新型コロナウイルス感染症 Coronavirus Disease 2019 ;COVID-19

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

新型コロナウイルス名は,Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2

更新しました(新型コロナウイルス感染症について) | 日本内科学会
日本内科学会雑誌 第109巻第3号掲載原稿(学会誌掲載版)として更新いたしました.詳細は下記ページをご参照いただきますようお願い申し上げます. 緊急寄稿:新型コロナウイルス(COVID-19)感染症 会員の先生方への学会誌のお届けは3月中旬以降となる予定です. 関連リンク新型コロナウイルス関連リンク集

 2019年12 月から中国武漢市を中心に広がっている新型コロナウイルス感染症.
・2020 年 1 月 16 日以降,日本においても患者の報告が 増えている.
 国内の複数地域で,感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており,一部地域には小規模の患者クラスター(集団)が把握されている.

 通常のコロナウイルスは感染しても通常の感冒などの重度でない症状にとどまる(一般の感冒の原因の10~15%.流行期は35%)が,過去のSARS,MARSは深刻な呼吸器疾患を引き起こし,問題となった.
→今回の新型コロナウイルスも深刻な呼吸器疾患を引き起こし,強い感染力を持つことが問題.

コロナウイルス Coronavirus
コロナウイルス科は,直径80~160nmのエンベロープを有するプラス鎖1本鎖RNAウイルス.・ヒトの他,イヌ,...

疫学

これまでに報告されている症例の年齢は,50~60歳代が多く,潜伏期間は概ね4~7日.

1)小児の罹患率は低い
2)若年成人は無症候性が多い
3)高齢者,喫煙者,心疾患,糖尿病,慢性呼吸器系疾患,腎疾患などの並存が重症化に関連している.
4)アジア系男性はⅡ型肺胞上皮細胞のACEⅡ receptorが多いため,男性に重症肺炎が多いともいわれているが,詳細は不明

武漢から報告された138人の入院症例の報告
・年齢中央値は56歳
・男性が54.3%
・全体の致死率4.3%
・全症例の46.4%は高血圧,糖尿病ならびに心疾患等の基礎疾患を1つ以上有していた.
・ICUに入室要した重症例とそれ以外の比較では,重症例において有意に年齢が高く(66歳vs51歳),基礎疾患を有する割合が高く(72.2%vs37.3%),呼吸困難の頻度が高かった(63.9%vs19.6%)

 中国のCOVID-19確定例44,672人の報告によると,軽症(肺炎のないもの~軽度肺炎)が80.9%,中等症(呼吸困難・呼吸回数≧30回/分,SpO2≦93%,PaO2/FiO2<300,肺陰影の急速な悪化)が13.8%,重症(呼吸不全,ショック,多臓器不全)が4.7%,不明が0.6%.
・1,203人の死亡(致死率2.3%)のうち,81%は60歳以上.

病態

 SARSおよびMERSと同じβコロナウイルスGroup2に属する.
・全塩基解析と系統樹解析により,SARSコロナウイルスとは70~80%の相同性,コウモリのコロナウイルスとは85~88%の相同性が認められた.
→SARS-CoV-2はコウモリのウイルス由来と考えられている.コウモリとヒトとの間の中間宿主の有無は不明.
・細胞表面のAngio-tensin Converting Enzyme Ⅱ(ACEⅡ)を認識して,細胞に侵入する.

感染性が高い

ヒト-ヒト感染による感染拡大.
・基本再生産数(Ro:1人の患者から何人に感染するか)は2.2(1.4~3.9)と推定されている.
 季節性インフルエンザと同等か,それよりやや高い.

潜伏期にすでにウイルスは排出され,軽症例の上気道からも肺炎発症例に匹敵するウイルスが排出されている.

SARSはほとんどが重症化したため,すべての感染連鎖を検出し,封じ込めることができたが,COVID-19は多くの感染者が無症候・軽症であるため,すべての感染連鎖をみつけることはほぼ不可能.

 飛沫感染と接触感染の2つが考えられている.

 ヒトの気道上皮細胞に感染すること,宿主細胞のangiotensin-converting enzyme 2(ACE2)をリセプターとすることも判明している.

肺炎の合併する頻度が高い

○高齢者・基礎疾患保有者における肺炎の合併は生命を脅かす重篤な状態につながる可能性がある.

急性腎障害 acute kidney injury;AKI

1)COVID-19患者におけるAKIについては中国からの報告が圧倒的に多く,様々な重症度の患者集団が報告されていることもあって,AKIの発生頻度は一定しない.
→特にCOVID-19がAKIを発症しやすい疾患であるとは言い難い.

2)AKIを合併したCOVID-19肺炎患者の死亡率は,合併しなかった患者と比較して有意に高く(57.1% vs 3.0%),特にステージ2以上の重症AKIは交絡調整後も院内死亡と有意に関連したと報告されている(ハザード比: 3.51~4.38).
→肺炎を発症した重症のCOVID-19患者では,多臓器不全の一角としてのAKIの管理に十分注意を払わなければならない.

症候

新型コロナ感染7段階モデル

症状の経過

1)多くの80%は無症状か軽症(風邪と同等)のまま経過するものと思われる.

2)感染してから,症状が出るまで約5日.
・入院症例の初発症状は,発熱(98.6%),倦怠感(69.6%),乾性咳嗽(59.4%),食欲不振(39.9%),筋肉痛(34.8%),呼吸困難(31.2%),喀痰(26.8%),咽頭痛(17.4%).
・発症から入院までの中央値は7日,ARDSを発症するまでが8日.
→発症後,比較的ゆっくり病勢が進行し,改善もしくは急に増悪

3)潜伏期間(1〜12.5日)ののち一定の割合で発熱・呼吸器症状(咽頭痛・咳)などの感染症状が認められるようになる.
・発熱や呼吸器症状が 1 週間前後持続することが多く,強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多いことが特徴.
・通常の感冒,インフルエンザであれば,通常は 3〜4日までが症状のピークで,その後改善傾向がみられる.
・発熱や呼吸困難の1~2日前に下痢や嘔吐が前兆として出ることがある.

血液検査

1)重症患者の特徴は顕著なリンパ球減少,白血球と好中球は増加
2)死亡症例では,経過中に好中球増加,リンパ球減少,D-dimer上昇,BUN・Cr上昇

SOFAスコアの高値,D-dimer≧1μg/mLの所見は,発症段階で予後不良患者を予知する一助になる.

胸部CT

両側の末梢側を中心とする多発性すりガラス状陰影が特徴的.
・ただし,一般的なウイルス性肺炎の所見であるため,本症に特異的ではない.

初期のGGOやcarzy-paving patternが,発症10日目頃にコンソリデーションとなり,2週間以降に回復傾向になった.

診断

PCR法

核酸検査で増幅してウイルスを検出する方法.
1)感度は約70%と高くない.
2)インフルエンザに比べて 1/100~1/1,000とウイルスが少ないため,偽陰性である可能性がある.

検体は喀痰,気道吸引液,肺胞洗浄液,咽頭拭い液,鼻腔吸引液,鼻腔拭い液ならびに剖検材料など

PCR 検査の原則適応は、「入院治療の必要な肺炎患者で,ウイルス性肺
炎を強く疑う症例」.
・軽症例には基本的に PCR 検査を推奨しない.偽陽性や偽陰性を減らすため.
・時間の経過とともに重症化傾向がみられた場合には PCR 法の実施も考慮する.

How to Obtain a Nasopharyngeal Swab Specimen | NEJM
Videos in Clinical Medicine from The New England Journal of Medicine — How to Obtain a Nasopharyngeal Swab Specimen

イムノクロマト法による抗体検出法(血液・血清)

○発症から 2 週間以上経過し,上気道でのウイルス量が低下し PCR法による検査の感度が不十分であることが想定される症例に対する補助的な検査として用いることが望ましい.

治療

確立された治療法は現時点ではない.
・アビガン®,クロロキン®,オルベスコ®,カレトラ®などの薬剤の有効性が報告されているが、確立した治療法ではない.

軽症で,治癒することが多いが,肺炎が重篤化した場合は人工呼吸器など集中治療を要し,季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されている.
・対症療法で熱がひいたと思っても,その後に発熱・呼吸困難が出現し,重症化した症例もあり,油断はできない.

感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定された.
→感染者には感染症指定医療機関への入院措置がとられ,陰圧管理された病室で治療を受けることになる.公費負担.

レムデシビル remdesivir

ベクルリー®点滴静注液100mg
成人・40kg以上の小児→投与初日に200mg,投与2日目以降は100mg/dayを1日1回で.
・生理食塩水に添加し,30~120分かけて点滴静注
・総投与期間は10日まで(5日間投与でも10日間投与と同等の効果が得られる可能性)

コロナウイルスを含む一本鎖RNAウイルスに抗ウイルス活性を示すことが明らかになっている.RNAポリメラーゼ阻害薬.

対象はSpO294%以下,酸素吸入を要するECMO・侵襲的人工呼吸器管理のいずれか

急性腎障害,肝機能障害があらわれることがあるので,投与前及び投与中は毎日腎機能検査及び肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する.

<適格基準>
・PCR検査においてSARS-CoV-2が陽性
・酸素飽和度が94%以下,酸素吸入又はNEWS2スコア4以上
・入院中

<除外基準>
・多臓器不全の症状を呈する患者
・継続的に昇圧剤が必要な患者
・ALTが基準値上限の5倍超
・クレアチニンクリアランス 30 mL/min 未満又は透析患者
・妊婦

感染対策

1)確定患者と疑い患者を早期にトリアージし,隔離する.
2)診療する際は,標準予防策に加え,接触予防策と飛沫予防策を行う.可能であれば,空気予防策をとる.
3)患者は適切に換気された個室に収容する.
4)医療従事者は医療用マスク,目の防護か顔の防護,長袖ガウン,手袋を着用する.
5)聴診器や血圧計は個人専用にする.
6)エアロゾルの発生する手技や機械換気を行う場合は,陰圧室でN-95マスクを着用する等空気予防策をとる.

予防

飛沫・接触予防対策

1)コロナウイルスは主に飛沫感染により伝播するため,通常のインフルエンザ疑い患者への対応に準じた標準予防策、飛沫感染予防策・接触感染予防策の徹底
2)マスクの着用
・SARS-CoV-2は唾液中にも存在し,口腔粘膜にもACEⅡ受容体が高頻度に発現している.
→マスクを外して近しく会話・会食すると容易に感染が拡大する.
3)手指衛生の徹底(手指を介して目や口の粘膜から感染が伝播される) スマホも注意.

○糖尿病,心不全,腎障害・透析患者や,生物学的製剤・抗がん剤・免疫抑制剤投与患者などの基礎疾患を持っている場合,妊婦は,特に重症化リスクが高いため,外出を控え,人込みを避ける.

○病院や施設の面会は控える.

○発熱のみの受診では,インフルエンザの検査をして終わる可能性が高く,インフルエンザだったとしても自然治癒する可能性が高いので,あえて感染リスクが高いと思われる病院に受診するのは得策とはいえないかもしれない・・・
・この時点で受診された場合でも,採血・レントゲンはとっておいたほうがいいかも(重症化した場合に比較できる).

<受診すべきサイン>
・37.5℃以上の発熱,咳,倦怠感などに加え,呼吸苦,息切れの症状がある場合
・37.5℃以上の発熱,咳,倦怠感などの症状が,5日以上持続する場合
→採血,レントゲン(肺炎見落とし例あり),胸部CT

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