新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

発症後数日はウイルス増殖が,そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられている.

発症早期には,抗ウイルス薬 or 抗体薬
徐々に悪化の見られる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が必要となる.

COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第8版(日本感染症学会 2021/07/31)
新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する医療提供プロトコール (第4版)(2021.8.25)

重症度

PCRなどにより,COVID-19の確定診断がついていない患者は薬物治療の適応とならない.

軽症

酸素投与の必要のない状態

大半は自然治癒する.

重症化リスク(50歳以上,BMI≧30kg/m2,心血管疾患[高血圧含む],慢性肺疾患,1型or2型糖尿病,CKD[透析含む],慢性肝疾患,免疫抑制状態[悪性腫瘍治療・骨髄or臓器移植,免疫不全,コントロール不良のHIV,AIDS,鎌状赤血球貧血,サラセミア,免疫抑制剤の長期投与など])のある患者においては,特に重症化や死亡のリスクが高いため,軽症のフェーズであっても薬物治療を検討する.

無症状者では,薬物治療は推奨しない.

中等症

SpO2<94% or 酸素投与が必要な状態

重症

人工呼吸管理やECMO(体外式膜型人工肺)を要する状態

呼吸器管理

当初,エアロゾル感染が危惧されたため,飛沫が飛ばない挿管・人工呼吸器管理が選択されていたが,侵襲度が高く,COVID-19に有効とされる腹臥位がとりにくい.

陰圧化された個室で高流量鼻カニュラ酸素療法(high flow nasal cannula;HFNC)
・患者にサージカルマスクを着用させ,医療者側もきちんとした感染防御体制がとれるなら,積極的に導入する

抗ウイルス薬

レムデシビル remdesivir

ベクルリー®点滴静注液100mg
成人・40kg以上の小児→投与初日に200mg,投与2日目以降は100mg/dayを1日1回で.
・生理食塩水に添加し,30~120分かけて点滴静注
・原則として5日間の投与が推奨される(10日間と有効性・副作用に差はなし).

一本鎖RNAウイルスに対し広く活性を示すRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬.
・元来はエボラウイルス感染症の治療薬として開発されたが,in vitroでSARS-CoV-2に対し良好な活性を示す.

適格基準
・PCR検査においてSARS-CoV-2が陽性
・酸素飽和度が94%以下,酸素吸入又はNEWS2スコア4以上
・入院中
*現時点での適応は中等症or重症(これまでのエビデンスでは重症例に対する有効性は否定されつつある).

除外基準
・多臓器不全の症状を呈する患者
・継続的に昇圧剤が必要な患者
・ALTが基準値上限の5倍超
・クレアチニンクリアランス 30 mL/min 未満 or 透析患者
・妊婦

副作用
肝機能障害,下痢,皮疹,腎機能障害などの頻度が高く,重篤な副作用として多臓器不全,敗血症性ショック,急性腎障害,低血圧が報告されている.
→急性腎障害,肝機能障害があらわれることがあるので,投与前・投与中は毎日腎機能・肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する.

エビデンス
5つの大規模なRCTがあるが,有効性が示されたものと示されなかったものが混在している.
ACTT-1:欧米・アジアでのRCT.プラセボ群は臨床的改善に15日であったのに対し,レムデシビル群では10日に短縮されたと報告されている(サブグループ解析では,薬剤投与時に挿管orECMO使用中には認めず).
SOLIDARITY Trial:WHO主導.レムデシビルに生存率での有効性は示されなかった.

透析患者
eGFR<30の患者での使用は慎重投与.
最近,透析患者を対象としたレムデシビルの安全と許容性を評価した論文が報告された(Kidney Int Rep 2021; 6: 586-593).
→透析毎にレムデシビル100mgを,透析4時間前に静脈内投与する方法で,安全に使用可能.入院48時間以内に投与した群で入院期間が平均5.5日短縮された.

(ファビピラビル)

3600mg(1800mg BID)(Day1)+1600mg(800mg BID)(Day2以降),10日間(最長14日間)

「新型or再興型インフルエンザウイルス感染症(他の抗インフルエンザウイルス薬が無効・効果不十分なものに限る)」に限定して,2014年3月に承認.

生体内で変換された三リン酸化体(T-705RTP)が,ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害するものであることから,インフルエンザウイルス以外のRNAウイルスへも効果を示す可能性がある.
→まだ結論が出ていない.

副作用
多い順に高尿酸血症・尿酸値上昇(高頻度),肝機能障害,腎機能障害,嘔吐・嘔気・悪心
→高尿酸血症は投与終了時に正常化することが知られている.
→投与前に肝機能障害がないか確認する(慎重投与)

注意点
・妊婦・妊娠している可能性がある婦人には投与しない(問診の直前の月経終了日以降に性交渉を行っていないことを確認する)
・妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は,投与開始前に妊娠検査を行い,陰性であることを確認する.
・精液中へ移行することから,男性患者に投与する際は,その危険性について十分に説明した上で,投与期間中・投与終了後10日間まで,性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底する.
・治療開始に先立ち,患者・家族などに有効性or危険性を十分に文書にて説明し,文書での同意を得てから投与を開始する.

エビデンス
ロシアで行われたRCTでは,ファビピラビル投与群では投与5日目でウイルス消失率が62.5%であり,プラセボ群と比較して有意差がみられた.平熱になるまでの期間もファビピラビル群の方が早かった(中央値2日VS4日).
国内での臨床報告では,解熱までの時間が有意差には達しなかったが,早期のPCR陰性化,解熱傾向がみられた.

モルヌピラビル(3CLプロテアーゼ阻害薬)

新型コロナの経口薬、実用化前に押さえておきたい2つのポイント(日経メディカル 2021/11/25)

メルク

体内で活性代謝物に変換された後,RNA依存性RNAポリメラーゼに核酸アナログとして取り込まれ,ウイルスの増殖を阻害する.

1日2回,5日間服用することで重症化を防ぐ効果がある.

PF-07321332・リトナビル

パクスロビド® ファイザー

3CLプロテアーゼ阻害薬のPF-07321332に低用量のリトナビルを配合している.

抗体治療薬

抗体治療薬は大きく4つの機序で作用すると考えられる.
1)ウイルスの中和
2)抗体依存性ウイルス分解
3)抗体を介した抗原提示
4)抗体依存性細胞障害
→ウイルス増殖がみられる発症早期に投与することで効果が期待できると考えられる.

COVID-19に対して明らかな有効性が示されているものはモノクローナル抗体のみ.

モノクローナル抗体(抗体カクテル療法)

カシリビマブ・イムビマブ

COVID-19から回復したヒトやヒト免疫機能を持つように遺伝子組換えされたヒトやヒト免疫機能を持つような遺伝子組換えされたマウスが産生する何千という抗体の中から,特にスパイク蛋白に強い中和能を持つ2つ(カシリビマブとイムデビマブ)の抗体を選び出し,これらの抗体を産生する細胞から大量に作り出して製剤としたもの.
→それぞれスパイク蛋白の別の部位に結合し中和能を発揮し,変異株の出現に対応するために2つを組み合わせている.

オミクロン株に対しては,中和活性が低下することが報告され,有効性が減弱すると考えられている.
オミクロン株であることが明らかな場合や,可能性が高い場合には投与が推奨されない

「抗体カクテル療法」特例承認 新型コロナの治療はどう変わるのか(yahooニュース,2021/7/23)

カシリビマブ・イムビマブ(遺伝子組み換え) ロナプリーブ点滴静注セット®
通常,成人・12歳以上and体重40kg以上の小児に,それぞれ600mgを併用により,単回点滴静注する.
*感染症の症状が発現してから速やかに投与する.臨床試験においては症状発現から8日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない.
*投与終了後少なくとも1時間はモニター観察することとされている.

単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られたSARS-CoV-2スパイク蛋白の受容体結合ドメインに対する抗体であり,SARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を発揮することが知られている.

適応
重症化リスク因子を有し,酸素投与を要しない患者を対象にする(軽症~中等症).
・高流量酸素or人工呼吸器管理を要する患者において症状が悪化したという報告がある.
・本剤の中和活性が低い変異株に対しては本剤の有効性が期待できない可能性がある.

エビデンス
・発症から時間が経っていない軽症例ではウイルス量の減少や重症化を抑制する効果が示されており,また投与時にすでに自己の抗体を有する患者では効果が期待できないことが示されている.
・重症化リスク因子を1つ以上持つCOVID-19外来患者を対象としたRCTでは,カシリビマブ・イムビマブ単回投与により,プラセボと比較して,COVID-19による入院or全死亡がそれぞれ71.3%,70.4%有意に減少した.症状が消失するまでの期間(中央値)は,両投与群ともプラセボ群に比べて4日間短かった.

ソトロビマブ

ゼビュディ点滴静注薬500mg® GSK
通常,成人・12歳以上and≧40kgの小児には,500mgを単回点滴静注(30分以上かけて).

SARS-CoV-1感染者から抽出された抗体にFC修飾を加えたモノクローナル抗体.
・1種類のモノクローナル抗体がSARS-CoV2の変異しづらい部位に結合し,中和作用を示すと考えられているため,変異株に強い可能性がある.

対象患者は「重症化リスク因子を有する軽症から中等症Ⅰの患者(酸素投与を要する患者を除く)」

生理食塩水 or 5%ブドウ糖注射液で用時希釈.
0.2μmインラインフィルターを使用する.
患者同意書が必要.

1バイアル1人分のため,1バイアル2人分かつ2つの薬剤を混入する工程があるロナプリーブに比べ,医療現場での利便性が高い.

オミクロン株に対しても,中和活性が保たれていたと報告されている.

COMET-ICE試験

(回復者血漿,高度免疫グロブリン製剤)

免疫調整薬・免疫抑制薬

デキサメタゾン

デキサメタゾンとして6mg1日1回 10日間
 経口→デカドロン錠4mg 1.5錠(必要時粉砕)
 静注→デキサート6.6mg/2mL(8mg換算) 1V全量
*40kg未満では,0.15mg/kg/日へ減量を考慮

重症COVID-19患者は,肺障害・多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現する.
→コルチコステロイドの抗炎症作用によって,これらの有害な炎症反応を予防・抑制する可能性が示唆されている.

現時点では酸素投与が必要な中等症2の時点で投与を開始することが一般的
*酸素投与していない患者,鼻カニューラで投与患者は予後を悪化させたと報告されている.

注意点
妊婦・授乳婦には使用しない.

エビデンス
イギリスで行われた入院患者を対象とした無作為化オープンラベル試験では,デキサメタゾンの投与を受けた患者は,標準治療を受けた患者と比較して死亡率が減少したことが示された.
*登録時に酸素投与を要しなかった集団では予後改善効果はなし.

経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬

モルヌピラビル

ラゲブリオカプセル200mg®
通常,18歳以上の患者には,1回800mgを1日2回,5日間経口投与.
*小児適応なし

軽症~中等症

in vitroでの検討において,アルファ株,ベータ株,ガンマ株,デルタ株,ラムダ株,ミュー株,オミクロン株において,野生株と同程度の抗ウイルス活性が認められることが確認されている.

6日以降データなし.

肝障害,腎障害も投与可(腸管内加水分解を受ける)
患者同意書必要.

妊婦使用禁忌

バリシチニブ

オルミエント® 4mg錠/2mg錠 イーライリリー
成人には,レムデシビルとの併用において,4mgを1日1回経口投与.
*総投与期間は14日間まで.
*経口投与が困難な場合,懸濁し,経口・胃瘻・経鼻・経口胃管での投与可.

*腎機能障害
eGFR≧60:1日1回4mg
30≦eGFR<60:1日1回2mg
15≦eGFR<30:2mgを48時間毎に1回投与(投与回数は最大7回)
eGFR<15:投与しない.

新型コロナにバリシチニブが有効な理由(日経メディカル 2021/10/13)

中等症以上
入院後から時間経過が短く(3日以内),炎症マーカーが増加し,高流量酸素療法や非侵襲的人工呼吸器を必要とするなど,酸素需要が急激に増加している患者を対象に入院下で投与を行うこと.

結核・非結核性抗酸菌症やB型肝炎のスクリーニングが推奨される.

投与時には,やむを得ない場合を除き,抗凝固薬薬の投与などによる血栓塞栓予防を行う.

小児適応はなし.
妊婦・妊娠している可能性のある女性には投与しない.
妊娠可能な女性には,本剤投与中・本剤投与終了後少なくとも1月経周期は適切な避妊を行うよう指導.

IL-6阻害薬

(トシリズマブ)

2つのRCT(REMAP-CAP試験など)で予後を改善する効果が示されている.
・患者の大半が標準治療としてデキサメタゾンなどのステロイドを投与されていた.

対症療法

現時点でCOVID-19に頻用している漢方薬は柴葛解肌湯(さいかつげきとう).
→葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうききょうせっこう)という2つの漢方薬を合わせた処方薬.
・確定診断後すぐに1回内服して,2時間後にもう1回内服,その後は1日3回内服を継続する.
・苦みもなく飲みやすい漢方薬で,特に咽頭痛をすぐに取ってくれる.
・柴胡剤であるため,2週間以上続けて内服させる場合には血液検査が必須.

抗凝固療法

新型コロナウイルス感染症に後腹膜出血を合併した透析患者の1例 透析会誌54(11):583~589,2021

軽症,中等症Ⅰでは抗血小板薬を内服中の場合は,原則継続する.

中等症Ⅱ,重症では抗血小板薬を中止して,予防的抗凝固療法(未分画ヘパリン1万単位/日)を考慮する.

血栓症リスクを有する or D-dimer高値例では,重症度に関わらず予防的抗凝固療法を考慮する.

出血リスクが高い症例(HAS-BLED 3点以上など)では重症度と血栓リスクを考慮した上で,理学療法のみを行うか抗血小板薬 or DOACを併用するか慎重に判断する.

出血リスクが高い例で未分画ヘパリンを使用する場合にはAPTTの過剰延長がないか,血小板減少がないか適宜検査する.

血液透析などでヘパリンナトリウムを使用する場合には未分画ヘパリンの総投与量が1万単位/日を大きく超えないように調整する.

退院基準

有症状者の場合
① 発症日から 10 日間経過し,かつ症状軽快後,72 時間経過した場合
② 症状軽快の 24 時間後,2 回の PCR 検査(24 時間間隔)で陰性確認

無症状者の病原体保有者の場合
① 検体採取日から 10 日間経過した場合
② 検体採取日から 6 日間経過後,2 回の PCR 検査(24 時間間隔)で陰性確認

(Test-based strategy)

遺伝子検査の陰性結果を根拠にすると,なかなか陰性化せずに,無症状であっても退院させられない症例が増加し,病床を圧迫する.

Symptom-based strategy

発症,症状消失からの日数を参考に退院を判断する.

なすび医学ノート
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なすび院長

医療に疲れ、現場から離れたどろっぽ医ε- (´ー`*) フッ
ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
医学勉強などの日々のことをまとめています。
なんちゃって内科・糖尿病・腎臓病専門医です!(゚∀゚)

健康が一番の節約になる!これがモットー。
健康のためには、「自分を大切にすること」「生活習慣を見直すこと」「健診を受けること」が3本柱です!

妻:りんご夫人
長女:いちご
次女:れもん
事務長:かえる

もう少しで3児の父。とにかくかわいいε- (´ー`*)
twitterやっています(余裕がでてくるまで鍵垢)↓

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