(滅菌相当)の水質基準が理論的に担保されたもの.
排水
透析医療機関から公共下水道へ排水する場合,下水道法施行令・各自治体下水道条例で定める下水排除基準を順守しなければならない.
特に注意が必要なのは,
1)水素イオン(pH)5を超え9未満
2)温度45℃未満水質基準
→中和処理装置(システム)などの除害施設の設置が必要