新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

発症後数日はウイルス増殖が,そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられている.

発症早期には,抗ウイルス薬 or 抗体薬
徐々に悪化の見られる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が必要となる.

参考サイト

https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_210731.pdf
(日本感染症学会)

COVID-19の治療update 2021年7月版 | Antaa Slide
COVID-19の治療について最新のエビデンスをもとにまとめました。個人的な意見はほとんど記載せず、なるべくエビデンスに忠実に作成しています。外来で可能な治療にも言及しています。皆様の診療の参考にしていただければ幸いです。公開範囲は制限していません。

新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する医療提供プロトコール (第4版)(2021.8.25)
https://www.jhhca.jp/covid19/210518protocol/

重症度

PCRなどにより,COVID-19の確定診断がついていない患者は薬物治療の適応とならない.

軽症

酸素投与の必要のない状態

大半は自然治癒する.

重症化リスク(50歳以上,BMI≧30kg/m2,心血管疾患[高血圧含む],慢性肺疾患,1型or2型糖尿病,CKD[透析含む],慢性肝疾患,免疫抑制状態[悪性腫瘍治療・骨髄or臓器移植,免疫不全,コントロール不良のHIV,AIDS,鎌状赤血球貧血,サラセミア,免疫抑制剤の長期投与など])のある患者においては,特に重症化や死亡のリスクが高いため,軽症のフェーズであっても薬物治療を検討する.

無症状者では,薬物治療は推奨しない.

中等症

SpO2<94% or 酸素投与が必要な状態

重症

人工呼吸管理やECMO(体外式膜型人工肺)を要する状態

抗体カクテル療法

「抗体カクテル療法」特例承認 新型コロナの治療はどう変わるのか(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース
7月19日に抗体カクテル療法が特例承認となり、国内で初めて軽症の新型コロナ患者に使用可能な治療薬が登場したことになります。新型コロナの治療やどのように変わるのでしょうか。

カシリビマブ・イムビマブ(遺伝子組み換え) ロナプリーブ点滴静注セット®
通常,成人・12歳以上and体重40kg以上の小児に,それぞれ600mgを併用により,単回点滴静注する.
*感染症の症状が発現してから速やかに投与する.臨床試験においては症状発現から8日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない.
*投与終了後少なくとも1時間はモニター観察することとされている.

単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られたSARS-CoV-2スパイク蛋白の受容体結合ドメインに対する抗体であり,SARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を発揮することが知られている.

適応
重症化リスク因子を有し,酸素投与を要しない患者を対象にする.
・高流量酸素or人工呼吸器管理を要する患者において症状が悪化したという報告がある.
・本剤の中和活性が低い変異株に対しては本剤の有効性が期待できない可能性がある.

エビデンス
・発症から時間が経っていない軽症例ではウイルス量の減少や重症化を抑制する効果が示されており,また投与時にすでに自己の抗体を有する患者では効果が期待できないことが示されている.
・重症化リスク因子を1つ以上持つCOVID-19外来患者を対象としたRCTでは,カシリビマブ・イムビマブ単回投与により,プラセボと比較して,COVID-19による入院or全死亡がそれぞれ71.3%,70.4%有意に減少した.症状が消失するまでの期間(中央値)は,両投与群ともプラセボ群に比べて4日間短かった.

抗ウイルス薬

レムデシビル remdesivir

ベクルリー®点滴静注液100mg
成人・40kg以上の小児→投与初日に200mg,投与2日目以降は100mg/dayを1日1回で.
・生理食塩水に添加し,30~120分かけて点滴静注
・原則として5日間の投与が推奨される(10日間と有効性・副作用に差はなし).

一本鎖RNAウイルスに対し広く活性を示すRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬.
・元来はエボラウイルス感染症の治療薬として開発されたが,in vitroでSARS-CoV-2に対し良好な活性を示す.

適格基準
・PCR検査においてSARS-CoV-2が陽性
・酸素飽和度が94%以下,酸素吸入又はNEWS2スコア4以上
・入院中
*現時点での適応は中等症or重症(これまでのエビデンスでは重症例に対する有効性は否定されつつある).

除外基準
・多臓器不全の症状を呈する患者
・継続的に昇圧剤が必要な患者
・ALTが基準値上限の5倍超
・クレアチニンクリアランス 30 mL/min 未満 or 透析患者
・妊婦

副作用
肝機能障害,下痢,皮疹,腎機能障害などの頻度が高く,重篤な副作用として多臓器不全,敗血症性ショック,急性腎障害,低血圧が報告されている.
→急性腎障害,肝機能障害があらわれることがあるので,投与前・投与中は毎日腎機能・肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する.

エビデンス
ACTT-1:欧米・アジアでのRCT.プラセボ群は臨床的改善に15日であったのに対し,レムデシビル群では10日に短縮されたと報告されている(サブグループ解析では,薬剤投与時に挿管orECMO使用中には認めず).
SOLIDARITY Trial:WHO主導.レムデシビルに生存率での有効性は示されなかった.

ファビピラビル

3600mg(1800mg BID)(Day1)+1600mg(800mg BID)(Day2以降),10日間(最長14日間)

「新型or再興型インフルエンザウイルス感染症(他の抗インフルエンザウイルス薬が無効・効果不十分なものに限る)」に限定して,2014年3月に承認.

生体内で変換された三リン酸化体(T-705RTP)が,ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害するものであることから,インフルエンザウイルス以外のRNAウイルスへも効果を示す可能性がある.

副作用
多い順に高尿酸血症・尿酸値上昇(高頻度),肝機能障害,腎機能障害,嘔吐・嘔気・悪心
→高尿酸血症は投与終了時に正常化することが知られている.
→投与前に肝機能障害がないか確認する(慎重投与)

注意点
・妊婦・妊娠している可能性がある婦人には投与しない(問診の直前の月経終了日以降に性交渉を行っていないことを確認する)
・妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は,投与開始前に妊娠検査を行い,陰性であることを確認する.
・精液中へ移行することから,男性患者に投与する際は,その危険性について十分に説明した上で,投与期間中・投与終了後10日間まで,性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底する.
・治療開始に先立ち,患者・家族などに有効性or危険性を十分に文書にて説明し,文書での同意を得てから投与を開始する.

エビデンス
ロシアで行われたRCTでは,ファビピラビル投与群では投与5日目でウイルス消失率が62.5%であり,プラセボ群と比較して有意差がみられた.平熱になるまでの期間もファビピラビル群の方が早かった(中央値2日VS4日).
国内での臨床報告では,解熱までの時間が有意差には達しなかったが,早期のPCR陰性化,解熱傾向がみられた.

免疫調整薬・免疫抑制薬

デキサメタゾン

デキサメタゾンとして6mg1日1回 10日間
 経口→デカドロン錠4mg 1.5錠(必要時粉砕)
 静注→デキサート6.6mg/2mL(8mg換算) 1V全量
*40kg未満では,0.15mg/kg/日へ減量を考慮

重症COVID-19患者は,肺障害・多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現する.
→コルチコステロイドの抗炎症作用によって,これらの有害な炎症反応を予防・抑制する可能性が示唆されている.

注意点
妊婦・授乳婦には使用しない.

エビデンス
イギリスで行われた入院患者を対象とした無作為化オープンラベル試験では,デキサメタゾンの投与を受けた患者は,標準治療を受けた患者と比較して死亡率が減少したことが示された.
*登録時に酸素投与を要しなかった集団では予後改善効果はなし.

バリシチニブ

(トシリズマブ)

(回復者血漿,高度免疫グロブリン製剤)

退院基準

有症状者の場合
① 発症日から 10 日間経過し,かつ症状軽快後,72 時間経過した場合
② 症状軽快の 24 時間後,2 回の PCR 検査(24 時間間隔)で陰性確認

無症状者の病原体保有者の場合
① 検体採取日から 10 日間経過した場合
② 検体採取日から 6 日間経過後,2 回の PCR 検査(24 時間間隔)で陰性確認

(Test-based strategy)

遺伝子検査の陰性結果を根拠にすると,なかなか陰性化せずに,無症状であっても退院させられない症例が増加し,病床を圧迫する.

Symptom-based strategy

発症,症状消失からの日数を参考に退院を判断する.

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