胆石症 cholelithiasis

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

胆石症は消化器病の中では頻度の高い疾患の一つ.

胆石の種類(コレステロール石,色素石に大別)や存在する部位(胆囊,総胆管,肝内胆管)によりその病態は異なり,診療のあり方も多様.

疫学

世界的にはインディアン系民族の胆石保有率が高率であり胆石の遺伝的背景が示唆されている.
アフリカ大陸における黒人が5%以下であるのに対し,米国黒人は14%であり同じ民族でも胆石保有率が大きく異なることから生活習慣が寄与することが推測される.
欧米での胆石保有率20% に対してアジア諸国では比較的低く,日本では5% 程度とされている.

腹部超音波検診による胆石発見率は2.9% であり,50 歳代で4.1%,60 歳以上で5.3% と加齢とともに増加している.

分類・病態

胆石は構成成分によりコレステロール胆石と色素胆石(黒色石,ビリルビンカルシウム石)に大別される.

存在部位により胆囊結石,総胆管結石,肝内結石と呼ぶ.

コレステロール胆石

コレステロール胆石は主として脂質代謝異常(コレステロール過飽和胆汁生成)により胆囊内に形成される.

色素胆石

色素胆石はビリルビン代謝異常(黒色石では溶血性貧血や肝硬変症などによるビリルビン産生過剰,ビリルビンカルシウム石は胆道内細菌感染による不溶性ビリルビンカルシウム析出)が成因となる.

黒色石が胆囊内,ビリルビンカルシウム石は胆管内に形成される.

原因

危険因子としては肥満,脂質異常症,脂肪肝,メタボリック症候群,胃切後や急激な体重減少.

環境因子としては長時間絶食の習慣(1 日食事回数1~2 回),糖質,飽和型脂肪酸の過剰摂取

遺伝的素因としては,疾患遺伝子LITH genesの関与が推定される.

胆石は胆囊内で析出したコレステロール結晶が胆囊ムチンの過形成や胆囊収縮機能低下により肉眼的レベルに成長して形成される.
その際,リン脂質からホスホリパーゼ(PLA2)によって分解された脂肪酸を利用してシクロオキゲナーゼ(COX)を介したプロスタノイド合成がムチン形成に密接に関わると考えられ,動態は色素胆石についても同様であると考えられる.

診断

問診,身体所見に基づいて胆石症を疑う場合に血液・生化学検査や腹部超音波検査(US),腹部X線単純写真など非侵襲的な画像検査を基本として効率よく診断を進めるが,不確実な場合に随時画像診断を追加する.

画像診断は腹部超音波検査(US)が基本であるが,胆石の質的診断や,胆管結石・肝内結石の診断にCT,MRCPの有用性が増している.

さらに必要に応じてDIC-CTや内視鏡検査(ERCP,EUS,IDUS)を追加して精度の高い診断を進める.

治療

胆囊結石

胆石症の基本的治療は有症状の場合,腹腔鏡下胆囊摘出術であるが,胆囊結石の約半数は無症状であり経過観察が推奨される.

正常な胆囊生理機能を有するコレステロール胆石では施設環境や患者側要因に応じて体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)や経口溶解療法を適応基準に基づいて施行する.

体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)
1.X 線陰性の純コレステロール石(CT 値50 HU 未満,特徴的なUS 像,直径2 cm 以下の孤立石が最適)
2.胆囊機能が正常である

経口溶解療法
1.X 線陰性のコレステロール胆石(直径15 mm 未満の浮遊結石が最適)
2.正常な胆囊機能(排泄性胆道造影で胆囊が描出される)

総胆管結石

総胆管結石は基本的に症状の有無に関わらず積極的に治療することが推奨されており内視鏡治療が基本.

施設によっては胆管ドレナージや外科的結石摘出術を優先する.
・その選択は施設の設備や陣容,実績に委ねられる.

胆囊結石を伴う総胆管結石治療も,内視鏡治療に引き続く胆囊摘出術が推奨されるものの,施設によっては一期的に両者に対する外科治療を行うことを基本とする施設もある.

肝内結石

内視鏡治療が増加している.

1)胆管手術既往,2)結石除去術(内視鏡治療)後の場合,肝切除に比較して発癌リスクが高く,逆に3)ウルソデオキシコール酸投与例では発癌リスクが低いことが報告されている.
→肝内胆管癌を念頭におく

予後

2011 年に報告された胆石の死因に関する疫学調査報告では,胆石患者は非胆石保有者に比較して死亡率は高いが,その死因の心血管疾患と糖尿病であり,前者は胆摘術にてリスクは低下するものの,後者は胆摘にてリスクが高まることが推察される結果であった.

肥満と癌死リスクの疫学研究では肥満女性において胆囊癌は有意に高いリスクにある.胆石症との因果関係は不明である.

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