新型コロナウイルス感染症 Coronavirus Disease 2019 ;COVID-19

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なすび医学ノート

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新型コロナウイルス名は,Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2

2019年12 月から中国武漢市を中心に広がっている新型コロナウイルス感染症.

通常のコロナウイルスは感染しても通常の感冒などの重度でない症状にとどまる(一般の感冒の原因の10~15%.流行期は35%)が,過去のSARS,MARSは深刻な呼吸器疾患を引き起こし,問題となった.
→今回の新型コロナウイルスも深刻な呼吸器疾患を引き起こし,強い感染力を持つことが問題.

1)8割の感染者は,軽度で無症状であることが多い.
2)70歳以上の高齢者や糖尿病や腎不全などの基礎疾患のある症例では重症化しやすい.
3)死亡率は2~3%とインフルエンザ感染症に比べてかなり高い.

コロナウイルス Coronavirus
コロナウイルス科は,直径80~160nmのエンベロープを有するプラス鎖1本鎖RNAウイルス.・ヒトの他,イヌ,...
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 治療
発症後数日はウイルス増殖が,そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられている.↓...
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) ワクチン
チェックサイト種類mRNAワクチン新型コロナウイル...

疫学

これまでに報告されている症例の年齢は,50~60歳代が多く,潜伏期間は概ね4~7日.

1)小児の罹患率は低い
2)若年成人は無症候性が多い
3)高齢者,喫煙者,心疾患,糖尿病,慢性呼吸器系疾患,腎疾患などの並存が重症化に関連している.
4)アジア系男性はⅡ型肺胞上皮細胞のACEⅡ receptorが多いため,男性に重症肺炎が多いともいわれているが,詳細は不明

武漢から報告された138人の入院症例の報告
・年齢中央値は56歳
・男性が54.3%
・全体の致死率4.3%
・全症例の46.4%は高血圧,糖尿病ならびに心疾患等の基礎疾患を1つ以上有していた.
・ICUに入室要した重症例とそれ以外の比較では,重症例において有意に年齢が高く(66歳vs51歳),基礎疾患を有する割合が高く(72.2%vs37.3%),呼吸困難の頻度が高かった(63.9%vs19.6%)

 中国のCOVID-19確定例44,672人の報告によると,軽症(肺炎のないもの~軽度肺炎)が80.9%,中等症(呼吸困難・呼吸回数≧30回/分,SpO2≦93%,PaO2/FiO2<300,肺陰影の急速な悪化)が13.8%,重症(呼吸不全,ショック,多臓器不全)が4.7%,不明が0.6%.
・1,203人の死亡(致死率2.3%)のうち,81%は60歳以上.

種類

変異株 Variants of Concern;VOC

英国型(アルファ株)

VOC-202012/01,B.1.1.7

主な変異:N501Y
感染性:増加の可能性あり
病原性:致死率上昇の可能性あり
免疫逃避(再感染性):なし

南アフリカ型(ベータ株)

501Y.V2,B.1.351

主な変異:N501Y/E484K
感染性:増加の可能性あり
病原性:不明
免疫逃避(再感染性):あり

ブラジル型(ガンマ株)

501Y.V3,P.1

主な変異:N501Y/E484K
感染性:増加の可能性あり
病原性:不明
免疫逃避(再感染性):あり

インド型(デルタ株)

B.1.617.2

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ミュー

新型コロナ 変異株「ミュー」「新たなデルタ株」について現時点で分かっていること
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210907-00256573

病態

Coronavirus Disease 2019

 SARSおよびMERSと同じβコロナウイルスGroup2に属する.
・全塩基解析と系統樹解析により,SARSコロナウイルスとは70~80%の相同性,コウモリのコロナウイルスとは85~88%の相同性が認められた.
→SARS-CoV-2はコウモリのウイルス由来と考えられている.コウモリとヒトとの間の中間宿主の有無は不明.
・細胞表面のAngio-tensin Converting Enzyme Ⅱ(ACEⅡ)を認識して,細胞に侵入する.

感染性が高い

ヒト-ヒト感染による感染拡大.
・基本再生産数(Ro:1人の患者から何人に感染するか)は2.2(1.4~3.9)と推定されている.
 季節性インフルエンザと同等か,それよりやや高い.

飛沫感染と接触感染の2つが考えられている.

発症2日前から発症後7~10日間までの時期に感染性が認められており,特に発症の直前・直後にウイルス排出量が高い.

肺炎の合併する頻度が高い

高齢者・基礎疾患保有者における肺炎の合併は生命を脅かす重篤な状態につながる可能性がある.

直接細胞浸潤

SARS-CoV-2は細胞外膜上のACE2(angiotensine-converting enzyme 2)を受容体として結合すると共に,transmembrane protease serin 2(TMPRSS2)の酵素活性にてスパイク蛋白が活性化することで細胞内へ侵入する.

・ACE2とTMPRSS2は鼻粘膜上皮細胞や1型肺上皮細胞などの気道内上皮細胞をはじめ,リンパ球や内皮細胞などの生体内のさまざまな細胞に発現している.

SARS-CoV-2の直接的な細胞浸潤により,ウイルス増殖,侵入した細胞のアポトーシスをきたし,RAS活性が惹起されることが想定されている.

COVID-19関連凝固異常症

剖検例の多くに静脈血栓塞栓症,多臓器に血栓がみつかり,急変することがわかってきた.

病態

1)SARS-CoV-2ウイルスは,肺胞上皮,血管内皮,心筋のACE2受容体を介して細胞に感染する.
2)SARS-CoV-2は,血小板と血管内皮を活性化させ,血液凝固反応を進める.
3)重症感染症により炎症が悪化し,血液凝固Ⅷ因子,von Willebrand因子,フィブリノーゲンが高値を示す.
4)リンパ球とマクロファージが活性化し,TNF-α,IL-2,IL-6,GM-CSFが分泌され,サイトカインストームが合併する.

炎症と凝固亢進

ARDS,多臓器不全

検査所見

血清フィブリノーゲン高値
D-dimer高値
病初期はAPTT,PT,血小板数の変化は軽微.

入院時のD-dimer上昇は,多臓器不全とDIC合併に注意する.

急性腎障害 acute kidney injury;AKI

およそ1万人の入院患者におけるAKIの発症率は,全体で11%,重症者では23%,腎代替療法を要する症例は重症患者のおよそ5%程度とされる.

RRTを要したAKIを呈した生存退院者の2~3割は退院後もRRTを必要とする.

リスク因子

男性,高齢者,黒人,糖尿病,CKD,高血圧,心血管病,うっ血性心不全,肥満,人工呼吸器装着,血管作動薬使用が挙げられる.

特に人工呼吸器に表現されるCOVID-19での呼吸不全と強い関連がある.
→中等度以上のAKIは,呼吸不全症例で生じる.

RAS阻害薬はリスク因子になっていない.

病態

AKIの機序としては,高度な炎症による腎実質障害,血行動態の変化による虚血や人工呼吸器装着での高い呼気終末陽圧による腎うっ血,薬剤などの,非特異的なメカニズムが想定されている.

腎臓においては,糸球体内ポドサイトと尿細管上皮細胞にACE2とTMPRSS2が多く発現しており,SARS-CoV-2関連腎病変のターゲットになっていると想定されている.
→糸球体内では,ポドサイト障害によって高度な蛋白尿が出現する.

腎生検での糸球体病変としては,巣状分節性糸球体硬化症と内皮細胞障害による血栓性微小血管症がみられることが多い.
・近位尿細管上皮細胞では,刷子縁の消失,空胞変性がみられ,間質には単球の浸潤がみられる.

臨床経過

発症後数日はウイルス増殖が,そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられている.

新型コロナ感染7段階モデル

症状の経過

多くの80%は無症状か軽症(風邪と同等)のまま経過するものと思われる.

感染してから,症状が出るまで約5日.
・入院症例の初発症状は,発熱(98.6%),倦怠感(69.6%),乾性咳嗽(59.4%),食欲不振(39.9%),筋肉痛(34.8%),呼吸困難(31.2%),喀痰(26.8%),咽頭痛(17.4%).
・発症から入院までの中央値は7日,ARDSを発症するまでが8日.
→発症後,比較的ゆっくり病勢が進行し,改善もしくは急に増悪

潜伏期間(1〜12.5日)ののち一定の割合で発熱・呼吸器症状(咽頭痛・咳)などの感染症状が認められるようになる.
・発熱や呼吸器症状が 1 週間前後持続することが多く,強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多いことが特徴.
・通常の感冒,インフルエンザであれば,通常は 3〜4日までが症状のピークで,その後改善傾向がみられる.
・発熱や呼吸困難の1~2日前に下痢や嘔吐が前兆として出ることがある.

無症候性低酸素血症 Silent hypooxemia
息苦しさを感じず,無自覚のまま症状が進行する.

血液検査

1)重症患者の特徴は顕著なリンパ球減少,白血球と好中球は増加
2)死亡症例では,経過中に好中球増加,リンパ球減少,D-dimer上昇,BUN・Cr上昇

SOFAスコアの高値,D-dimer≧1μg/mLの所見は,発症段階で予後不良患者を予知する一助になる.

胸部CT

両側の末梢側を中心とする多発性すりガラス状陰影が特徴的.
・ただし,一般的なウイルス性肺炎の所見であるため,本症に特異的ではない.

初期のGGOやcarzy-paving patternが,発症10日目頃にコンソリデーションとなり,2週間以降に回復傾向になった.

診断

https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_kensakekka_201012.pdf

基本的な考え方

①有症状者

②無症状者
a)感染リスク,検査前確率が高い場合
 クラスター発生時,医療機関や高齢者施設など
b)感染リスク,検査前確率が低い場合
 海外渡航時,スポーツ選手,文化・芸能など
 社会・経済を円滑に維持するため,一般市民の安全のため

COVID-19検査法ごとに使用できる検体及び対象者

遺伝子検査法

新型コロナウイルスに特異的なRNA配列をRT-PCR法などで増幅し,これを検出する方法.

数十コピーのウイルス遺伝子を検出できるほど感度が高いことが特徴だが,検査時間が比較的長い.
概ね感度90%以上,特異度はほぼ100%.

専用機器・熟練した人材が必要,高コストなどが普及のハードル.

増幅に必要なサイクル数(Ct値)などをもとに,検体中に存在するウイルス遺伝子数を推定することができる.

発症後10日が経過し,Ct値が35以上になるとウイルス量がほとんど0となり,感染性を持たなくなる.
→無症状でCt値が35以上のPCR検査陽性者の濃厚接触者に対するPCR検査を積極的に行う必要はない.

Ct値が25以下では,感染力のあるウイルスを放出している.

Ct値(Threshold Cycle)
検出対象遺伝子のPCR増幅シグナルが陽性と判定された時点での増幅サイクル数.
反応の蛍光シグナルがThreshold Lineと交差する時点でのサイクル数.
・低いCt値で陽性→ウイルス遺伝子数が多い.
・高いCt値で陽性→ウイルス遺伝子数が少ない.
・Ct値は検査系(機械・試薬など)によって数値が変動するため,数値の一般化ができない.

リアルタイムPCR反応の閾値(Threshold Line)
算出したベースラインシグナルに対して,統計学的な有意な増加がみられるシグナルレベル.
ベースラインとは,蛍光シグナルにほとんど変動がない,PCRの初期サイクル(通常3~15サイクル)におけるシグナルレベル.

抗原検査法

新型コロナウイルス特異蛋白を迅速に検出する方法.

イムノクロマトグラフィー法を用いた定性の簡易検査法(エスプライン,クイックナビ-COVID19 Ag)と,高感度で定量性を持たせた検査法(ルミパルス)が利用可能.

イムノクロマトグラフィー法

検体採取ののち約30分で目視による判定が可能(定性試験).

本法による抗原検出は,遺伝子検査法に比べて感度が低く,唾液の検査は認められていない点に注意.

高感度抗原検出法

高感度・定量的抗原検出を可能とする検査法であり,遺伝子検査に近い感度が得られるとされる.

無症状者の鼻咽頭拭い液・唾液を用いた検査としても承認されている.

抗体測定法

通常,特異抗体の産生には感染後2~3週間が必要であるが,COVID-19の場合には感染から発症まで,発症から受診まで2週間ほど経過している症例もあり,そのような場合に診断に役に立つ.
*感染・発症していても陽性にならない症例があることに注意!
→抗体検査単独で診断には使わない!
→感染の既往者を把握するための疫学調査に有用.

評価方法

発症から日数が経つにつれ,ウイルスの培養率が低下し,約10日後にはほとんどウイルスが培養されなくなる.

発症後5日目頃から抗体価の上昇がみられだし,発症8日目には約80%の症例で抗体が陽性となり,それ以降ウイルスの分離はみられない.

併存疾患との関係

血液透析

血液透析患者の新型コロナウイルス感染症の特徴 透析会誌 54(9):441~448,2021
血液透析患者のCOVID‒19は解熱,PCR検査陰性化するまで時間がかかり,予後不良.
血栓による急変に注意が必要で,白血球,D‒ダイマーが高値,リンパ球割合が低値の症例は重症化に注意が必要.

感染対策

1)確定患者と疑い患者を早期にトリアージし,隔離する.
2)診療する際は,標準予防策に加え,接触予防策と飛沫予防策を行う.可能であれば,空気予防策をとる.
3)患者は適切に換気された個室に収容する.
4)医療従事者は医療用マスク,目の防護か顔の防護,長袖ガウン,手袋を着用する.
5)聴診器や血圧計は個人専用にする.
6)エアロゾルの発生する手技や機械換気を行う場合は,陰圧室でN-95マスクを着用する等空気予防策をとる.

予防

飛沫・接触予防対策

コロナウイルスは主に飛沫感染により伝播するため,通常のインフルエンザ疑い患者への対応に準じた標準予防策、飛沫感染予防策・接触感染予防策の徹底

マスクの着用
・SARS-CoV-2は唾液中にも存在し,口腔粘膜にもACEⅡ受容体が高頻度に発現している.
→マスクを外して近しく会話・会食すると容易に感染が拡大する.

手指衛生の徹底(手指を介して目や口の粘膜から感染が伝播される) スマホも注意.
・アルコール(濃度70%以上95%以下のエタノール)
・流水やハンドソープ,石鹸を用いて時間をかけて手洗い

糖尿病,心不全,腎障害・透析患者や,生物学的製剤・抗がん剤・免疫抑制剤投与患者などの基礎疾患を持っている場合,妊婦は,特に重症化リスクが高いため,外出を控え,人込みを避ける.

病院や施設の面会は控える.

<受診すべきサイン>
・37.5℃以上の発熱,咳,倦怠感などに加え,呼吸苦,息切れの症状がある場合
・37.5℃以上の発熱,咳,倦怠感などの症状が,5日以上持続する場合
→採血,レントゲン(肺炎見落とし例あり),胸部CT

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