糖尿病と認知症

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

中年期と高齢期の糖尿病は認知症発症は危険因子であり,認知症は糖尿病の併存症の1つとして位置づけられる.

認知症を合併した糖尿病は,低血糖,著しい高血糖を来たしやすく,適正な血糖コントロール目標の設定,治療の単純化,社会サポートの確保などの包括的治療を行う必要がある.

疫学

多くの前向き研究のメタ解析により,糖尿病患者は認知症を起こしやすく,Alzheimer病は約1.5倍,血管性認知症は約2倍発症しやすいことが明らかになっている.

糖尿病は認知症に至っていない認知機能障害を来たしやすく,認知機能全般のみならず,記憶力,遂行機能,情報処理能力,注意力などの領域は1.5倍前後障害されやすい.

危険因子

血糖コントロール

未治療の糖尿病:最も重要(1.6倍)

高血糖(HbA1c≧8.0%)

重症低血糖
・重症低血糖があると,認知症は1.68倍発症しやすい.
・認知症があると,重症低血糖は1.61倍起こしやすい.

血糖変動大

血管性危険因子

脳血管疾患,末梢動脈疾患

アルブミン尿,収縮期血圧,TG高値

生活習慣

身体活動量低下

低BMI,体重減少,体重増加

カロチン,ビタミンB2,緑黄色野菜の摂取低下

余暇活動 or 社会的ネットワークの低下

フレイル

フレイルの患者は認知機能が低下しやすく,認知機能障害や認知症の患者はフレイルを来たしやすく,両者は双方向の関係.

認知機能障害とフレイルは,加齢,インスリン抵抗性,高血糖,低血糖,血糖変動,動脈硬化性疾患,脳白質病変,身体活動量低下,低栄養,社会的孤立など共通の病因・危険因子を持っている.

認知機能障害のスクリーニング

糖尿病患者は,遂行機能障害を認めることが多く,HDS-RやMMSEが高値となり,認知機能障害を十分に見出すことができない場合がある.
→Mini-CogやMoCAを使用すると遂行機能障害が評価できることが多い.
・MoCAは糖尿病患者の軽度認知障害を見出すのに有用.

すべての患者に認知機能障害のスクリーニング検査を行うことは困難であるため,以下の認知機能障害を疑う手がかりがある場合に,スクリーニング検査を行う.
①記憶障害
②手段的ADL低下(買い物と金銭管理が最もMCIを予測する)
③セルフケア(服薬管理・インスリン注射)のアドヒアランス低下
④心理状態の悪化
⑤サルコペニア・フレイルなど

DASC-8

質問用紙など詳細はこちらのサイト

日本老年医学会では、DASC-21(地域包括ケアシステムのための認知症アセスメントシート)の短縮版であるDASC-8(認知・生活機能質問票)を用いて,高齢者の血糖コントロール目標設定のためのカテゴリー分類ができることを明らかにした.

10点以下→カテゴリーⅠ(認知機能正常・ADL 自立)
11~16点→カテゴリーⅡ(MCI ~軽度認知症・手段的ADL 低下)
17点以上→カテゴリーⅢ(中等度以上の認知症・基本的ADL低下)

治療

食事療法

低栄養は認知症だけでなく,MCIの段階から,認知機能を悪化させる.
体重減少は,骨格筋量の減少を招き,フレイル・ADL低下につながるので注意を要する.
→生活リズムの乱れ,起床時間が遅れ,朝食を抜いてしまうなどの欠食も低栄養の原因となるため,まずデイサービスなどを利用し,生活のリズムを作ることが重要.

適正なエネルギー量を摂取し,極端なエネルギー制限を避けることが大切(J-EDIT研究).
→65歳以上では,目標体重が[身長]2×22~25と多めに計算できる.

腎不全がなければ,フレイル対策として,魚・大豆製品・肉などのタンパク質を十分摂取するよう勧める.
→筋肉維持のため,通常の高齢者では1.0~1.2g/kg体重のタンパク質,低栄養・低栄養リスクのある高齢者では,1.2~1.5g/kg体重のタンパク質を摂取することを推奨.

ビタミンやミネラルを十分に摂取する.
・高齢糖尿病男性のビタミンAやビタミンBの摂取不足は認知機能が低下しやすい.

運動療法

レジスタンス運動と有酸素運動の歩行が勧められる.

糖尿病患者におけるレジスタンス運動はインスリン抵抗性,血糖,筋力を改善すると報告されている.
少なくとも週2回以上行うことが必要.
→市町村の運動教室,太極拳,ヨガ,椅子を使ったスクワットなど

介護認定し,介護保険のデイケアを利用する.
転倒しやすい場合は,監視下で,指導者のもとに運動することが必要.

多要素の運動は柔軟性運動から始め,軽度レジスタンス運動,バランス運動,有酸素運動を組み合わせ,レジスタンス運動の強度を強める.

座位時間を短くし,社会参加を促し,身体活動量を増やすこともフレイルの進行予防のため重要.

糖尿病治療

①低血糖などの有害事象を防ぐ治療
・SUはできるだけ少量.

②病態,特に腎機能評価に基づいた薬剤の選択や調節

③服薬アドヒアランス低下に対する対策
・服薬数や回数を減らす
・服薬のタイミングを統一する.
・一包化する(SU薬は除く)
・配合薬の利用
・インスリン療法の場合は,BOT,weekly GLP-1RAなどで注射回数を減らすことを検討.

④治療の負担の軽減など

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