CKD-MBD 治療

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常 Mineral and Bone Disorder;CKD-MBD
高リン血症や二次性副甲状腺機能亢進症などの検査値異常を呈している患者では,腎性骨症だけでなく,血管石灰化などの...

基本的な考え方

優先順位は,血清P濃度⇒血清補正Ca濃度⇒血清PTH濃度

血液透析患者における血清P,Ca 濃度の管理

血清P濃度の目標値 3.5~6.0mg/dL

1)週初めの透析前のデータを用いる.
2)十分な透析量の確保やP制限の食事指導.

血清補正Ca濃度の目標値 8.4~10.0mg/dL

1)原則として血清補正Ca濃度が9.0mg/dL以上が望ましい.
2)高Ca血症を来しやすい場合,血管石灰化が著明な場合.無形成骨症と考えられる場合.もしくは低PTH血症が持続する場合は炭酸カルシウムの減量や中止が望ましい.
3)原則として,血清P濃度と血清補正Ca濃度を管理した上で,血清PTH濃度を管理目標値内に保つよう活性型VitDもしくはシナカルセト塩酸塩の投与を調整する.
4)血清PTH濃度が高い場合は,PとCaを管理するひとつの方法としてシナカルセト塩酸塩の投与を考慮.

血清iPTH濃度の目標値 60~240pg/mL

内科的治療抵抗例にはPTxを推奨

海外はDOPPSを根拠

Pの管理

標準的な血液透析(1回4時間,週3回)でのPの除去は2388mg~3006mg/週との報告もあり,Pの摂取が6000~14000mg/週であることを勘案すると,P吸着薬の併用が不可欠となる.

Ca含有P吸着薬

沈降炭酸カルシウム

カルタン® 錠250mg/500mg,OD錠250mg/500mg,細粒83%
1日max 3000mg(体重が90kg以上ならmax 3600mg) 分3 食直後内服
保存期使用OK.

Al含有P吸着薬

骨・中枢神経への毒性が明らかとなり,透析患者には禁忌

Ca非含有P吸着薬

セベラマー塩酸塩

フォスブロック® 錠250mg
レネジェル® 錠250mg
1日3~6g(max9g) 分3 食直前
保存期使用× 透析のみ

合成ポリマー

・便秘など消化器系副作用が日本人には多く認められ,効果を発揮するだけの用量を投与できない欠点がある.

炭酸ランタン

ホスレノール® チュアブル250mg/500mg OD錠250mg/500mg(今はこっち) 顆粒分包250mg/500mg バイエル
1日750mg(max2250mg) 分3 食直後
保存期使用OK

ビキサロマー Bixalomer

キックリン® カプセル250mg 顆粒86.2% アステラス
1日1500mg(max7500mg) 分3 食直前
保存期使用OK

1)カルシウム・金属を含まない非吸収性.
2)水分吸収による膨潤の少ない,低膨潤タイプのリン酸結合性ポリマー.
3)塩酸塩を含まないため代謝性アシドーシスを惹起しない.
4)水と混和した際の水分吸収量,膨潤体積,流動性が,いずれもセベラマー塩酸塩の1/2~1/6であることがin vitroの実験で示されいる.
・HD患者においても,セベラマー塩酸塩と比較して腹部膨満および便秘の発現頻度が低いことが示されている.
・便秘の発現率が3.8%.

鉄含有P吸着薬

P低下作用だけでなく,鉄補充作用という点も注目されている.
P吸着薬で管理不十分な場合,フェリチン 200以下なら追加

1)リン暴露の抑制→貯蔵リンの過剰を抑える
2)血清中リン濃度の正常化→高リン血症を抑える
3)マルチターゲットアプローチ→複雑なリンの相互作用をコントロールする(Mg,Ca,亜鉛,Klotho欠乏,pH,炎症,酸化ストレス,リン酸トランスポーター,fetuin-A,miRNA調節不全など)

クエン酸第二鉄水和物

リオナ® 錠250mg
1日1500mg(max6000mg) 分3 食直後
保存期使用OK

スクロオキシ水酸化鉄

ピートル® チュアブル錠250mg/500mg
1日750mg(max3000mg) 分3 食直前
保存期使用× 透析のみ

PTHの管理

 PTHは,Ca,P,ビタミンDにより制御されていることが知られており,P制限やリン吸着薬が治療薬として用いられてきた.
 活性型ビタミンD製剤が普及してからは,治療に多用されるようになり,ミネラル作用以外のビタミンDの多様性から予後に好影響を及ぼすものとしてその可能性が追求されてきた.
 しかし,同時にカルシウム含有リン吸着薬にみられるような,高Ca血症,Ca過負荷の問題が指摘されるようになった.

 その後,高Ca予防の観点から,ビタミンD の血中ピーク値を上昇させることでPTHを抑制する,ビタミンDパルス療法や合成ビタミンDなどが応用されたが,完全な治療法にはなり得なかった.

 その後,これまでの内科的治療におけるCa過負荷の問題点を克服したのは,副甲状腺細胞の解析によりクローニングされたカルシウム感知受容体(calcium‒sensing receptor;CaSR)に対する薬剤であるcalcimimeticsの開発がブレイクスルーとなった.

活性型ビタミンD

カルシトリオール

0.5μg/1μg
透析終了直前に1回0.5~1.5μgを週3回,透析回路静脈側に緩徐に静注

マキサカルシトール Maxacalcitol

2.5μg/5μg/10μg
透析終了直前に1回2.5~10μgを週3回,透析回路静脈側に静注(1回max20μg)

オキサロール=ロカルトロール×7.5

カルシウム感知受容体作動薬

CaSRに対するアロステリック効果を有し,副甲状腺細胞におけるカルシウムのネガティブフィードバック機構を模倣することで細胞外Ca が上昇したかのように副甲状腺細胞からのPTH合成,分泌を低下させる.

1)PTH抑制効果だけでなく,P,Caを低下させる点で優れている.
・活性型ビタミンD 製剤によるCa負荷や高P血症の問題を相殺することで,ビタミンDとの併用療法が可能となった.
・重度のSHPTにも有効であり,ビタミンDとの比較において単剤でも同等のPTH降下作用を示す.

シナカルセト塩酸塩

レグパラ®

エテルカルセチド

シナカルセト塩酸塩に対する優越性を示した.

エボカルセト

オルケディア®

経口

上部消化管に対する悪心,嘔吐などの症状を軽減することが報告され,優れた忍容性が期待されている.

シナカルセトの上位互換!

インターベンション

副甲状腺機能亢進症はびまん性過形成から結節性過形成に進展することで,細胞に発現するビタミンD受容体やCa受容体の発現を低下させ,治療による反応性が低下することで細胞増殖とともに不可逆的な変化をきたし治療抵抗性を獲得していく.

根治的な外科的治療として副甲状腺摘出術(parathyroidectomy;PTx)のほか,エタノール注入療法(percutaneous ethanol injection therapy;PEIT)が試みられてきたが,最近はカルシウム感知受容体の登場により激減している.

経皮的エタノール注入療法 percutaneous ethanol injection therapy;PEIT

■適応
腫大線が1腺のみで,腫大副甲状腺が穿刺可能な部位に存在することが前提
1)内科的治療に抵抗するSHPTでPTxの適応とならない症例(iPTH 400~500pg/mL)
2)PTxの困難な症例

副甲状腺摘除術 Parathyroidectomy;PTX

1)応用範囲が広く確実.
P治療効果の持続性の点で優れており,非手術症例との比較でも長期的な予後が期待される治療法として認識されている.
2)手術創が目立つことや手術侵襲の大きさなどからはPEITが優れている.

■適応
内科的な治療に抵抗するSHPTで,iPTH>500pg/mL(あるいはwhole PTH>300pg/mL)

■術式
1)亜全摘術
2)全摘出後前腕筋肉内自家移植術:本邦では広く用いられている.
3)自家移植をしない全摘出術

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