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疫学
発症率は,男性・女性ともに減少してきている.
ラクナ梗塞の発症率は,降圧療法の普及に伴い減少していたが,アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の発症率は有意な変化は認めていない.
・アテローム血栓性脳梗塞は,糖尿病を含めた耐糖能異常と脂質異常症の有病率が増加していることが降圧治療の効果を相殺している.
・心原性脳塞栓症については,心房細動の有病率が変化していない(高齢者で増加していることが課題).
危険因子
高血圧
脳梗塞発症急性期の血圧平均値が高いことは独立して機能予後不良と関係があることが明らかになった.
・脳梗塞急性期の血圧上昇に伴い,血液脳関門の破綻や出血性変化を介して病態を悪化させる可能性や,逆に広範な虚血の存在が血圧上昇を引き起こしている可能性などが示唆されている.
糖尿病
発症前の高血糖は急性期の機能予後の独立した増悪因子であることが明らかになっている.
喫煙
ラクナ梗塞
高血圧が主因となり,穿通枝に細動脈硬化を来たし,その閉塞によって脳の深部に1.5cm以内の小さな梗塞を生じる.
ラクナ症候群と言われる運動・感覚・言語障害を呈し,比較的予後良好.
アテローム血栓性脳梗塞
頸部動脈や頭蓋内の皮質枝と呼ばれる脳主幹動脈に高血圧・糖尿病・脂質異常症などのリスクが加わって,粥状動脈硬化が生じて同部位からの塞栓性or血行力学性に脳梗塞を発症する.
広範な脳の領域に灌流障害を呈することもあり,意識障害や皮質症状と言われる大脳皮質の機能障害を呈することもある.
発症直後から1ヵ月の再発率が他の病型に比較して,著しく高い.
心原性脳塞栓症
心房細動などにより心内に生じた血栓が塞栓性に脳動脈を閉塞することによって発症する.
内頸動脈や皮質枝本幹が閉塞するために広範な脳梗塞を来たし,重症and予後不良.
透析患者
透析患者における脳梗塞発症率は健常者の約2倍,そのうち約6割が透析中or透析後6時間以内に発症している.
病変部位は大脳基底核が多いが,無症候性脳梗塞も高頻度で,脳卒中の既往のない透析患者でも約50%に発見されるとの報告がある.
血液透析が脳梗塞を惹起する機序として,除水に伴う血液濃縮と血圧低下,透析後の座位から立位時の起立性低血圧による脳血流低下が考えられる.
→透析時に循環動態の保持が予防として重要(厳しすぎるDWの設定や過度の除水,高Htは避ける).