自己免疫性間質性肺疾患(CTD-ILD)

医学ノート(なすび用)

Connective Tissue Disease-Associated Interstitial Lung Disease ;CTD-ILD

膠原病診療は進歩しているが,現状でも予後不良な難治性病態とされるのが,間質性肺疾患(ILD).
・多発性筋炎,全身性強皮症では,疾患関連死亡の原因としてILDが最も多い.

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疫学

膠原病ではすべての疾患でILDを伴うことがあるが,疾患毎に頻度は異なる.

最も多い疾患は,全身性強皮症(50~60%),次いでPM/DM,混合性結合組織病(MCTD).
・SLEでは稀.
・関節リウマチやSjögren症候群における頻度は15%以下と低いが,母数が多いため,遭遇する機会は多い.

非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia;NSIP)を呈することが多い.

全身性強皮症 SSc-ILD

限局性皮膚硬化型は年単位でゆっくりILDが進行するのに対し,広汎性皮膚硬化型は2年以内にILDを含めた各病変が急速に増悪し,その後,呼吸不全や心不全が進行する.

全体では,35%がILDが原因で死亡し,ILDがあるSScは有意に生存率が低い.

なすび院長
なすび院長

ILDの頻度が高いため,診断時にHRCTの実施が推奨されている.

ILDは抗炎症薬によって進行を抑制できる症例が多いものの,約30%は慢性進行性に線維化を生じる.
・10年ほど経過すると,7割においてILDは安定すると言われている.

2019年SSc-ILDに対してニンテダニブが努力性肺活量(FVC)の低下を有意に抑制することがSENSCIS試験にて示され,SSc-ILD単独にニンテダニブが適応となっている.

多発性筋炎/皮膚筋炎 PM/DM

一部ILDが急速進行をたどる抗MDA5抗体陽性ILDを除いては,ほとんどが抗炎症薬にて改善or進行防止できるため,抗炎症薬が第一選択.

抗ARS抗体症候群は,主に亜急性・慢性の経過をきたすが,筋炎症状の有無に関わらず,ILDは抗炎症薬,特にステロイドと免疫抑制薬の併用が効果があり,第一選択.

抗炎症薬の減量に伴い再燃する例も多く,ほぼ寛解する例から線維化が進行し呼吸不全に至る例まで幅広い.

死亡原因は約半数がILDであり,そのような例では早期に抗線維化薬の投与が必要となりうるが,現時点では進行性線維化をきたす一群は早期に診断することができない.
→比較的短期間に線維化の進行を評価していく必要がある.

関節リウマチ RA-ILD

最も多彩なパターンを呈する.

UIPパターンとNSIPパターンの割合は,RA全体の3割弱と言われている.

RAの中でILDが死亡原因となるのは10%程度ではあるものの,IPFよりは頻度が少ないが,急性増悪することもあり,進行性線維化を抑えることには意味がある.

慢性ILDを有する例が,感染・薬剤性肺障害などを契機に急性増悪することが多い.
・急性増悪の頻度は年間2~5%と報告されている.
・リスク因子は,高齢・メトトレキサート使用・HRCTでのUIPパターン

器質化肺炎 organizing pneumonia;OP

可逆性の高いOPはRAで見られることが多い.

急性・亜急性に発症し,抗炎症薬(特にステロイドホルモン)により大部分が軽快する.

通常型間質性肺炎 UIP

慢性的に進行性線維化を来たす.

病理学的には①肺構造の改変(高率に蜂窩肺)を伴う広範囲な線維化,②その辺縁部での線維芽細胞巣(fibroblastic foci)の形成,③分布が散在性で高率に小葉辺縁性(胸膜直下)である,という特徴を有する.

HRCT所見では両側肺底部に蜂巣肺(HO)が散在し,気管支血管束が周囲間質の線維化によって腫大した像が認められる.

非特異性間質性肺炎 non-specific interstitial pneumonia;NSIP

慢性的進行性線維化を来たす.

胞隔周囲の細胞浸潤が主体のI型から,線維性病変が主体のIII型,その中間のII型に分類されている.

膠原病に合併する間質性肺炎(IP)では本症が最も多い.

HRCT所見では,中肺野~下肺野の血管気管支束周囲や胸膜直下にGGA,牽引性気管支拡張(TB),HOなど症例によって種々の病変が混在し多彩な画像所見を呈することが特徴.

剝離性間質性肺炎 desquamative IP;DIP

気腔内に顕著な肺胞Mφの集簇を伴い,間質にもリンパ濾胞の形成を伴う軽度の慢性炎症所見を認め,小葉内では病変は均等な分布を示す.

通常,間質の線維化や蜂窩肺は伴わず,線維化を伴う場合はATSERS分類ではFibrosing NSIPと定義される.

画像的には,下肺野背側優位の多小葉性のGGAで境界は明瞭であり,陰影内部に小囊胞性低吸収域を含む.

リンパ球性間質性肺炎 lymphoid IP;LIP

肺胞壁を中心としたリンパ球の浸潤を認め,浸潤リンパ球はT細胞が主体で,形質細胞,Mφが混在する.

ときにリンパ濾胞を形成し,悪性リンパ腫との鑑別を要することもある.

画像的には肺野に斑状のGGAが分布し,血管気管支周囲や小葉間隔壁の不整肥厚像を示す.

治療は中等量~大量のステロイド療法に反応する場合が多い.

自己免疫疾患の要素を有する間質性肺炎 interstitial pneumonia with autoimmune features;IPAF

診断基準

1.HRCT または SLB で間質性肺炎が存在する.

2.他疾患が除外できる.

3.膠原病の診断基準を満たさない.

4.以下の3ドメインのうち少なくとも2ドメインで,1項目以上を満たす.

A.臨床ドメイン
1.手指末梢の亀裂(mechanic hands など)
2.手指末梢端の潰瘍
3.炎症性関節炎または 60 分以上続く多関節の朝の
こわばり
4.手掌の血管拡張
5.レイノー症状
6.原因不明の手指の浮腫
7.原因不明の手指伸側の皮疹(Gottron’s sign)

B.血清学ドメイン
1.抗核抗体 ≥ 1:320(diffuse, speckled, homogeneous
pattern),または nucleolar および centromere パター
ンは any titer
2.リウマチ因子(≥ 2 倍)
3.抗 CCP 抗体
4.抗 dsDNA 抗体
5.抗 Ro(SS-A)抗体
6.抗 La(SS-B)抗体
7.抗 RNP 抗体
8.抗 Sm 抗体
9.抗トポイソメラーゼ抗体(抗Scl-70抗体)
10.抗 ARS 抗体(抗 Jo-1, PL-7, PL-12, EJ, OJ, KS, Zo,tRS)
11.抗 PM-scl 抗体
12.抗 MDA-5 抗体

C.形態的ドメイン
1. HRCTの画像パターン
 a. NSIP
 b. OP
 c. NSIP with OP overlap
 d. LIP
2.組織学的所見(SLB)
 a. NSIP
 b. OP
 c. NSIP with OP overlap
 d. LIP
 e. Interstitial lymphoid aggregates with germinal centers
 f. Diffuse lymphoplasmacytic infiltration (with/without lymphoid folicules)
3. Multi-compartment involvement(間質性肺炎に加えて)
 a.原因不明の胸水または胸膜肥厚
 b.原因不明の心膜炎または心膜肥厚
 c.原因不明の内因性気道病変(肺機能,画像,組織)
 d.原因不明の血管炎

モニタリング

慢性型では,進行リスクが低いと判断された例,判断が困難であった例では,治療介入せず,定期的なILD進行モニタリングを行う.

自覚症状(修正Borgスケール,VAS,mMRC,K-BILDなど)
胸部聴診
肺機能検査
胸部X線
6MWTなどによる運動機能評価
HRCT

モニタリングの間隔には一定のコンセンサスはない.
・慢性型→進行リスクに応じて6~12ヵ月程度.
・急性/亜急性型→治療介入後は1~6カ月毎.

悪化の基準としては,努力肺活量(FVC)の相対的低下10%以上,5~10%の場合にはDLCOが相対的に15%以上の低下.

治療

治療適応と判断された場合には薬物療法が中心となるが,重症度に応じて,酸素療法・人工呼吸管理などの支持療法,肺移植も検討する.

薬物療法は,ステロイド・免疫抑制薬による免疫抑制療法が中心.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

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