慢性閉塞性肺疾患 chronic obstructive pulmonary disease;COPD

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

図表は以下の文献より引用
日内会誌2018;107:1874-1880

COPDオーバーラップ症候群(ACO)についてはこちらの記事

○タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患.

○喫煙者が罹患する代表的な慢性呼吸器疾患.
○喫煙者の少なくとも20%前後,約5人に1人が罹患する感受性を有している.
○緩徐進行性で不可逆的であり,高齢者ほど罹患者が多い.
○肺病変は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与して形成される.
○病変の広がりと重症化とともに,閉塞性換気障害が進行する.
○罹患を自覚しにくく,喫煙を続けてしまうため,重症化してしまうケースが多い.

疫学

○我が国の推定罹患者は500 万人を超えるが,実際に治療されている人は数十万人の単位.

病態

○CT上の気腫性変化の評価をもとにした気腫型及び非気腫型の病型が用いられる.
○COPDの気流閉塞は気腫性病変と末梢気道病変がさまざまな割合で複合的に作用して起こるため,その病型として気腫性病変が優位である気腫型COPDと末梢気道病変が優位である非気腫型COPDがある.
→両者の分布は二峰性の分布を示すものではなく,その関与の割合は個体間で連続性に分布している.

■気腫型(気腫性病変優位型)
・胸部単純X線および胸部CTで気腫性陰影が優位に認められる.
・筋肉量の減少や肺癌のリスク等多彩な病態と関連.
・我が国のCOPD患者に多い.

■非気腫型(末梢気道病変優位型)
・胸部単純X線および胸部CTで気腫性陰影が無いか微細に留まる.
・喘息/閉塞性細気管支炎等の他の気道病変を主体とする疾患との鑑別が問題となる.

症候

COPDを疑う特徴

①喫煙歴あり(特に40 歳以上)
→概ね10~20 pack-years以上の喫煙歴があり,40歳以上であれば,COPDの可能性が高くなる.
②咳(特に湿性),痰,喘鳴
③労作時(階段や坂道の登り,など)の息切れ
④風邪(上気道)症状時の②または③(風邪で顕在化することあり)
⑤風邪(上気道)症状を繰り返す,または回復に時間がかかる
⑥下記疾患(COPD に多い併存症)患者,心血管系疾患,高血圧症,糖尿病,脂質異常
症,骨粗鬆症など

症状

○軽度のCOPDでは,無症状あるいは咳・痰等がみられる程度である.
○時間の経過とともに,労作時呼吸困難(息切れ)が顕在化する.
○ゆっくりとした進行であるためか,年齢に起因するものと過小評価されていることが多い.
○進行すると,呼吸不全となり,安静時でも息切れのある状況となる.

○息切れの評価には,修正MRC呼吸困難度スケール(modified Medical Research Council:mMRC)が用いられる.
○生活の質や症状の評価にCAT(COPD Assessment Test)が用いられる.
・CATは簡単な質問票によって行うもので,受診の度に実施することが容易であり,症状のモニターにも有用である.

身体所見

○進行するほど,COPDの特徴的な理学的所見が出現しやすい.
○痩せや胸鎖乳突筋の肥厚,口すぼめ呼吸,呼気延長,喘鳴,聴診上の呼吸音の減弱,奇異呼吸様の呼吸運動の異常(Hoover徴候)等が代表的なものである.
○喘鳴は喘息で典型的な症状であるが,COPDでもみられることがあり,それが直接,喘息あるいはその合併を示す所見とはならない.
○ばち指がみられることもある.
○身体活動性低下は,生命予後に密接に関連している.
・身体活動性は,歩数計等によって評価されるのが一般的.
・喘息で行うようなピークフロー日誌は一般的でないが,COPDでは,歩数計の日誌記録が有用で,行動変容のための動機付けとしての意義を持つことがある.

検査所見

○閉塞性換気障害があり,FEV1の低下で病期を判定する.
○生理的には肺気量の増加,肺拡散能力低下,静肺コンプライアンス高値,低酸素血症(特に労作時),運動耐容能の低下がみられる.
○画像では,胸部X線写真で肺野の透過性亢進,肺過膨張,横隔膜の平定化,滴状心,ビア樽状胸郭等,CTでは,小葉中心性等の気腫性変化や気道壁の肥厚等がみられる.

診断

○長期の喫煙歴等の曝露因子の存在に加え,気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーでFEV1/FVC<70%であることが必要である.
○他の閉塞性換気障害を来たし得る呼吸器疾患を鑑別除外できれば診断を確定できる.

病期分類

Ⅰ期:軽度の気流閉塞→%FEV1≧80%
Ⅱ期:中等度の気流閉塞→50%≦%FEV1<80%
Ⅲ期:高度の気流閉塞→30%≦%FEV1<50%
Ⅳ期:きわめて高度の気流閉塞→%FEV1<30%

治療

・薬物療法と非薬物療法を行う.

薬物療法

○気管支拡張薬の吸入薬が基本.
・長時間作用性抗コリン薬(long-acting muscarinic antagonist:LAMA)(あるいは長時間作用性β2刺激薬(long-acting β2 agonist:LABA))単剤より開始
・不十分な場合にはLAMA及びLABAを併用(LAMA/LABA配合薬も可).

○喘息合併(ACO)患者を見逃さないため,ACO 診断基準における喘息の特徴の項目に沿って観察および検査を考慮することが常に必要である.
・ACOには,気管支拡張薬及び吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids:ICS)を併用する(LABA/ICS配合薬も可).

非薬物療法

○禁煙を含む喫煙曝露からの回避,適切なワクチン接種,日頃からの身体活動性の向上と維持等を指導し,実践させることを基本とする.
○薬物治療を行うレベルの重症度であれば,呼吸リハビリテーションを導入する.
・身体活動性は最強の予後因子であり,活動的なライフスタイルになるよう日頃から指導を行うことが重要.

管理目標

Ⅰ.現状の改善
①症状およびQOL の改善
②運動耐容能と身体活動性の向上および維持
Ⅱ.将来のリスクの低減
③増悪の予防
④全身併存症および肺合併症の予防・診断・治療

安定期の管理

SABA:短時間作用性β2 刺激薬
SAMA:短時間作用性抗コリン薬
LABA:長時間作用性β2 刺激薬
LAMA:長時間作用性抗コリン薬
ICS:吸入ステロイド薬

○COPD の重症度はFEV1 の低下程度(病期)のみならず運動耐容能や身体活動性の障害程度,さらに息切れの強度や増悪の頻度と重症度を加算し総合的に判断する.
○通常,COPD が重症化するにしたがいFEV1・運動耐容能・身体活動性が低下し,息切れの増加,増悪の頻回化を認めるがFEV1 と他の因子の程度に乖離がみられる場合は,心疾患などの併存症の存在に注意を要する.

・COPD 患者は症状を過小評価しがちなので詳細な聴取が重要.

合剤

○テリルジー®:フルチカゾン 100μg,ウメクリジニウム 62.5μg,ビランテロール 25μg グラクソスミスクライン
吸入ステロイド剤+長時間作用性吸入抗コリン剤+長時間作用性吸入β2刺激剤
FULFIL試験

COPD増悪

○息切れの増加,咳や痰の増加,胸部不快感・違和感の出現あるいは増強などを認め,安定期の治療の変更が必要となる状態をいう.
*他疾患(心不全,気胸,肺血栓塞栓症など)の先行の場合を除く.
○症状の出現は急激のみならず緩徐の場合もある.
○増悪を繰り返すことは,患者のQOL(quality of life)低下,呼吸機能低下ならびに生命予後悪化と関連している.
○増悪の原因としては,呼吸器感染症及び大気汚染が多い.

○増悪の重症度は軽症から順に,短時間作用性β2 刺激薬(short-acting β2 agonist:SABA)のみで対応可能である,SABAに加え,抗菌薬あるいは全身性ステロイド投与を必要とする,救急外来受診あるいは入院を必要とするという3 段階に分けられる.

○薬物療法は,抗菌薬(antibiotics),気管支拡張薬(bronchodilators)ならびにステロイド薬(corticosteroid)のいわゆるABCアプローチで呼吸管理することを基本とする.

○増悪は予防が大切.
・非薬物療法では,患者教育,禁煙,ワクチン,身体活動性の維持と呼吸リハビリテーション等が有用
・薬物療法では,LAMA,LABAともに増悪抑制効果があり,LAMA/LABA併用がさらに効果が大きい.

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