うつ病 治療

医学ノート(なすび用)

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一般的に,うつ病の治療には,薬物療法,認知行動療法(cognitive behavioral therapy;CBT)に代表される精神療法,休養や復帰に向けての環境調整,運動療法や電気けいれん療法が含まれる.

軽症のうつ病では,本来薬物療法や本格的な精神療法は必要のないことが少なくない.
→患者に支持的態度で接すると共に,十分な患者教育(psychoeducation)を行い,個々の患者の背景に応じた環境調整などを行うことで,治療できることが多い.

精神科に紹介すべきケース

①うつ状態であってもうつ病との診断が不確かなとき
②妄想・昏迷などの精神症状が疑われるとき
③双極性障害(双極性うつ病)が疑われるとき
④1~2ヵ月以上治療しても改善が見られないときやすでに慢性化しているとき
⑤環境(家族・職場)調整が必要なとき
⑥自殺念慮や自殺企図がみられるとき

心理教育

一番重要.

①うつ病は,「なまけ」や性格的な弱さではなく医学的治療で治せる病気であることを十二分に説明する.
・短くても2~3ヵ月はかかり,病状に一進一退がある.

②精神的休息や負荷軽減の必要性も明確に説明する.
・うつ病を治そうと頑張らない.

③うつ病になると性格や環境に関する問題に一層悩みがちであるが,深く考えないように指導する.

④仕事や学校を辞める,離婚するなどの重大な決断はしないようにする.
・うつ病がよくなってから検討することを伝える.

⑤自殺しない約束もきちんとしてもらう.
・耳介の来院日,時間を明確に決めておく.

⑥薬物療法の意義を十分に説明する.

⑦終始,受容的・支持的.共感的に接することの重要性を,家族・関係者に十分に説明する.

認知行動療法 cognitive behavioral therapy;CBT

最もエビデンスがある精神療法.

うつ病になりやすい考え方のクセに気付き,考え方や物事の捉え方をしなやかに柔軟にすることで,認知・行動と抑うつ気分の負のスパイラル・悪循環を断ち切る方法.

原則として,重症のうつ病には行うものではなく,軽症~中等症が適応.
うつ病が薬物療法である程度改善したところで開始することが推奨される.
うつ病の再発予防にも有効.

なすび院長
なすび院長

十分にトレーニングした治療者がいる治療施設が限定されていることが問題.

薬物療法

うつ病の病態は,意欲や活力に関連するノルアドレナリン(norepinephrine;NE)や抑うつや不安に関連するセロトニン(5-hydroxytryptamine;5-HT)などの神経伝達物質の働きが不調に陥り,脳の機能不全が引き起こされ,さまざまな精神・身体症状が現れるというモノアミン仮説に基づく.

パキシル首位陥落、レクサプロ初の首位獲得
日経メディカルOnlineの医師会員を対象に、SSRIのうち最も処方頻度の高いものを聞いたところ、34.3%の医師がエスシタロプラムシュウ酸塩(商品名:レクサプロ)と回答した。

治療の原則

新規抗うつ薬(SSRI/SNRI/NaSSA/SRIM)が第一選択.
従来の三環系抗うつ薬は,新規抗うつ薬より効果が優れる面があるが,大量服薬時には,致死的不整脈による生命的危険性が非常に高くなることが致命的な欠点.

投与開始時に副作用の説明
悪心・嘔気など,アクチベーション症候群(焦燥・イライラ・攻撃性など),中断症候群(めまい・頭痛・胃腸症状など)

少量より開始,漸増

副作用に留意しつつも十分量使用
・効果判定は,十分量を4~6週間服用してから.
・不十分量の慢性投与は,うつ病の遷延化の要因にもなりうる.

毎日定期的に服薬することで2~3週後より効果が徐々に出現.通常,寛解までは短くても8週以上を要する.

再燃・再発予防のため寛解後,最低4~12ヵ月の持続・維持療法(抗うつ薬の継続)が必要.
・急な中止は,中断症候群(頭痛,感覚異常,嘔気,焦燥感,不眠など)を生じることが稀ではない.さらにうつ病の再燃,再発の要因となりやすい.

選択的セロトニン再取り込み阻害薬 selective serotonin reuptake inhibitor;SSRI

単回投与によって,SSRIが前シナプスにある5-HTトランスポーター部位へ結合し,5-HTの再取り込みを阻害し,シナプス間隙の5-HT量を増加させる.
同時に,5-HT神経細胞体上にある5-HT1A自己受容体にも結合するため,一時的に5-HTの間隙への放出が抑制され,5-HTは前シナプス内の小胞体内へ蓄積される(一時的に,5-HT神経系活動が抑制される).

反復投与によって,5-HT1A自己受容体が脱感作(desensitization)されることで,5-HT神経系の抑制が外れ,シナプス終末から,小胞体内に蓄積されていた5-HTが放出される.
→この機序が確立するためには2~3週間かかる.

フルボキサミンマレイン酸塩錠

デプロメール®
ルボックス®
1日2回

初期用量 1日50mg
最高用量 1日150mg

併用禁忌:MAO阻害薬,ピモジド,チザニジン,ラメルテオン

パロキセチン塩酸塩錠

パキシル®
1日1回夕食後(原則後1週毎に10mg/日ずつ増量)

初期用量
1日10~20mg(うつ病・うつ状態・心的外傷後ストレス障害)
1日10mg(パニック症・社交不安症)
1日20mg(脅迫症)

最高用量
1日40mg(うつ病・うつ状態・心的外傷後ストレス障害)
1日30mg(パニック症・社交不安症)
1日50mg(脅迫症)

併用禁忌:MAO阻害薬,ピモジド

パロキセチン塩酸塩錠水和物腸溶性徐放錠

パキシルCR®
1日1回夕食後(初期用量投与後1週ごとに10mg/日ずつ増量)

初期用量 1日12.5mg
最高用量 1日50mg

併用禁忌:MAO阻害薬,ピモジド

セルトラリン塩酸塩錠,セルトラリン塩酸塩錠口腔内崩壊錠

ジェイゾロフト®,ジェイゾロフトOD®
1日1回

初期用量 1日25mg
最高用量 1日100mg

併用禁忌:MAO阻害薬,ピモジド

エスシタロプラムシュウ酸塩

レクサプロ®
1日1回夕食後(増量は1週間以上の間隔を空ける)

初期用量 1日10mg
最高用量 1日20mg

併用禁忌:MAO阻害薬,ピモジド
禁忌:QT延長患者

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 serotonin and norepinephrine reuptake inhibitor;SNRI

5-HTとNEの再取り込み阻害を行うことで,最終的に両方の神経伝達物質の放出を促進させる.

機序はSSRIに類似し,5-HT神経細胞上にある5-HT1A自己受容体の働きが,NE神経系ではα2自己受容体となり,両者の神経系が活性化する.

作用発現も投与開始から2~3週間後.

デュロキセチン塩酸塩カプセル

サインバルタ®
1日1回朝食後(1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量)

初期用量 1日20mg
最高用量 1日60mg

併用禁忌:MAO阻害薬
禁忌:高度肝・腎障害患者

ベンラファキシン塩酸塩徐放性カプセル

イフェクサーSRカプセル®
1日1回食後(初期用量投与後1週間後より1日75mgを,その後の増量は1週間以上の間隔を空けて1日用量として75mgずつ行う)

初期用量 1日37.5mg
最高用量 1日225mg

併用禁忌:MAO阻害薬
禁忌:高度肝・腎障害患者

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 noradrenergic and specific serotonergic antidepressant;NaSSA

ミルタザピン
2009年より使用可能

5-HT分泌を抑制するα2ヘテロ受容体とα2自己受容体をふさぎ,5-HTやNEの分泌量そのものを増やす.

抗うつ・抗不安作用に密接に関連している5-HT1A受容体以外の5-HT受容体(5-HT2受容体や5-HT3受容体など)をブロックし,5-HTが5-HT1A受容体に結びつきやすくする.

ヒスタミン(histamine)1受容体に対する親和性が高いため,食欲増進,体重増加,眠気などの副作用が生じることがある.

CYP結合能は最小限であるため,薬剤相互作用は比較的少ない.

セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬 serotonin reuptake inhibitory modulator;SRIM

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

不安が目立つ症例などで,新規抗うつ薬の効果発現がみられるまでに1~2週以上を要することから,ベンゾジアゼピン系抗不安薬が併用される場合があるが,付加効果があるのはせいぜい数週間

耐性・習慣性・依存性の問題が指摘されており,可能な限り早期に漸減中止する
漫然な投与をされることを避けなければいけない!

身体的治療

修正型電気けいれん療法 modified-electroconvulsive therapy;mECT

うつ病の治療の中では最も効果があるとされており,薬物療法や精神療法への治療抵抗性に対して行われる.
・これに反応しない場合に難治性うつ病とする定義もある.

通常は入院して麻酔科医の身体管理のもと行われる.

反復経頭蓋磁気刺激 repetitive transcranial magnetic stimulation;rTMS

高照度光療法

秋冬に毎年のように過食や過眠がみられるうつ病エピソードを反復する季節性うつ病例に有効性が実施されている.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
勉強好きで,私用に細々とまとめています.

妻:りんご
長女:いちご
次女:れもん
三女:みかん
事務長:かえる

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