遺伝子改変T細胞療法 Chimeric Antigen Receptor (CAR)-T Cell Therapy

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor;CAR)は,抗体の抗原結合部位,TCRの細胞内ドメインを遺伝子組み換え技術によって結合させた人工的なキメラ受容体.

CAR-Tは標的抗原を認識後,共刺激シグナルを介して活性化し,パーフォリン,グランザイム,Fasリガンドなどの殺細胞性分子によって標的がん細胞にアポトーシスを誘導する.
その一部は,メモリーT細胞として残存し,持続的な抗腫瘍効果を発揮する.

CAR-Tの活性化や持続性はCARの構造(抗原結合アフィニティや共刺激の種類),輸注細胞数,疾患の種類と腫瘍量,リンパ球除去療法の有無とそのレジメと関連し,これらによって抗腫瘍効果や副作用の発現が影響される.

CAR-T治療の有効性は,腫瘍量によって影響され,高腫瘍量での投与は有効性が低いのみならず,副作用のリスクも高くなる.
→CAR-T輸注前に腫瘍量を減らすためのブリッジング治療を行うことが推奨

治療効果

B細胞性急性リンパ芽球性白血病 B-cell acute lymphoblastic leukemia;B-ALL

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL

合併症

サイトカイン放出症候群 cytokine release syndrome;CRS

CAR-Tの体内での活性化に伴う各種炎症性サイトカインによる合併症.

多くは輸注後数日以内に発熱がみられ,進行すると呼吸困難・血圧低下など呼吸循環動態の悪化から多臓器不全.

CRSのリスク因子には,疾患(ALL>DLBCL),高腫瘍量,急速なCAR-T体内増殖など

CAR-T投与時の血清LDH値は腫瘍量を反映したCSR発症予測のバイオマーカー.

神経毒性 immune effector cell-associated neurotoxicity syndrome;ICANS

多くはCRS発症に引き続きCAR-T投与後1週間程度に発症するが,CRSを伴わない例や遅発発症もみられる.

なんとなくおかしいと感じられる意識変容や時間・場所などの認知異常,錯乱,脳症,けいれんなど多彩な症状を呈する.

自然軽快する場合も多いが,重症例ではデキサメタゾンやメチルプレドニゾロンパルス療法を行う.

遷延性血球減少症

多くはCRS発症例でみられ,重症例では血球貪食症候群がみられる場合もある.

CAR-T活性化に伴う炎症性サイトカインの関与が示唆されている.

低γグロブリン血症

CAR-T細胞は正常B細胞を標的とし,B細胞減少,低γグロブリン血症が発症し,易感染状態となればガンマグロブリン補充療法を行う.

CAR-T体内残存のバイオマーカーにもなる.

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