冠動脈疾患 予防

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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生活習慣の改善

食事療法や運動療法,禁煙

・禁煙することにより非喫煙者と同レベルまで冠動脈疾患のリスクが減少する.
・肥満2型糖尿病患者では,食事療法と運動療法による減量により大血管症のリスク因子の改善が認められる.
・疫学的には運動習慣と大血管症の発症には負の相関が認められる.
・一方,IGTでは生活習慣による心血管イベントの抑制は証明されていない.

血圧

血圧は115/75mmHg以上で指数関数的に冠動脈疾患死亡を増加させる.

血圧の厳格なコントロールは大血管症発症のリスクを減少させる.

・BPLTTCのメタ解析によれば,降圧は降圧薬の種類によらず高血圧患者の冠動脈疾患発症を減少させる.
・冠動脈疾患を対象としたRCTでは,より厳格な収縮期血圧の降圧が冠動脈疾患発症抑制,冠動脈プラーク縮小を示した.
・特に,長時間作用型Ca拮抗薬やRA系阻害薬は,冠動脈疾患の発症や心血管病イベントを抑制する.

収縮期血圧130mmHg未満を目指す場合,拡張期血圧80mmHg未満を避ける必要はなく,130/80mmHg未満を降圧目標とする.

・過度の拡張期血圧低下が,拡張期冠灌流圧を低下させ,心筋虚血を引き起こし心イベントが増加する可能性(J型カーブ現象)の危惧され,拡張期血圧の降圧目標については議論があった.
・J型カーブ現象の本質は,冠動脈狭窄病変による心筋虚血に加えて,併存疾患のために1)もともと拡張期血圧が低い,2)降圧治療により過剰に血圧が下がりやすい症例では心血管病イベントのリスクが高いという「因果の逆転」である可能性が高いと考えられている.

拡張期血圧が低い場合は,心筋虚血のスクリーニングとともに,併存する疾患や危険因子の管理が重要

心筋梗塞後

内因性交感神経刺激作用のないβ遮断薬は心筋梗塞後の心筋梗塞再発や突然死を抑制する.

・EF 40%未満を伴う心筋梗塞,発症3年以内の心筋梗塞・急性冠症候群においてはβ遮断薬(カルベジロール・ビソプロロール)を使用する.

RA系阻害薬としてはACE阻害薬を推奨し,忍容性がない場合にARBを用いる.

・RA系阻害薬は,EFが低下した心筋梗塞の左室リモデリングを抑制し,心不全や突然死などの心事故を減少させ,生命予後を改善する.
・ACE阻害薬のARBへの優位性を検討しうる十分なエビデンスはなく,EFrEF全般に対する推奨を踏襲している.

最大忍容量の標準的治療を行っても血圧コントロールが不十分な場合,長時間作用型Ca拮抗薬を追加する.

血糖

・HbA1cが上昇すると心血管疾患発症もしくは死亡のリスクが増加し,この関係はHbA1c(NGSP) 5%台でも認められる.1型糖尿病および2型糖尿病を対象としたRCTおよびメタアナリスでも,血糖コントロールの強化により心血管疾患イベントの発症が抑制されることが示されている.
・強化療法の心血管イベント抑制効果が有意に認めるようになるのは10年目以降で,抑制効果はその後も持続する.
・HbA1cが1%上昇すると心血管イベントリスク 18%上昇,死亡リスク 12~14%上昇.
・HbA1c 1%低下により,心筋梗塞は14%減少.
・しかし,ACCORD Trialでは血糖強化療法群[HbA1c(NGSP)<6.0%目標]のほうが通常療法群[HbA1c(NGSP)<7.0~7.9%目標]よりも心血管イベントは減少傾向にあったものの,総死亡が有意に増加した.強化療法群では重症低血糖の発症が有意に多く,またチアゾリジン薬(ロシグリタゾン)の影響と考えられる浮腫や心不全の発症も有意に多かった.
・心血管イベントや総死亡に与える強化療法の影響は,HbA1c(NGSP)>8.0%の群や心血管疾患の既往者で認められており,このような患者では急速な血糖コントロールの正常化を目指すことによって心血管疾患死が増加する可能性がある.
・重症低血糖は心血管死のリスクとなる.

脂質代謝異常

・2型糖尿病患者の一次予防,二次予防にはスタチンが有効.冠動脈疾患既往の有無や性別,年齢,血糖コントロール,脂質値,高血圧治療の有無にかかわらず認めている.
・スタチンによる冠動脈疾患の二次予防においてはLDL-Cの治療目標値を70mg/dL程度まで低下させることにより,100mg/dL前後を目標とした場合に比べて,冠動脈イベントの抑制がみられる.
・維持透析中では有意差が認められていない.
・CKD患者におけるシンバスタチン単独とシンバスタチン+エゼチミブ併用に関するRCTでは,併用群で有意な心血管イベントの減少が認められた.透析患者では有意でなかった.
・フィブラート系薬は,2型糖尿病患者の冠動脈イベントを抑制するが,スタチンほど明確なエビデンスはない.
・イコサペント酸エチルは,スタチンを使用している日本人高コレステロール血症患者の冠動脈イベントを抑制することが報告されている.しかし,境界型もしくは2型糖尿病患者に対するn-3系脂肪酸(イコサペント酸エンとドコサヘキサエン酸の配合薬)の投与による心血管イベント抑制効果は証明されなかった.

ビタミン

・抗酸化作用を有するビタミンEもしくはビタミンCには,心血管疾患発症予防効果は認められていない.葉酸とビタミンBの補充はホモシステインを低下させるが,心血管イベントの低下は認められない.

抗血小板療法

・心血管疾患のハイリスク患者にアスピリンを投与することにより大血管イベント,心筋梗塞,心血管死は20~30%減少する.アスピリンの投与量としては75~150mg/日で十分効果が認められた.日本人を対象としたアスピリンの冠動脈疾患の二次予防試験でも冠動脈疾患の発症抑制が認められている.
・アスピリンによる大血管症の一次予防については,明確な心血管イベント抑制効果が認められていない.
→現時点では大血管症の既往のない2型糖尿病患者全例にアスピリンを投与することは推奨されない.
・一部の2型糖尿病患者においては,アスピリンの投与が大血管症の一次予防に有用である可能性がある.
・糖尿病網膜症を合併する患者に対するアスピリン投与は禁忌にはならないが,JPAD Trialでは眼底出血の頻度はアスピリン群で多く,増殖網膜症患者に対するアスピリンの投与は慎重に適応を検討する必要がある.
・クロピドグレル(プラビックス®)は,アスピリンに比べて2型糖尿病患者の心血管イベントの二次予防に有効である可能性がある.

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