慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常 Mineral and Bone Disorder;CKD-MBD

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

高リン血症や二次性副甲状腺機能亢進症などの検査値異常を呈している患者では,腎性骨症だけでなく,血管石灰化などの軟部組織の石灰化が生じ,これらが原因となって骨折や心血管イベント,さらには死亡というアウトカムにつながるという全身疾患概念(シンドローム).

Kidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)によって2006 年に提唱された.

骨ミネラル代謝異常における,P,Ca,PTH の変化にあっても,血清P値の異常は生命予後と最も強い関連を示すことが知られており,CKDステージ3,4では高P血症が全死亡,心血管死亡リスクの上昇と関連するほか,P を目標値以下にコントロールした群では死亡リスクの低下と関連することが報告されている.

上昇したPを正常域に低下させることが大事!

カルシウム・リン代謝
カルシウム(Ca)代謝はリン(P)代謝と密接な関係にあり,脊椎動物では骨の石灰化のために高い血中Ca・P積を維...

Pの蓄積

CKD早期のMBDは,P蓄積によって始まると考えられている.

*腎不全では尿中P排泄が低下するため,①の尿中P排泄がうまくできない.

P蓄積

骨からFGF23↑

腎臓での1,25(OH)2D産生・活性化を抑制 (腸管でのCa/P吸収減少)

PTH分泌亢進
①骨に作用し,骨代謝回転を亢進させてCaの骨からの流出を促進する.
②腎臓に作用し,Ca再吸収を促進するとともに,腎臓における活性型ビタミンD(1,25D)の産生を高め,その1,25Dは腸管に作用して,Ca吸収を促進させる.
*CKDではP利尿ができないため,Ca・活性型ビタミンDは上昇しても,P高値は続く.

PTH持続的刺激→副甲状腺過形成

血清Pの上昇は腎不全の進行にかかるリスクと関連するだけでなく,CKD保存期における血管石灰化や骨代謝異常を含む生命予後の不良な転帰に影響を及ぼす.

二次性副甲状腺機能亢進症 secondary hyperparathyroidism;SHPT

1)副甲状腺過形成とPTH過剰分泌を特徴とする.
2)低Ca血症に加えて,リンの蓄積や,活性型vitamin D濃度の低下,副甲状腺におけるFGF23抵抗性などがSHPTの進展刺激となる.
3)進展すると,病理組織学的にはびまん性過形成,結節性過形成,単一結節と進展する.
4)SHPTが進行するにつれて,副甲状腺組織におけるvitamin D受容体とCa 感受受容体の発現が低下する.また,FGF23の受容体の発現が低下し,FGF23による負の制御系が作動しなくなる.
→SHPTはVDRAに対して抵抗性を示すようになり,VDRAの経口投与よりは静注,さらに逆S字曲線を描くCa イオン‒PTH曲線はそのセットポイントが右側にシフトするため,PTHを低下させるために必要な血清Ca値はより高くなる.
→このセットポイントを低Caイオン濃度側に移動させるのがcalcimimetics

線維性骨炎

1)PTHの過剰分泌→骨吸収が過剰→骨のCaとPが血液に遊離→残った骨はケロイド化して線維性骨炎を起こす.
2)高回転骨型病変(骨強度減少→骨折)をきたす.
3)症状は骨痛/関節痛,高度の骨吸収による骨折などがある.
4)CKDの骨回転は,主にPTHの高低によって駆動されるが,CKDで蓄積する尿毒素によっておこる骨のPTH抵抗性や活性型vitamin Dの低下など,さまざまな要因によって影響を受ける.
5)糖尿病性腎症の透析患者では骨密度の低下は認められず,低回転骨型の骨質の低下により骨折を起こしやすくなると考えられる.

 ■骨X線
・手指の橈骨側の骨膜下吸収像,頭蓋骨のsalt&papper像,腰骨のrugger jersey(溶骨と骨硬化が縞模様にみえる)

異所性石灰化

1)血中に遊離したCaとPがhydroxyapatite(リン酸Ca吸着剤)を形成して,骨以外の臓器に付着して異所性石灰化を起こす.
2)生命予後に大きな影響を及ぼす.

副甲状腺過形成の進展

1)透析患者の過形成副甲状腺は初期にはポリクローナルなびまん性過形成を呈すが,さらに進展すると内部にモノクローナルな結節を含む結節性過形成となる.
→副甲状腺細胞のCa感受性受容体(CaSR:calsium sensing receptor)やVitD受容体(VDR:Vitamin D receptor)の発現が低下するため,内科的治療に抵抗性を示す.
2)重篤な場合には,早期に副甲状腺摘出術を実施することが推奨される.

タイトルとURLをコピーしました